第319話

ここからが、本来の8月31日アップ分となります。


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食堂には大きなテーブルがあり、沢山の子供らが座って待っていた。


「カイ坊、これが我が子供達だ!」

と獣王。


え!? 15人居るんですが・・・

あ、フェスちゃん入れると16名!

まあ、見た目の判断だが、上は19歳~9歳ぐらいって所かな? 見た目は当てにならないけどね!

ライオン族5名、狐族5名、兎族3名+フェス、猫族2名。


ん??? 猫族? もしかして妾の子って事か? いや、突っ込むのは止めよう。



「凄い大家族ですね! あ、みなさん、初めまして、カイトと申します。隣に居るのがパートナーのフェリンシア、その隣がスタッフのステファニーさん、後ろが弟子のミケ、パトリシア、キャスです。

みんな冒険者であり、当方の商会のスタッフでもあります。」

と頭を下げて挨拶をする。


「おう、お前ら、間違ってもカイ坊や、その仲間に手出すなよ? さっき城門で調子こいた守備4番隊のガルーダ副隊長が軽く瞬殺されたからな?

流石に俺も勝てる気がしない・・・と俺の本能が言っている。

良いか?国を破壊されたくなかったら、手を出すなよ?」

と人聞きの悪い事を言う。

まあ、あと2週間ぐらいで、一国潰す予定なんだけどなw 獣人の本能恐るべし。


ガルーダ副隊長の件を知らなかったらしい奥方ズは

「あらあら、まあまあ」

と驚いているし、


フェスちゃんは、

「流石、カイ兄しゃま❤」

と目をキラキラさせていた。


「親分、あっしもちゃんと紹介してほしいっすよ! 段々なんか扱いが雑になってるっすよ?」

とレイアがブツブツ文句を言っている。


「あ、あっしはレイアっす。親分の舎弟っす。宜しくっす!」

とレイアがフェリンシアの頭の上から離脱し、プヨプヨ浮かびながら、ご挨拶してる。


「「「「!!!!!」」」」


みんな口をアングリと開けてる。


「ああ、こいつは俺の押しかけ従魔です。まあ適当に。 余り手を出すと、食われちゃうので注意して下さいね。」

と言っておいた。


「「「「「えっ!」」」」」

と言う顔をしている。


獣王、フェリンシアがクックックと笑っている。





席について、次々に運ばれて来る料理を頂く。

どれもスパイスが効いていて、美味しい。


「流石はサルドの料理ですね! どれも巧みなスパイス加減が美味しいです!!」

と海渡が褒める。


「そうか、気に入ったか! じゃあ、こっちに住まないか? そうすれば、俺もちょくちょくフェスの顔も見れるしw」

と獣王。


「いやいや、流石に住めませんよ。これでも結構彼方此方をたらい回しになってましてね。文字通り飛び回ってるんですよ。

ん?? いやいや・・・何フェスちゃんを貰って帰る前提になってますか? 恐ろしいわぁ~ もうチョイチョイ罠を混入するの止めて貰えませんかね?」

と既成事実的に流されるのを拒否する海渡。



「ちっ・・・」

とまた獣王の舌打ちが。



すると、隣に座ってるフェスちゃんが、海渡の方を向いて、

「カイ兄しゃまは、フェスの事、嫌いでしゅか?」

と目をウルウルさせて見上げて来る。


宥める為に頭を撫でようと少し手を伸ばしつつ、

「いやいや、そんな事は無いけど・・・ って今気が付いた! 何で席順まで隣に!?」

と慌てて手を引っ込め、ガクブルする海渡。


恐ろしいわぁ・・・油断も隙も無いわぁ・・・。


一心不乱に食べていたフェリンシアが、ツボに入ったらしく、腹を抱えて声無く笑っている。


「フェス・・・恐ろしい子・・・」

とステファニーさん。





昼食が終わり、食後のコーヒーを飲みながら歓談タイムに入る。



「で、カイ坊の探してるカレーとやらはどうだった? カラミティシチューだったか?」

と獣王が聞いてきた。


「いえ、残念ながら、多少は近いんですが、ちょっと違いました。でもお陰様で大体のスパイスの配合の目安が付きましたよw」


「ほう! 一度食っただけで、スパイスの配合比率が判るのか!!」

と驚く獣王。


「まあ、大体ですが・・・そして何が足りないのかも大体検討が付きました。まあ完成したら、ご馳走しますよ。」

と海渡。


そう、食べたカラミティシチューの配合比率は智恵子さん情報で分かり、日本のメーカーが出している、某金色カレーの味に近い物にする為のスパイス等が調理スキルコンプの海渡には判る様になっていた。

今の俺に、死角はない!! と心の中で叫んで、思わず、クックックと黒い笑みを浮かべてしまう海渡だった。


海渡の黒い笑みを見て「あ、あいつ何かヤベー!」って顔でドン引きする向かいの席の獣王チルドレン。

きっと、彼らは海渡らに絡む事は無いだろう。

しかし、狐族の女の子(推定12歳)は目をキランと輝かせていたのだった。



そう、海渡は、希に見る優良物件だったのである。

話を総合すると、創業僅か3ヶ月でワンスロット一の商会にのし上がり、強さは折り紙付き、史上初のSSSランク冒険者。神災級のシルバー・ベヒモスを従魔に従え、それさえもが恐れる戦力。

見た事も聞いた事も無い様な魔道具を自ら作り、可愛い笑顔(この子には黒い笑みが可愛く見えたらしい)を持つ心優しい少年。

しかも、大人顔負けの知性ある会話・・・どれを取ってもパーフェクトだわ!!!


