第374話


異世界3ヵ月と25日目・・・1月17日。


流石に昨夜の作業の影響で、日の出と同時ぐらいに目が覚めた。


「ふぁ~~。良く寝ちゃったw」

と目をこすりながら開けて、慌てて、フェリンシアと地下訓練場に行くと、第一期生が第二期生を指導していた。


うんうん、良いなww


「お! みんな頑張ってるな! すまん、昨日ちょっと遅くまで作業したから、寝坊しちゃった。」

と挨拶をすると、


「「「「「「「「あ、ボスおはようございます!」」」」」」」」

と一斉に声を揃えてご挨拶。


なるほど、呼び名はボスに統一したのか?


「一応、武術のスキルに合わせ、各自で型を指導しておりました。」

とラルク少年。


「そうか! 良いな! じゃあ型が終わったら、軽く実戦稽古で少しずつペースアップして行こうか!」


「「「「「「「イエス・サー」」」」」」」




朝練が終わり、朝風呂を満喫中の海渡は思わず湯船の中で鼻歌を歌ってた。


「兄貴! 何か面白い顔をしてますね。何かまた仕掛けました?」

と鋭い一番弟子wwww


「ふっふっふ。流石だな! 良く分かったなww」

と海渡が笑う。


「へへっ。兄貴丸分かりっすよw 悪い笑み漏れてるっすw」

と得意気に笑うラルク少年。


「そうか? そんな悪い笑み漏らしてたかw」

と言いながら、クックックと笑い声を漏らしてしまう。


そして、

「まあ、後で見せてやるからww」

と言って風呂から上がるのだった。



朝食の後、海渡は弟子ズを連れてゲートで旧帝都の宮殿跡地へとやって来た。

そして、昨夜の作業の結果出来たこの世には無い、丘の上にそびえ立つ超巨大なビルディング。

良く見ると、統合型宿舎に似てはいるが、サイズが全然違った。


あまりの姿に上を見上げ、ポカンと口を開けてる弟子ズ。

それを見て、クックックと笑う海渡ら3名。



「どうだ?」

と海渡が言うと、ハッと我に返った弟子ズが、


「「「「「「「凄いです!!」」」」」」」

と声を揃えていた。


そして、目の前の丘の一部が開き、通路が見えて来る。海渡は自動車を2台出して、分乗して通路を走って行き、終点のロータリー脇の駐車場へ自動車を入れた。


自動扉から建物の中に入るとエントリーホールになっており、セキュリティーゲートを潜ると、フロントと10機のエレベーターがあった。

エレベーターで10階を選択すると、海渡らの部屋と、食堂、書斎、と風呂があるだだっ広いフロア。 まあこれはあれだ、そのうちなw


ザックリ説明すると、以下のような感じとなる。


R ラピスの泉庭園 飛行場 管制タワー

10階 海渡らの部屋、食堂、書斎、その他の部屋、風呂・・・

9階はゲストルームと側近の部屋が多数と風呂。

8階はゲストルームとゲスト用の食堂

7階はホールが3つ。

6階各省庁の執務室。

5階謁見の間?

4階大浴場

3階従業員宿舎

2階大厨房

1階大食堂

B1 従業員宿舎

B2 従業員宿舎

B3 託児ルーム

B4 エントランスホール

B5 地下訓練場

B6 研修場 教育ルーム 調理ルーム

B10地下工房

B11地下工房

B12地下工房


とまあ、一部未定部分もあるが、こんな感じ。

なんせ、ここまで短時間で仕上げて貰ったから、しょうがない。


そして屋上に出ると、その眺めは最高だった。

遙か遠くの城壁が微かに見え、城下町を一望出来る。


そして、昨夜作ったこの宮殿を取り囲む壁の外には、全帝都民が集まったのではないかと思う程の人垣が出来上がっていた。


さぁ、ショータイムを開始するぞ!


海渡は、一度ゲートで、適当な場所に出て、2号機を出し乗り込み、離陸後に帝都の外の上空へと出て、上空100mをユックリと飛びつつ、タブレットからコマンドスクリプトを起動すると、


「(ラッパの音)パーペーパッパラパッパパパペパペー♪~~ パーページャンジャラジャジャジャンジャラジャッジャジャン♪ パーペッペッペッ パペッペッペッペップパプー♪~~」

と鳴り響くは、そう!軍艦マーチ!!!


ザワザワと、パニックを起こし始める集まった民衆はまた巨大なモニターが展開されたのを見る。

上空にも・・・そして城壁の上(海渡が昨夜仕込んだ)にも。



そして、モニターには、海渡の乗る飛行機が登場する。海渡は操縦を弟子に任せ、マイクを使い、リアルタイムに語りかける。


「落ち着け、民衆達。」

と呼びかけ、上空から宮殿の屋上へと着陸する飛行機だが、途中でリヤハッチが開き、海渡、フェリンシア、ステファニーさんが続いて飛び降りる。


飛び出す海渡らに、悲鳴が上がるが、飛行機は着陸するものの、海渡達は空を飛び、宮殿の前でホバリングする・・・あたかも底に地面がある様に。


海渡はいつもの真っ黒なパンツ、ジャケットにコート。背中には長刀。腰には小刀。

フェリンシアは同じくいつもの、赤のパンツに、ジャケットにコート、腰の左右には小刀を1本づつ装着。

ステファニーさんは、同じく城ののパンツに、ジャケットにコート、腰の左には小刀を1本装着 左には、ハンドガンをホルスターを点けて装着し、背中にはタンクガンをしょっている。


