第409話


十分に10師団から距離が開いた所で、販売車両を止めて、ゲートで一気にザインバッファ王国の王都・・・王宮前広場へとやって来た。

販売車両ごとねww


いきなり現れた販売車両に驚く衛兵達。

海渡が降りて、手を振ると、「あっ!」って感じで王宮へと伝令が走る。

5分もしないうちに、王様、大臣、近衛騎士団団長の3名がすっ飛んで来た。


「カイト殿!! また来てくれたのですね! 歓迎致します。」

と嬉し気な王様。


「ちょっと、侵攻軍と絡んで遊んで来たので、ご報告までですがねw」

と笑いながら、物資強奪と、その後の話をしてやると、大爆笑していた。


「だって、死人が金持ってても、死後の世界にはお金は持っていけませんしw」

と海渡が言うと、サッと青ざめた顔をしていた。


「あれ、そう言えば、今日はオスカー殿はご一緒ではないのですね?」

と大臣が聞いて来たので、


「ああ、オスカーさんは、昨日ご結婚されて、1週間お休みですよww もう国を挙げてのお祭りでしたのでw」

と海渡が言うと、


「え?ご結婚された・・・と言うか、まだだったんですね。しかし結婚で1週間もお休みが頂けるとは、羨ましい・・・」

と言いながら、チラリと王様の方を見ていた。


「うちは、基本、週休1日は確定してまして、ローテーション組んだりして、上手く休みを全員に取らせてます。後は、夏と年末に4~5日の連休ですね。

まあ、王宮内は全員休みだと問題もあるので、そこもローテーションですけど。」

と言うと、これまた大袈裟に驚いて、王様をチラチラ見ていたwww


王様は、視線を感じるらしく、居心地が悪そうだった。



「まあ、立ち話もなんですから、どうぞ、王宮の方へ!」

と話を変える様に王様が言ってきたのだが、


「いえいえ、あまり時間も無いですし、良ければここで、昼食でも取りながらで良いでしょうかね?」

と言いながら、テーブルと椅子を出して、弟子ズにハンバーガーや、チキンフィレバーガー、ステーキや、焼き鳥と、ジンジャエールを人数分用意させる。


ジンジャエールを飲んだ王様らが、目を見開き、驚いている。

「こ、これは美味しい! 初めての不思議な感覚だ!!」と。


「ああ、それはオスカーさんのご結婚に合わせて、大陸全土で発売した新製品なんですよw 馬鹿売れ中ですw」

と笑う。


海渡は食事をしながら、騎士団の到着は、1日遅れで国境に辿り着くだろうと教え、それと同時に全土の教会を消すと説明した。

あと、本来あるべき、この世界の主神たる女神ジーナ様の教会を置くべきだと伝え、協力を要請した。


「なるほど、この大陸初の正教会を我が国に! と言う事ですな。それはありがたい。是非とも強力させて下さい。」

と王様。


「それに伴い、王都内に適当な敷地の拠点を作りたいのだけど、何処か買える所ありますかね? 建物はあっても無くても問題ないんですが。」

と言うと、幾つかあるとの事で、案内して貰う事にしたのだった。




拠点となる土地は白金貨50枚を支払い、完全に海渡の物となった。

早速、草ボウボウで荒れた土地を整地して、トリスター型の総合宿舎を設置し、周囲の塀と門を作り直した。


「よし、これでこの国の拠点も建設終了っと。 さあ、ちょっと街を覗いて、撤収するか?」

と海渡が言うと、


「何か、美味しい物ないですかね?」

とフェリンシア。 ステファニーさんもウンウンと頷いている。


「そうだね。出来れば、もう少しこの国の食文化探求したいところだね。前回食べた店はモツ煮込み以外はパッとしなかったし。」




と言う事で、現在美味しい店の情報の聞き込み(と言う名の買い食い)しつつ、色々な所を回っておりますw


「色々聞いた所だと、『銀の腹亭』ってのが多かったな。 あと傾向としては、マッド・ブルの料理が多かったね。」

と海渡が報告すると、


「ああ、私の所も『銀の腹亭』推しが多かったですね。」

とフェリンシア。


「こっちは、『食ってけ屋』ってのが多くて、『銀の腹亭』は2番手でしたよ?」

とミケが言う。


「うちんとこも、『食ってけ屋』が一番多かったで?」

とステファニーさん。


「ああ、『食ってけ屋』ってのも、確かに多かったな・・・。」

と同意する海渡。


「よし、じゃあ、一度、店を外から見て決めるかww」

と海渡が提案し、全員で『銀の腹亭』へと向かう。



「なるほど・・・『銀の腹亭』ってのは、高級レストランって感じか。」

ふむ・・・雰囲気は良い感じじゃないか?

