第401話


王都から北に150kmの農村・・・まずはここに行く事にして、最寄りのポイントまでゲートで移動する。

そして、20km程飛行して、村に到着した。


うん、ヤバい所に来ちゃったね。

絶賛村が襲われている。


「レイア、村全体にシールドを張れ!」

と村の中心に降りたって、命令する。


海渡は、そのままスキル全開で、付与を掛けた刀でおサクサクとキラー・アンツを切って行く。


中に入ったキラー・アンツは全部で5匹、残りは2匹。

残りの位置を確認すると、家の中から悲鳴と怒鳴り声が、聞こえ、家の壁を壊し、今正に中に入ろうとしている1匹を発見。


瞬時に背後から首を切断して、殺った。


残りの1匹は屋根にのぼって、屋根を破壊していた咄嗟にハンドガンを構え、トリガーを絞ると、

「バシュッ」

と言う轟音と共に、キラー・アンツの頭が吹っ飛んだ。


そのまま、弾丸の飛んで行く方向へ屋根から落ちるキラー・アンツ。


海渡は風魔法の拡声を使って村全域に語りかける。


「王都の冒険者ギルドから派遣された、カイト・サエジマです。村に入った5匹のキラー・アンツは今、殲滅しました。

誰か怪我人はいませんか? 治療できます。 あと責任者の方、出て来て貰えますか?」


「すまない、1人怪我人がいる。こっちだ!」

と1軒の家から男が飛び出して来た。


見るとその男の服も血だらけである。


即座にその男の出て来た家に入ると、小さい女の子が、片足を無くして、止血している。

海渡は瞬時にクリーンを掛け、無くした欠損部位を再生し、キラー・アンツの毒も浄化するイメージで『ヒール』を発動した。


女の子が激しく光り、止血の為の布を破って綺麗な足が生えていた。



ふと男性を見ると、男性の腕も変な方向に曲がって居たので、ついでに同じく、キラー・アンツの毒も浄化し、骨や筋肉、神経が繋がるイメージで『ヒール』を発動した。

男性の体が激しく光り、骨折も治った。


2人と家の中に再度クリーンを掛けると、女の子の服も男の服も床に飛び散った血の跡も全てが消えた。


2人にハチミツ水をコップで渡して飲ませ、家の外に出て、他に怪我人は居ませんか?

と叫ぶが、負傷者はこの2人だけだったようだ。


壊れた家の壁と屋根を土魔法で応急処置して、修理し、村の壁を見て廻ると、数カ所で壊されていた。


村の村長であるお爺さんがやって来て、


「貴方が王都から派遣されたと言う冒険者かね? この度は、本当に村の全滅を救って頂き、ありがとうございます。

して、お仲間の方は?」

と聞いて来たので、


「おーい、レイア!」

と呼ぶと、スーッとレイアが降りて来て、海渡の頭の上に着地した。


「あー、初めまして。親分の舎弟のレイアっす。宜しくお願いしやす!」

と挨拶すると、


「亀!? 喋る亀?」

と周りがザワザワ。


「あ、あっしは、亀じゃないっすよ。こう見えて、ベヒモスの上位種の上位種、クィーン・ベヒモスなんすよww」

とレイアが誇らし気に言うと、


「「「「「「「「えーーーー!!!」」」」」」」」

と村に絶叫が木霊した。


「ああ、すみません。こいつ、俺の従魔なんですよ。キラー・アンツの巣、根こそぎヤルまでの間、こいつに村の護衛させますんで、安心して下さい。

一応、今も結界張ってあるんで、大丈夫ですから。」

と言うと、驚き過ぎて、口をパクパクしていた。


「あ、あと、あの村の周囲の壁、壊れている箇所とかかなりボロいですね。

あれじゃあ、キラー・アンツじゃなくても侵入し放題ですよ? ついでに頑丈な奴にしときますか!」

と言うと、

「え?どういうこと?」

とポカンとしている。


「壁、10mぐらいで良いですかね?幅は2mかな。おい、レイア、一周グルッとガチガチのスベスベの塀を作ってやって!! 門は俺が作るから。」

と言うと、


「了解っす!!」

と魔力を集め出して、一気に村の周囲に10mの塀がそびえ立った。

海渡はその塀の上に、通路と遮蔽の壁を延長し、4箇所に階段も設置した。

更に、東西南北の4箇所に城門を作り、戻って来た・・・僅か10分で。


「これなら、少々の魔物なら防げますよ。で、キラー・アンツの巣は1つだけで良いんですかね?」

と聞くと、


「あっちに1つあるんじゃが・・・」

と村長さん。


「了解しました。じゃあ、ちょっと言って来ます!!」

とそらに飛び上がり、指さす方へと飛んでいった。



海渡は周囲10kmに巣やキラー・アンツが居ないかと索敵すると、周囲1km居ないに54匹が散らばっているのを確認した。

逃げられると厄介なので、その52匹を殲滅して廻り、最後に巣へとやって来た。


さてと、どうやっておびき出すかなぁ? 前は、煙で燻したんだっけ?