と、目をギラつかせてしまうのであった。

この狐族の少女・・・名はプリシラ 歳は6歳、獣王の五女である。

金色の髪に、金色の耳、金色のフサフサモフモフの尻尾を持つ。

それは・・・実にケモナー心を擽るモフモフ感なのである。

そして、種族的特徴か、頭の回転が速く、とても賢い子だった。


そのプリシラが動く!

「お父様、私、トリスターのカイト様の商会を後学の為に、是非とも見学したく思います。」

と獣王に直訴する。


「ハハハ、流石は俺の娘プリシラだw よし、許可するぞw」

とニヤリと笑う獣王と、横を向いて、「よっしゃー!」とばかりに小さくガッツポーズするプリシラさん。

そうすると、「あっ、出遅れた!」って顔をしているライオン娘2名、猫娘1名が居た。



うっへ~ 面倒くせぇ~~


「だがしかし、断る!!」

と即答する海渡。


すると、プリシラさんが食ってかかる。

「何でよー!! フェスが良くて私の耳や尻尾はダメだって言うの?」

と何か明後日方向の文句を叫んでるし、獣王は、ガーーーンって顔してるし。


「別にフェスちゃんやプリシラさんがダメとかでは無く、単純に面倒だからです。

来年早々から色々と私事ではない予定が沢山ありまして、今回やっと年末年始だけ休みが取れたので無理してこちらに来た状態なんですよ。

なので、来て頂いても、部屋もご用意は出来ませんし、お相手出来る時間も無い状況なのです。

一応、これでも3000名程のスタッフの生活も掛かっておりますので、申し訳ありませんが・・・。」

と正論で撃破した!つもり・・・。逃げ切れたか?


「あ、あたし、諦めないからね!!!」

と可愛いホッペをプクーと膨らませている。


「カイ兄しゃま、フェスも頑張りましゅ!!」

と目に涙を溜め、両手の拳を胸元で握りしめてるし。


うーん、ヤバいな諦めが悪い・・・。

と心の中で唸って居ると、ナイスタイミングで通信機の着信音が鳴り響いた。


思わず、心の中でガッツポーズする海渡。


「ん?? 何の音だ?」

と獣王がキョロキョロしてる。


「ああ、すみません。通信機と言う魔道具の着信音です。 ちょっと緊急かも知れないので、出ますね。」

と椅子から立って、部屋の隅に移動する海渡。


「はい、海渡です。」


『あ、カイト君? ワシじゃよ、王様じゃ。 カイト君、酷いよ君~。ワシ拗ねちゃう世?』

とこれまた面倒方からの連絡でした。


「あ、王様。ご無沙汰しております。 何か問題ありましたっけ?」

と言うと、


『またまたトボけちゃって~。聞いとるよぉ? なんでもお伽噺に出て来る実とお肉あるそうじゃない?」

と王様。


「え? 情報早いっすねぇ~ww ユグドラシルの実とタンカー・ホエールの肉の件っすね?」


『で、どうなのよ? 分けてくれるの? 何なら、代わりにうちの末娘をカイト君にやるぞ? 前に飛行機の試乗した時から、呼べ呼べと五月蠅いんじゃよ。貰ってくれない?』

とここにも居たよ・・・娘をヤルヤル言う方が・・・。


「あ、いえ、娘さんって王女様でしょ? 謹んでご遠慮致します。 まあそんなお気遣いなくても、ちゃんと新年になって営業再開したら、お裾分けに行かせますから。」

と海渡が言うと、


『え?貰ってくれないの? まあ、カイト君忙しそうだから、良ければ、ワシがトリスターに取りに行っても良いんじゃが?』

とまたばた厄介な事を言う王様。


「いや、ほんっとうに、勘弁して下さい。 やっと久々に休み取れたので、今サルド共和国に居るんですよ。だから、大人しく1月4日まで待ってて下さいよ?」

と海渡が念を押して、通信を切った。


「ふぅ~・・・まったく・・・」

と席に戻ると、獣王もその家族も、口をポカンと開けて固まっている。


「あれ? どうされました?」

と海渡が聞くと、


「あ、いや今のってワンスロットの王様と話してたのか? えらくフランクな感じだったけど、良いの?」

と再起動した獣王が聞いてくる。


「ああ、結構お茶目で厄介な方なんですよねw そう言えば、大体あんな感じですね。」

と答えると、


「そ、そうなんだ・・・。 で、何かお伽噺に出て来る架空の木の実の名前とか、海の魔物の名前が聞こえた気がするんだけど、聞き間違いかな?」

と余所余所しい獣王。


「ああ、ユグドラシルの実とタンカー・ホエールの事ですか? どちらも、先日運良く手に入りましてね。

タンカー・ホエールはまあいつでも手に入れようと思えば手に入りますが、ユグドラシルの実は500年に一度なんで、ほんとラッキーでしたw」

と海渡が言うと、アングリと口を開けてまたフリーズしたのだった。

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