ただなぁ・・・高級レストランって、この地域で高額な食材を使ってるだけって可能性もあるからなぁ・・・。

と内心思いつつ、次の『食ってけ屋』へと向かう海渡ら一行。


海渡の中では、『食ってけ屋』ってネーミングから、大きくこちらに傾いている。

理由は大衆食堂の美味しい店って雰囲気だけ。


「うん予想通りと言うか、『食ってけ屋』って感じだなwww」

と店構えを見てウケる海渡。


ハッキリ言って、店構えは、かなりボロいwww


「これさ、地震あったら、確実に震度2でも倒壊するよな?」

と海渡が呟く。 そう、そう言う感じの店である。


他の面々は、若干顔が引き攣っているw

海渡が気に入ったのは、別に店がボロい所ではなく、確かに建物は古く、ボロボロではあるが、店内やテーブル、カウンターに至るまで、全ては磨き上げられている所だ。

どうしても、厨房と同じ場所にある店内は汚れが蓄積し易い。

忙しさにかまけて、サボりがちになると、アッと言う間に汚い店に早変わりする。

その点、『食ってけ屋』は、店構えはボロいのだが、汚くは無いのである。


「兄貴、本当にここで食う気ですか?」

と引き攣った顔でラルク少年が聞いて来る。


「ああ、俺はこの店結構気に入ったんだけどね? 食べてみて答え合わせしたいなぁーってねw よーく見てご覧。確かに店の建物はボロボロだけど、店内に汚れは無いだろ? ボロだけどww」

と海渡が言う。


「あ、確かに!」

とラルク少年。



と言う事で、店に入り、

「おっちゃん、いつもの10人前!!」

と言い放つ海渡。


「あいよーwwww っておめーら、初めてじゃねーかよww」

と豪快に笑うおっちゃん。


「ふふふ、バレましたか。 お薦めのをじゃんじゃん、10人前お願いしますw」

と海渡が言うと、


「あいよーーw」

と言いながら、テキパキと調理に入った。


そして、驚いた事に出て来た料理は、チャーハン、餃子、野菜炒め、それにスープだった。

「うぉーー!チャーハンじゃん!!! こっちにもお米あったんだねw」

と出てきた料理に喜ぶ海渡。


「ほぉー! 坊主、見た所この国の人間じゃなさそうだが、この料理知ってるのか!」

とおっちゃんが驚いている。


「ええ、知ってますw しかし良くこの国の者じゃないと判りましたねw」

と聞くと、


「いやだって、おめーよ、そんな格好した奴見た事ねーしw」

と言っていた。


「ああ、確かに、この国だとちょっと浮いた感じかもw」

と納得する海渡達。



「「「「「「「「「「うっめーー!」」」」」」」」」」

一口食べて、思わず叫ぶ海渡。


餃子も皮はパリパリで中がジューシーな肉汁と野菜が溢れる感じ。


「おっちゃん、俺、この国に来て、初めて美味しい食事を食べたよ!! 最高だよ!!」

と絶賛する海渡。


「ねぇ、おっちゃん! このチャーハンと餃子、お持ち帰り出来ない? 俺、アイテムボックスってスキル持っててね、収納すると、中では時間経過しないから、いつでも出来たてのまま出せるんだよね。

お土産作ってくれないかな?」

と聞くと、


「ほー! 便利なもん持ってんなぁ? そこまで気に入ってくれたんなら、良いぞw 何人前欲しいんだ?」

と聞くので、取りあえず、30人前お願いした。


お米の事を聞くと、独自に隣の国からの仕入れているらしい。


「なるほど! だからこっちの市場でお米を見かけなかったのか!!」

と海渡が納得する。


「しかし、おめーも珍しいなぁ、普通俺ん所の常連以外、お米知らないんだよね。」

と。


「ああ、俺達、この大陸の人間じゃないので。隣の大陸から来てるんですよね。

で、向こうでもお米あるから。あ!!そうだ!! これ使ってみますか? と炊飯器を出してみた。」


「何、これ??」

と不思議そうなおっちゃん。


炊飯器の説明をして、時短モードですぐ炊ける事を教えると、驚きながらも、大喜び。


「さっきのおめーらの分で、全部炊いた分は使い切っちまったから、早速炊いてみようぜ!!」

ってワクワク顔。


早速米を磨ぎ、時短モードで起動。



5分後にチーンとなってお米が炊き上がった。

「うぉーー!米が立って光ってるよ!! おい!!!」

と喜ぶおっちゃん。


一口味見して、

「うーん、すげーぞ!これ!!」

と唸っていた。

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