第290話


異世界3ヵ月と3日目。この世界の暦では12月23日。


「大丈夫、ユグドラシルの実の採取、忘れてないぞ!w」

と日の出前に目覚めて再確認する海渡。



早速、地下工房に行って、ヒラメ君のラインが問題無い事を確認し、次は自動車のラインを確認。

どれも正常に動作している。


ついでに、一度自動車のラインを止め、各パーツの製造ラインと組み立てラインを接続し、ヒラメ君同様に完成品だけを排出する様に調節した。

更に、飛行機格納庫用の時空間共有倉庫に排出する用にリンクしラインを再稼働した。


次に、棟梁達の完成状況を確認し、新しいセットを作成して行く。

集合施設に関しては、トリスター型、王都型、共に22セットが海渡のアイテムボックスに溜まっている。

店舗セットの方は15セット。

これは、既に全73店舗を交換してしまったので、今後の予備として持って居る状態。

なのでそろそろ、店舗セットは打ち止めとした。

しかし、温泉はまだ未配置の所が多いので、今後も増やして全支店に配置する予定。


宿舎に関しては、個別宿舎がかなり余っているので、これは今後、支援用施設として各地に一般開放しようかと考えている。

これがあれば、各都市のスラムが一新出来るからである。

まあ、宿舎だけ作っても生活の糧が無いとダメなので、仕事口も一緒に創世する必要があるのだが。

そこら辺は各地の領主次第かな?



一仕事を終え、フェリンシアを起こして、屋上に上がる。

ラルク少年は、まだ来てないので、フェリンシアと本気の訓練を開始する。

5分程、スキルを使った全開の動きで、攻防を繰り返して居ると、ラルク少年がやって来て、音(打撃の連続音)はすれど、姿が見えない状況から察して、必死で動きを追おうと目と意識を集中し始める。

更に5分程、打ち合って終了にした。


「おはよう、少しは見えたかい?」

と海渡が言うと、


「兄貴、姐さん、おはようございます。いやぁ~最初は全く見えなかったんですが、スキルを全開にすると、逆に姿の残像だらけでww

それでも諦めずに必死に見ていると、残像数が減りましたが、まだまだ先は遠い感じです。」

と苦笑いしていた。


「さあ、今日は俺とフェリンシアの2人で仕掛けるから、頑張って捌いて、多重処理スキル生やそうぜww」

と朝の一発とばかりに、骨粉入りのハチミツ水を一杯渡す。

まあ、既に効果は持続している筈だが、一応念のためである。


フェリンシアもツンツンして来たので、フェリンシアと自分の分の2杯も出して、3人で飲み干した。


「うぉー、朝から来るねぇwww」

と危ない薬をやってる様な台詞の海渡。


そして、軽くウォームアップをさせて、二人掛かりの稽古と言う名の滅多打ちを開始。(勿論海渡達はスキルなしから始める)

1分置きぐらいで徐々にペースを上げて行き、昨日の最後のペースまで上げるて行く。


ラルク少年は、段々と捌くのが難しい状況になってきている様子。


「良いか、同時に考えるんだ! もっとペース上げるぞ!」

と宣言しつつ、少しペースを上げる。


更にペースを上げた所で、突然ラルク少年の捌き方が、目に見えて変わった。

お、生えたな?


