第22章 原油と秋の空
第196話 自分用魔道具製作中
翌日は移動魔法用魔道具のカスタマイズから始まった。
「うーん、なかなか思い通りのデザインにならない」
「素直にシモンさんに概念スケッチだけ渡してお任せした方がいいんじゃない」
「ちょっとこだわってみたいのよ」
ミド・リーがいつもは俺が使っている工作系魔法杖を使って苦戦中。
他はあっさりシモンさんに作って貰ったり未だにスケッチを描いていたり色々。
俺自身のものは万能魔法杖を兼ねているウエストポーチに一緒に組み込んだ。
ボタン3つとバックルで分離する事も出来る。
どうせ万能魔法杖は常用するしそれならと思ったのだ。
なおシンハ君は原型に茶色いパイピングをしただけ。
タカス君は焦茶色に色を変えただけ。
この辺はあまりこだわりは無い模様だ。
あと形はそのままなのがフールイ先輩。
今朝からアウトドア用の長椅子を会議室に展開してポーチを抱えたままの状態だ。
使用して何処かを見ているのかそれとも何か使用訓練みたいな事をしているのか。
「魔道具を使いこなしたいだけ。心配無用」
そう言っていたからとりあえずそのままにしている。
俺は今殿下に渡したのと同じ魔道具のうち、工作魔法用と万能魔法用、生物魔法用を作っている。
これらはそれぞれ皆に頼まれたのだ。
タカス君に頼まれたのが工作魔法用。
フールイ先輩に頼まれたのが生物魔法用。
他の皆さんが万能魔法用だ。
お昼までには
「どうせ
という内容の遠距離伝言魔法が昨日夜に殿下からアキナ先輩の家に届いたそうだ。
本当は一度出来上がった物はシモンさんが作る方が遙かに早い。
でもシモンさんは現在女性陣のポーチやバッグにかかりきりになっている。
そんな訳で俺が作る羽目になったのだ。
一度全部計算してどう作ればいいか分かっているから大丈夫だけれども。
なお俺が作るのは内部の魔道具部分だけだ。
それを納めるバッグやポーチは各自独自のものをシモンさんに作って貰う予定。
「でも凄いよねこの魔道具。オマーチやハツカイ・チーまで良く見える」
ミド・リーがとんでもない事を言った。
「俺はカナヤ・マとかアラ・テシャコが限界だぞ」
「魔力の違いですね。ミド・リーさんは持っている魔力が高いですから」
ナカさんの解説。
なるほどそういう事か。
「ミタキは体力だけで無く魔力も鍛える必要があるみたいね」
「鑑定魔法はあまり魔力が必要ないからなあ。知識を増やした方が効果が上がるし」
「俺なんかアージナやヌクシナがやっとだぜ」
「シンハは普段魔力を使わないから仕方無いよね」
「ふふふこれはシンハに勝ったな。私はカナヤ・マもオマーチも大丈夫だ」
「カナヤ・マとは何処なのだ?」
「ニシーハラ侯爵領の奥地の村だよ。去年の冬に合宿をした場所なんだ」
「ちなみにシモンさんはどれくらいまで見えましたか」
「僕はかろうじてシンコ・イバシが見えるかな」
おいちょっと待った。
「うわ化け物級」
「この研究室に来てから工作系魔法を使いまくっていますからね。魔力が鍛えられたのでしょう」
「参考までにアキナ先輩は?」
「何とかコイの別荘が見えますわ」
なんだそりゃ。
「流石というか論外だよなそれ」
「皆さんも高等部1年位になればこの程度の魔力になりますわ」
「いや無理でしょ絶対。ユキ先輩は?」
「私もコイの別荘まで見えますね」
俺達は察した。
「聞いた相手が悪かったわ」
「そうですね」
「参考までにナカさんは?」
「秘密です」
そんなおしゃべりをしながら色々作業をしたり絵を描いたり。
「これだけバッグを作るのなら
「でもシモンさんの熱気球生地、薄くて軽いのに水を通さないからいいよね。色も可愛いし」
「ただ薄すぎて魔道具部分を隠すのに羊毛フェルトとかが必要なんだよね。それに耐久性はあまり自信ないし」
「その頃には冬になっているからまた魔獣狩りをやればいい」
「それもそうですね」
まだ夏休みなのに早くも冬の話をしている奴がいる。
「それより秋の学園祭の出し物を考えて欲しいな。少しずつ考えないと」
「そう言えば殿下が来るんだよね、今年も」
「熱気球はまたやるとして、他には何がいいかなあ」
うーん。
でも俺は悩んでいる暇は無い。
まずは注文品の魔道具を作らないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます