116話 大富豪

「……結局どうするんだよ?」


「そこまでは考えてなかった」


「……もう一回殴っていいか?」


「遠慮しておくよ」


 有無を言わさず殴りたくなったが、相手は一応国家元首。自重した俺はせめて時間を潰す為に考え事をしていた。

 ……もうアレでいいか。特に難しいルールじゃねぇし。


「〈創造〉トランプ」


 すると、俺が広げた手に100均などでも売っているトランプが現れた。


「それはなんだい?」


「トランプってやつだ。じゃあとりまそこの椅子に座れや」


「ああ……」


 ギルバートは席に座り、俺もトランプが出来るほどの近さに席を持っていった。


「じゃあ大富豪するか。三時間も暇だし」


「それは?」


「まあカードゲームだと思ってくれたらいい。二人でこのカードを分け、お互いのカードを出していく。カードにはそれぞれの強さがあって、3が一番弱くそこから4、5、6、7、8、9、10、J、Q、K、1、2がある」


 俺はカードの番号をギルバートに見せながら説明する。


「そしてこれは強いカードの上に弱いカードは出せない。だがこのジョーカーは例外でいつでも好きに出すことが出来る。最終的にカードを出し切った方の勝ちだ。これで分かったか?」


 今回は面倒くさいルールは全て無しにしている。

 一度はやったことがある人間なら入れてもいいが、コイツは見た感じど素人だ。それに革命とか覚えさせるのも酷だろうしな。

 それで逆にゲームのルールを忘れたら元も子もない。


「大体わかったか?」


「ああ……なら次のカードの番号高めにして出すこともできるんだよね?」


「ああ。それで相手が出せなくなったら今度は自分が最初に出せる」


「分かった。じゃあやろう!」


 とても乗り気なギルバートが早くトランプを始めたがっていた。

 フハハハッ!その期待が絶望に変わる瞬間が楽しみだぜ!

 地球でやっていた俺が負けるはずない!


「じゃあ配るぞ」


 そして俺は見事な手際でカードを配っていく。

 もちろんイカサマはしていない。素人にそんなことしたところであんまり変わりはない。


「じゃあお前から先行でいいぞ」


 見た感じ手札は事故ってないようだな。

 これなら十分に勝てる。


「はい」


 すると、ギルバートはいきなり二を出してきた。


「……お前、ルール分かってるのか?」


「もちろん。これで出せなかったらこっちの番なんだよね?」


「……なぜ先行なのに機会をドブに捨てるかなぁ……」


 そう思った俺。


「じゃあ今度は……同じ数字をまとめて出してもいいの?」


「ああ。問題ない。ついでに言うと同じのは重ねられないからな」


 数で押されると結構面倒くさいことになるからな。これは早々に決着つけておこうか。

 そう思ってると、いきなり4を4枚出してきた。

 ……いや、これヤバくね?俺4枚とか持ってないんだけど……。ジョーカーは持ってるからそれ使って出してもいいけどまだその時ではないだろうな。


「なし」


「じゃあ次は……」


 そして次は8を3枚出してきた。


「これならいけるな」


 俺は10を3枚出す。

 そしたら次はギルバートがKを3枚置いてきた。

 ……なぜそんな強カードを最初に出しちゃうかな?あとがものすごく辛いよ、それ。


「じゃあ俺もどんどんいくとするか」


 Jの3枚を出してくるギルバートに対して俺はQの3枚を繰り出す。


「はい俺の勝ち〜」


 そう言って俺の番に強制的にさせる。

 そこから3の4枚、1の3枚、2の一枚、7の3枚+ジョーカーの4枚などなど。

 ギルバートに出番を与えることなくことを進めいていく。

 二人でやると、カードの枚数を逆算して相手が何持ってるのか分かっちゃうんだよなぁ。

 昔、それに気づかない楓をボコボコにしたことがあったけど、逆に気づかれた時にボコボコにされたわ。


「はい、俺の勝ち〜」


 最後の8を出してゲームを終わらせた。


「もう一回!」


「子供か……。まあいいや。どうせ暇だしな。他にルール教えたところで理解できないだろうし」


「よし!」


 大の大人がゲームするだけで一々喜んでいるのはどうかと思うよ?

 そして俺たちの第二ラウンドが始まった。

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