そこで、巣の廻りを土魔法で大きくすり鉢状ににした。空中から巣穴に油を流し込んで、ファイヤーランスを10発ぶち込んだ。


「ドゴドゴドゴドドーーーーン」

と爆発音が鳴り響き、巣穴の中の油が燃え出す。


海渡は新鮮な酸素を巣穴に送り込み、ドンドンと黒い煙を巣穴に送り込む。

貯まらず巣穴から続々とキラー・アンツが飛び出してくるが、出て来る側からアイスカッターで切断して行く。すり鉢の底には無数の蟻の残骸が積み上がる。


暫く続けていると、巣穴から出て来なくなった。

海渡の探索では、まだ巣穴にはキラー・アンツ78匹、キラー・アンツ・リーダー15匹、キラー・アンツ・クィーン1匹が残っている


今度はすり鉢状の蟻の残骸を格納した後、大量の水をジョボジョボと流し込んでやるwww


止まる事の無い怒濤の水攻めで続々とキラー・アンツやキラー・アンツ・リーダーが這い出して来る。

出て来る奴らをアイスカッターで切断しながら、徐々に熱湯に換えて注ぎ込む。

最後の一団のキラー・アンツ・リーダー10匹と体のサイズが全く桁違いにデカいキラー・アンツ・クィーンが出て来た。

すぐさま海渡は掛けてる水ごと、瞬間冷凍し、綺麗にキラー・アンツ・クィーン以下キラー・アンツ・リーダー10匹を殲滅した。


全て収納した後、卵とか有ると厄介なので、巣穴事20mmガトリングガンの最大パワーで30秒連射する。


「ブブォーーーーーーーーーーー」

とガトリングガンの発射音と共に、巣穴が崩壊して行く。

海渡は最後の仕上げに超極大のファイヤーボールを圧縮して酸素を送り青白いバレーボールサイズのファイヤーボールを発射。

すり鉢の底にぶつかって、大きな爆発音が周囲に鳴り響いた。


そして、残ったのは、真っ赤に溶けた溶岩の様な地面。


再度周囲を確認したが、キラー・アンツもヤバそうな魔物も反応がなかった。


「よし、これで終了だな。」

と海渡が村に飛んで戻った。


村人達は、海渡が飛んで行った方向から聞こえる爆発音や爆音を心配そうに見ていたらしい。


「ども、全部完了しました。周囲10km圏内にキラー・アンツが居ないのを確認しました。

キラー・アンツ・リーダー15匹、キラー・アンツ・クィーン1匹もこの通りやっつけましたので、もう安心だと思います。」

とそれらの死骸を出して見せると、


「「「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

と響めく村人達。


海渡は、村長さんから討伐完了のサインを貰った。


しかし、キラー・アンツが殲滅されたのに、村人達の顔色が冴えない。

「あのー、何かお困り事ですか? キラー・アンツはもう居ないのですが、顔色が悪いですね。」

と聞くと、今回のキラー・アンツ騒動で、かなりの畑がキラー・アンツ達に踏み壊されたりして、ダメになったと。


海渡は畑を見て廻ると、踏み荒らされて折れたり倒れた野菜が横たわっていた。


「ああ、これじゃあ、暗い顔もするよな・・・。」

と海渡は納得し、


「この畑が踏み荒らされたのって、正確には何日前ですか?」

と聞くと、4日前らしい。


ふむ・・・。

畑から、全員を待避させて、海渡は5日分時間を巻き戻すイメージを高め、『リワインド』!


各畑のエリアが白く光り、倒れた野菜達、踏み荒らされた苗が元通りになっていく。

光が消えた後、更に土地がキラー・アンツの毒に汚染されないように、浄化をかけた。


最後はラピスの泉の水をミスト状にして全ての撒いた。


畑の植物が光り、元気良く成長を始める。


「「「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」」

と言う村人の歓喜の雄叫びが鳴り響く。


村長に、

「じゃあ、これで、俺達は帰りますんで。美味しい野菜作って下さいね!」

と言い残し、レイアを頭に乗せて、王都に戻った。

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