そして、更にペースを上げて、追い込む事5分。

海渡とフェリンシアの木刀が、ラルク少年の喉元で寸止めされた。


「なかなか後半の動きは目に見えて良くなったな。スキル生えたろ?」

渡海とが言うと、ニヤリと笑いながらラルク少年が、


「ええ、流石兄貴、お見通しっすかw それとは別に、Lvも上がったっす。

普通、こんなに簡単にレベルって上がらないと思ったんですが、流石兄貴と姐さんです!」

と喜んでいた。


「そうだ、今日は定休日で休みだから、お袋さんに言って許可が出たら、ラルクも着いて来るか? 場外にちょっと用事あるから、1日作業する予定なんだよね。」

と誘ってみると、


「本当っすか! あっしが、着いて行っても邪魔じゃないですか?」

と興奮するラルク少年。


「フェリンシア、別に構わないよな? 小さい魔物とか居るかもしれないから、更地にするついでに、実戦入れても良いし。」

とフェリンシアに聞くと、ニッコリ笑って、OKサインをしていた。


「じゃあ、お母さんに聞いて来るっす!」

とピューッと居なくなったよwww


フェリンシアと2人でラピスの泉の水を飲んで、朝風呂に入る。


風呂場で、レイアを洗っていると、ラルク少年がやってきて、

「許可貰ったっす!」

とニコニコしていた。


風呂から上がって、ステファニーさんと一緒に大食堂へと向かう。


今日は休みなので、適当にアイテムボックスに入っている物を食べる事にした。

(一応、共有倉庫の物を食べても良いのだが)


海渡は、久々に雑炊をチョイスし、その匂いに釣られ、フェリンシアとステファニーさんも、雑炊とうどんを食べる事にした。

うどんの匂いに釣られた、スタッフ達が、指を咥えていたので、希望者に出してやる。

雑炊を希望する者には、雑炊を出してやる。


~~


と何だかんだで、結局全員が海渡の出した物を食べていたww


食器をクリーンで綺麗にして収納し、準備完了。


ステファニーさんを誘うと、


「勿論、一生着いていくがなw」

と返事に困る様な微妙な返し。

まあ、本人は大喜びしているから、スルーする事にした。



「じゃあ、少し休憩したら行くかな。」

とマッタリ、食後のコーヒーを飲みつつ話すと、


「あ、海渡、2人連れて行きたい子が居るんですが、良いですかね?」

とフェリンシアが聞いて来た。


あら、珍しいw


「良いよ。どんな子なの?」

と聞くと、凄く魔法の素養がある子が2人居るらしい。


先日の海渡の魔法講座?にも出ていた子で、孤児で孤児支援の宿舎に居る子らしい。

フェリンシアは、前々から魔法をレクチャーしているそうだ。



「へー! そうだったんだ? 知らなかった。勿論良いよ!」

と言うと、早速誘いに行っていた。



暫くすると、フェリンシアが2人の女の子を連れてやって来た。

「海渡、この子達です。 こちらがアンちゃん、こちらがサニーちゃん。」

と紹介してきた。


2人は少し、モジモジしながら、

「いつもお世話になってます。アンです!」

「サニーです!フェリンシアお姉ちゃんにいつも良くして貰ってます。」

と頭を下げて来た。


栗毛色の髪のアンは7歳、金髪の髪の毛のサニーは6歳らしい。

可愛らしい子達だった。(うん、ロリコンじゃないからね!!)


「急に誘ってごめんね。朝食は食べた?」

と聞くと、まだだった。


「じゃあ、先に朝食だな。 何食べたい? スタンダードな朝食が良いかな?」

と聞くと、何でも良いとの事だったので、トーストにベーコンエッグ、ビーフシチュー(肉はカモフラージュ・カウ)、サラダ、ミルクを出してやった。


すると・・・横から、ステファニーさんが袖をツンツンと引っ張り、反対側からフェリンシアが肩をツンツンして来たので、2人の分も出してやった。

更に、レイアも欲しがったので、レイアの分を追加した。


「あんたら、良く食うねぇwww さっき朝食食べたのにw」


そこへ、ラルク少年が合流し、

「あれ?兄貴、今から朝食ですか?」

と聞かれ、


「おう、ラルクは食べたか?」

と聞くと、お袋さんと部屋でサンドイッチを食べただけらしい。


「ん?それだけで足りたか? 同じの食うか?」

と聞くと、はい!と良い返事が来たので、更にもう1食追加で出す。


目の前で子供らがモキュモキュと幸せそうに食べてるのを見てると、海渡も腹が減った様な錯覚を起こし、結局海渡も自分の分を出して、食べ始める。


「だーー!釣られて食べちゃったwww」

と笑いながら、再度食後のカフェオレを飲んで、トイレも済ませ、宿舎を後にした。

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