139話 造形魔法

「「ここは……?」」


「……別のどこかと思っといてくれ」


 一々転移だと伝えるのが面倒くさい俺はその事を伏せて理解させた。


「じゃあやるぞー。まずは切り札だったな」


「……簡単に言いますけど、実際にはどうすればいいんですか?」


「ん?別に難しくないだろ?何も出来ない奴らならともかく、お前達はまだ造形魔法が使えるだろ?」


「使えるけど……そんなんじゃ意味ないだろ?」


「意味が無いわけじゃない。造形魔法にもいろんな種類がある。例えば……」


 俺は何も無い方向に手を向けた。「〈氷壁〉」


 言葉を呟くだけで、俺の横数メートルに高さ20メートルぐらいの巨大な壁が出来上がった。


「これは流石にレベルが高いが、お前達の実力だったら1メートルは作れるだろ。それなら対人戦や小型の魔物との戦闘なら有利を取れる」


「「なるほど……!」」


 造形魔法の種類は実質無限大だ。

 魔力とイメージさえ固まれば何でも作れる。

 ……まあ、それの最上位が創造なんだけどな。


「師匠!頑張ってみます!」


「おう。じゃあちょっとあっち戻っておくから1時間後にまた戻ってくるわ」


「「分かりました!」」


 二人は新しい玩具を見つけた子供のように目をキラキラさせていた。

 ……アレなら伸びるだろうな。

 まあ俺が鍛える以上、伸びないと嫌だ。

 個人的な感情になるけど、俺がいなくても幹部クラスなら倒せるぐらいの実力は何人かはいてほしい。

 その為に鍛えてるってのもある。


「〈転移〉」


 そして俺はプルルの様子を見に行くことにした。


 プルルは最強になっていた。

 俺があの平原に戻り、プルルを観察していると、そこら辺にいる魔物なら一瞬で飲み込んでしまった。

 ……アレェ?確か数分前は倒すだけが限界だったような……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 <名前>プルル <種族>スライム

 <性別>無性

 <年齢>0歳

 <レベル>2845

 <体力>B

 <物攻>B

 <物防>B

 <魔力>B

 <魔攻>B

 <魔防>B

 <敏捷>B

 <運>S


 <スキル>

「分裂」、「分解」、「物理攻撃吸収」、「経験値取得1000倍」、「レベルアップ必要経験値1000分の1」、「超再生」


 <称号>

「トオルの使い魔」、「同族喰らい」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ……俺が見てない時に何があった?

 しかもなんか新しいスキルが追加されてるし……。

 もうどうにでもなれ!

 俺はプルルを一旦放置して、レイネの方へ向かった。

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