「俺の名は海渡。海渡さえじま だ。 先日我々は女神ジーナ様の命により、この腐った国を神罰にて滅ぼした。 そして、女神ジーナ様の命により、ここに神王国 日本を建国する事を宣言する。」


そして、周囲を見渡し、

「何故、この様な子供の姿で・・・何を言ってる、何が出来る?と不思議に思うだろう? それはこの姿の方が、人の善意や人の悪意を見やすい様にとこの子供の体にして下さった。

ふふふ。この子供の体であっても、十分に戦う事が出来るぞ? ワイバーンであろうと、ヒュドラであろうと、この通りだw」

とヒュドラの首を7つ空中に取りだした。


「そして、我が従魔は『クィーン・ベヒモス』のレイアだ。」

とレイアに合図し、レイアがフェリンシアの頭から離脱し、強大な姿のまま、空中に漂う。


「旧帝国民に告ぐ。俺は約束しよう。女神ジーナ様に感謝し、俺を信じ、日々真面目に努力する国民には今より良い国にし、全員に笑顔と相互の信頼が生まれる国にすると。

そして、非道な行い、他人の尊厳を踏みにじる者、違法な犯罪を犯す者や集団は畏怖せよ。貴様らには産まれた事すら後悔する程の地獄を見せると。

女神様はこの世界に、人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族 等様々な種族を作られた。これはどの種族が優れどの種族が劣っていると言う事ではない。

それぞれがそれぞれの強み、弱みを補い合いつつ、より良い世界を作る様にと作られたのだ。どの種族も平等である。

種族等で差別や人にあるまじき行為をする者は、女神様も、そして俺も許さない。

だから、神王国 日本 では隷属の首輪を禁止する。

人を隷属の首輪で無理矢理言う事を聞かせ、人の尊厳まで踏みにじる者よ、恐怖しろ。次はお前の番だ。


あともう2つ約束する。

全国民が、文字を読み書き出来て、計算が出来るのが当たり前の国にする。

すぐには無理だが、2年以内に学校を設立し、各都市で成人前の子供は無償で教育を受け、より輝く未来の第一歩を歩める様にする。


最後の約束は、

この国は、この大陸の東に位置する国である。つまり何処よりもいち早く朝が来る、日出ずる国である。

日出ずる国、日の本、つまり日本を、誰もが羨む程の平和で進歩した素晴らしい国にして、胸を張って神王国 日本の国民である と誇りを持って言える様にする。


その為には、全国民が一致団結し、前進する事が必要である。

今日はここに集まった旧帝都の民に福音を預けよう。

と言うと、海渡、フェリンシア、ステファニーさんの3人は魔力を集め、帝都全域をロックし、欠損部位が修復し、内蔵や脳の損傷を修復し、ばい菌やウィルスを殺し、そして何よりも心が浄化されるイメージで『ヒール』を発動した。




すると、城壁の周りに集まった人々、家の中に居た人、寝たきりの人、路地裏で倒れていた人、欠損部位や重病患者・・・・それら全ての人の体が激しく光り輝き、元通りの健康な体に戻っていた。


「「「「「「「「「「「「うぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」」」」」」」」」」」


鳴り響く地響きの様な声、「見えるぞ!」「足が動くぞ!」等の声も混じっている。


その奇跡の様なシーンをドローンは撮影し、全国へ配信していた。


うーーん、流石に全域はちょっと疲れたなw 欲張りすぎたか?

と内心、成功してよかったーーw と冷や汗を掻く海渡ら3名w


「旧帝都以外の都市に住む者達よ、我々が順番に廻って福音を授けるので、安心して待っていて欲しい。 病気で苦しむ者よ、もう少しだけ頑張れ! すぐに行く。

尚、俺、海渡さえじま に付き添うこの両名は、 こちらがフェリンシア  こちらがステファニー・ヨハンソン と言う。

新しい法律やその他は、追って知らせる。

最後に再度言う、我が国に潜む悪人共よ! 震えて眠れ。 直にお前の番が来る。  以上だ。」

と海渡、フェリンシア、ステファニーさんの3名はゲートを使い、空中に消えたww 屋上に出たんだけどねw


「「「「「「「「「「「「うぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」」」」」」」」」」」

そして、また割れんばかりの大歓声。


そして何時しか・・・

「「「「「「「「「「「「カイト! カイト! カイト! カイト!・・・・・」」」」」」」」」」」」

とカイトコールが鳴り響いた。

そこまでで、終了コマンドを送り、配信が終わった。ガラスディスプレイが格納された。


それでも暫くコールと拍手が続いたのだった。


「ふぅ~~♪ どうだった?」

と弟子ズに聞くと、全員が親指を立てて、

「「「「「「「ボス!最高でした!!!」」」」」」」

と目をキラキラさせていた。



最後の最後まで国名を悩みに悩んだのだが、やはり元の世界で最古の国、その日本人として 日本と言う国名を使いたかった事が大きかった。

しかし、帝国となると、皇室となる・・・それは日本人として、自分が皇帝を名乗るのは、不遜で不敬だと思うので、王国と言う形にしたのだった。

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