66話 魔導演武祭へ向けて
同盟締結が決まった夜。
「もう帰らせてもらうけど、女王様は残る?」
「いいえ、私も今回は帰りたいと思ってます」
「そうか……」
俺の場合は理事長によびたしをくらってるから行かなぎゃいけないんだけど、女王様は残っておいても良かったのに……。
あんまりこういうところに来れないと思うし。
「じゃあ俺たちは帰らせてもらいますね」
「ああ。ではまた日を改めて。日にちはこちらから連絡しますね」
「了解です」
「ではご機嫌よう」
俺は女王様の肩を触り、メルトリリ王国王都王城へ向かって転移した。
俺たちは王国へと帰還した。
帰りの手段が転移ということにギルバートが驚いていなかったのが、それは事前に話していたからだ。
「送っていただきありがとうございます」
「いいよ。ついでだし」
本当についでなんだけどな。
「じゃあおやすみなさい。明日は学園に行くんでしょう?」
「うつ……俺は行きたくないんだけどね……。理事長に来いって言われちゃって」
「あなたも大変ですね……」
女王様に同情される。
「ホントですよ……。せっかく一年間学校に行かなかったことでか辞められると思っていたのにわまさかの下級クラス行き。
まあ、それはそれで面白そうだから別にいいんですけどね」
はっきりいうと、早く起きるのは後がものすごく疲れる。
俺は遅寝遅おきという健康に悪い生活をモットーにしているからな。
「ではまた今度。また用があればお呼びしますね」
「おう。基本いつでもいいからな」
「はい」
そして俺はドアから外へ出て行った。
翌日。
当たり前のようにメイドさんに起こされた俺は眠たげに準備をしていた。
(はぁ……。少しは眠れると思ったのにな……)
俺は昨日は久しぶりに絵を描いていた。
なんの絵かって?普通に人物画だよ。
アニメのだけど。
(俺はアニオタだからな)
人物画を描くといえばアニメのキャラを描く以外にないでしょう!
「あ、透起きた?」
部屋の外に出ると、楓がいた。
「待ってたのか?」
「うん……前のこと、謝りたいと思ってたしね」
「別にいいんだけどな……。むしろ俺が悪い。やりすぎた」
「ふふっ、いつもの透らしく無いね」
「どういうことだ?」
「いつもだったら、自主的にそんなに謝らないでしょ?」
「失礼な!俺だってやりすぎた時はしっかり謝るからな!人をそんな屑野郎みたいにしないでくれる!?」
「あははっ!ごめんごめん」
「まったく……」
人をそんな極悪非道みたいにしないでくれるかな!?
「じゃあ学園行こう」
「……俺まだご飯食べてないんだが……?」
「大丈夫だよ!透はアイテムボックスでいろいろ食料溜め込んでいるんでしょ?」
「なっ!?」
(何故それを知っている!?……まさかエルか!?)
最近登場が少なかったエルさんが俺に意趣返しに来たのか!?
「透が思ってることと多分同じだよ」
(クソッ!ということはエルで間違い無いのか!……ていうか俺のアイテムボックスの中身知ってるの、よく考えたらエルだけだったわ)
「じゃあ歩きながら食べる……」
俺としてはあまりそうしたく無いんだが……。
このままだったら楓がゴネそうで怖い。
「よし!じゃあ行こうよ」
楓に手を取られ俺は学園までの道のりを歩いた。
……ていうか手を塞がれたら俺は飯を食べれないのだが?
そうして俺は何も食べることなく2-Eの教室に到着した。
すると、
ピーンポーンパーンポーン。
といった懐かしき音が聞こえてきたと思ったら理事長の声がした。
「2-Eのカネヤマ トオル君。至急理事長室まで来るように。繰り返します。ーー」
一体何事?
クラスのみんなは俺が理事長に呼ばれたことを聞いてソワソワしていた。
(……はぁ。俺嫌われたかな?)
これ完全に周りから問題児認定されてるよな……。
少し気分を落としながら俺は理事長室へと向かうのだった。
「よく来たね」
「一体なんの用だ?」
「わお。一年の間に結構性格変わった?」
「偉い人にはいろいろと出会ったからな」
「ふーん。それで本題に入るんだけど……」
「なんだ?」
「ここで君に頼まれて欲しいことがあるんだ」
「……話は聞こうか」
一体何なんだ?
わざわざ理事長がここまで呼び出して頼みたいことって……。
「後1カ月後に魔導演武祭があるのを知っているかい?」
魔導演武祭?
どこかのイベントなのか?
「知らないな」
「これは我が学園で毎年行われている、言わば運動会のようなものだ。そして2-Eの指導者にトオル君、君がやってほしいんだ」
「…………何故だ?別に俺じゃなくてもいいはずだ」
「Eクラスに教師や指導者を回すと周りの反発が厳しくてね……。それならずば抜けているトオル君を指導者にしたらいいんじゃないか?って思ったわけ」
「もう一度言うが、何で俺なんだ?」
その理由もあるかもしれないが、もっと根本的なことを隠している気がする。
「はぁ……。分かった、話すよ。君はEクラスが虐めを受けていることは知っているよね?」
「ああ」
あの連中のように他にもいじめる奴がいるんだな。
「そこで君にはEクラスの子たちを鍛えて虐めを無くしてほしいんだ」
「そうか……」
確かに確執な虐めはたとえ教師が口で言ったとしても治るわけがない。
そういうのは前のを見ればすぐさま分かる。
「一つ聞いておく」
「……何だい?」
「全力で育ててもいいんだよな?」
「もちろん!」
「ふっ。どうなっても知らないからな」
やるとしたら徹底的にだ。
全員エルレベルとはいかないものの、レオンレベルまでは引き上げよう。
そうと決まれば早速特訓だ!
「今からの授業は全て魔導演武祭のことについて使われるから自由にしていいよ」
「あざっす!」
俺はそう言ってダッシュでEクラスの教室へと戻るのだった。
俺はEクラスの教室へと到着すると、一旦自身の席に座った。
「はいはーい。欠席とるでー!」
そう言って先生から点呼を取っていった。
「今日から魔導演武祭1ヶ月前や。というわけで特別コーチをお願いしている。お願いな」
先生は完全に俺に振ってきた。
もうこれは俺がやることが先生にも伝わっているんだろう。
そして俺は教卓へ出る。
「理事長から指導を頼まれたんだけど、反対意見はあるか?あるんだったら別に俺はやらなくても構わないんだが……」
『……』
俺がそういってもみんなは返事がなかった。
「はっきり言おう。みんなは上の連中に勝ちたいか?」
「当たり前だよ!」
「アイツらにいい顔させてたまるか……!」
「勝てるんだったら何でもする!」
みんなは溜まっていた感情が爆発した。
「なるほど。みんなの意見はわかった。なら勝たしてやる!お試しで1週間。この期間で前の連中よりは絶対に強くしてやる!」
俺は断言する。
いや、あの程度普通勝てないとおかしいから。
多分このクラスは努力しているけど、才能がないか、欠陥があるのかだろうな。
そうじゃなかったらあんな雑魚に負ける道理はない。
「俺は行くぞ!」
「うん!私たちは勝つんだ!」
「そうだな……。アイツらにひと泡ふかせようぜ!」
みんなの意見が俺が教えることとなった。
「なら俺についてこい!己の限界まで全力を出し、魔導演武祭で勝つぞ!!」
『おおおおぉぉぉお!!!!!!!!!』
俺の呼びかけはみんなの叫び声にこだまする。
こうして俺たちの超究極トレーニングが始まるのだった。
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