133話アストロイド
「——そ、そこまで!」
俺たちが地面に降り立ったことでようやく我に帰った理事長が終了の合図を告げた。
「ふむ。ケイの腕は訛ってない様だな」
「はっ!俺が訛ってる?そんなのは俺に勝ってから言えよ」
今まで一度も俺は天谷に負けたことはない。
「ならばよかろう。受けて立つ!」
「え、えーっと。もう始めちゃっていいのかな?」
「ああ。いいぞ」
俺がそう言ったので、再度理事長は開始を告げる。
「「行くぞ!!」」
そして俺たちは一斉に走り出した。
俺の手にはトルリオンが、天谷の手には一振りの大剣が握られていた。
「聖剣:ダンダリオンッ!」
これが天谷に後天的に追加されたスキル、〈聖剣創造〉。ありとあらゆる聖剣を己の魔力と引き換えに作り出すことができる。
……これなぁ。魔力が転移並みの馬鹿ほど食う領域だから魔力少ない奴はそもそも使えない死蔵行きのスキルなんだよなぁ。
まあでもそこは勇者のステータスでカバーしている様で、今も見た感じあまり魔力に変化は感じられない。
「どうした!攻撃を仕掛けてこないのならこちらから行くぞ!」
俺が考え事をしているちょっとした間に、天谷は大剣で切りかかってきた。
「はっ!」
俺は何も考えずに左から右へ振り抜く。
ガキンッ!といった衝撃とともにお互いの剣がぶつかった。
「お、パワー上がってるじゃねぇか」
「こちらだってトオル如きには負けるわけにはいかないからな!」
ほほう……俺のことを如きと称するか。
「じゃあ全力でやってやるよ!——死ぬなよ」
そして俺はトルリオンのもう一つの力を解放させる。
「天聖剣 アストロイドッ!」
アシュラストとはまた違った天聖剣。今度は大気すらも焼く業火の剣だった。
「絶輝 弐の型!」
そこから俺は自身が生み出した天聖剣用の型である絶輝を使い、天谷へと攻撃を繰り出した。
え?名前の意味?ファフニールにつけてもらった。意味は知らん!
「くっ……!」
アストロイドの火力に思わず顔を背けてしまっている天谷の隙を俺が見逃すはずもなく。
「奥義 アルデンバインッ!」
光をも切り裂く高速の斬撃が天谷へ集中する。
「ぐっ……うぉぉぉぉおぉぉぉぉっ!!」
何とか直撃はくらわないものの、全てを防ぎ切れているわけではなく、身体の至る所に傷が付けられた。
「まだ——」
「いや、もう終わりだ」
着地した瞬間を狙って俺は天谷の顔面に天聖剣を解除した状態のトルリオンを向ける。
「……参った」
「よろしい」
「そ、そこまで!」
理事長が終了させたことにより、編入試験の幕は閉じたのだった。
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