第154話 今日は海鮮料理

 貝類は十分捕ったので、午後の俺はボディボード。

 勿論波に乗るなんて器用な真似は滅多に出来ない。

 でも浮いているだけでも結構楽しいのだ。

 なお水分その他は意識して取るようにしている。

 昼食も意識して多めに食べたし大丈夫だろう。


 浮いているだけでも面白いが、この状態で海の中を見るのもなかなか面白い。

 基本的には砂浜なのだけれど小さい岩場が所々にある。

 そこに海藻だの貝だの時には鮮やかなウミウシだのがついていたりするのだ。

 あと砂浜の底をよく見るとたまに魚がいたりもする。

 メゴチの類いとか舌平目だとか。

 あと小さい岩場付近でささっと小さい魚の群れがいたりもする。

 ボディボードが無いと泳げない俺では捕まえることは出来ない。

 でもこんな処にいるんだなというのはわかる。


 鑑定魔法で離岸流に気をつけながら、沖に行ってじわじわ戻って来てを繰り返す。

 他の皆さんも大体同じ感じだ。

 身体強化組3人プラス1は相変わらず魚と戦っているけれど。

 なおフールイ先輩は離脱してボディボード組だ。

 何回か行き来した後太陽の位置を確認。

 そろそろ俺の体力の限界かな。

 まだまだ大丈夫といううちに撤収しておこう。

 そんな訳で家へ戻る。


 キッチンへ行くと、冷蔵庫や氷入りの箱、バケツ等に本日の成果が入っていた。

 牡蠣は勿論貝類色々。

 ウニバケツいっぱい。

 魚もある程度は確保済み。

 メゴチと舌平目は併せてバケツ半分。

 他は石鯛?やメジナっぽい奴。

 小鯖や鰯などの小物まとめてバケツ半分はきっとフールイ先輩の仕業だ。

 俺が浮いているあたりでは大物の獲物は見なかったからな。

 本格的な岩場にはいるのだろうか。

 俺はボード無しで泳げないので行けないけれど。


 さて海鮮料理の準備にとりかかるとするか。

 刺身にカルパッチョに焼き物煮物、小魚は南蛮揚げが俺の好みだ。

 小魚の一部はアンチョビ用に塩漬けでもしておこうかな。

 この世界は塩漬けとか保存食系統はあまり無いのだ。

 何せ魔法で冷やして保存できる。

 だから保存に色々工夫する必要が無かったのだろう。

 その分塩漬けとか発酵食品とか乾燥食品等が少ないような気がする。

 あっても保存用では無く味付けとか風味付けという位置づけだ。

 無い物は自分で作る必要がある。

 そんな訳でまずは小魚の塩漬けから開始だ。


 ◇◇◇


 海で遊ぶ以上の体力と労力を使った夕食が完成した。

 刺身は捕れた魚ほぼ全種類で作った。

 小鯖とか鰯とかは半身で1枚と手間の割に小さい。

 でも案外美味しいので手間覚悟でそこそこ作る。

 舌平目の開き方は前回マスターした。

 他に舌平目と石鯛もどき、鰹っぽい奴、イカはカルパッチョにもしてある。

 鰹っぽいのは全長50cmくらいと結構大きいのが3匹もいた。

 銛で捕ったようだがそんなのが泳げる範囲にいたのだろうか。

 舌平目は結構いっぱい捕れたので1人1匹ムニエルもある。

 あと鰹っぽいのの一部は漬けにもした。

 小鯖と鰯はあと南蛮漬け。

 今回は煮魚は無しで。

 夕食に出している魚はまあこんなものだ。


 貝類は基本的には白葡萄酒蒸しかな。

 牡蠣は焼いたのがみなさん好みのようなのでメインは焼き牡蠣で。

 生とフライも一応用意した。

 あとアサリとトマトと卵のスープなんてのも作った。

 ウニは生ウニと焼きウニ、ウニバターを作成。

 この辺品数は多いが案外あっさり出来た。

 途中からフールイ先輩やナカさんに手伝ってもらったおかげだ。

 なお主食はパンと白ご飯。

 今回は米を売っている場所がわかったので買っておいた。

 あとは夕食後のだべり時間用にプリンとヨーグルトも用意してある。

 ちなみにプリンはナカさん作だ。

 さあ夕食、皆様の評価はいかに。


「昨夜も思ったのだけれど、これだけ食べて太らないのか」

 フルエさんが食べながらもっともな疑問を口にする。

「明日も午前中は海で遊ぶし問題無い。動けばその分消費する」

 確かにヨーコ先輩は人一倍カロリーを消費している気がする。

「合宿の飯は旨いからさ。ここで控えめにするのは勿体ない」

 同じく人一倍食べて人一倍消費するシンハ君。

「確かに美味しいです。あと食べた事が無い料理が多いですね」

「その辺はミタキ君の異世界の知識ですわ」

「結局合宿って、ミタキの異世界料理を堪能する会だったりするものね」

「でも半分くらいはフールイ先輩やナカさんに作って貰ったな」

「それぞれ出身地が違うから面白い食事になるよね」

「活動時には先輩のあのお焼きいいよな。腹に溜まるし」

「ナカさんは正当派ウージナ料理だよね」


 そんな話をしながらも着実に料理は減っている。

 俺としては刺身を色々のせた豪華海鮮丼を自分用に作って食べて満足だ。

 実はご飯はこれをやりたい為に炊いた。

 ちなみに俺だけ酢飯だ。

 夕食を用意した人間の特権という奴だな。

 でもウニバターライスも美味しい。

 ウニバターパンは腹の容量が足りなくで断念したけれど。

 刺身が余ったらオイル煮とかにして明日の朝食メニューに回そう。

 そう思ったのだがどれも余ることも無く完食した。

 なお今日は皆さん片付ける余力もあるようだ。

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