第289話
「いやぁ~、長かったなw まあお世話になっているし、元はと言えば、旧領主館を頂いた事だし、こっちからご招待すべきだったかな?」
と少し反省しつつ、ドローンの制作に地下工房へと戻った。
さて、大型ドローンこと『ヒラメ君(仮)』だが、エンジン部分の作成に取りかかる。
と言ってもそれ程大した事はなく、今回は飛行船型にして、定位置にホバリングする事が主な目的なので、飛行速度はそれ程重要ではない。
更に言うと、強化TFGと魔力的超伝導リンクの恩恵で、小型のジェットエンジンでも、最高の効率となる事が、決定事項だからだ。
下手に大きい魔動ジェットエンジン作っちゃうと、それこそヤバい。
よって、今回は飛行機で使用しているジェットエンジンよりも細めのエンジンにする。
前後の翼4枚に同型のエンジンのモックアップを融着した。
次に、ガラスディスプレイの展開機構の必要パーツを作成した。
ついでに、この機構に魔動スピーカーも一緒に展開するように変更を施してある。
次は、ランディングギアの機構を作成した。
これで、機体側の原寸大モデルはOK。
専用の大型強化TFG造形ラインを作成した。
更に魔動サーボの製造ライン、レーダー&ナビの製造ライン、キャノピーの製造ライン、魔力的超伝導リンク用ライン・・・~~(ry。
全て完了し、1機分のパーツを揃え、試作機を組み上げる。
最後はこのドローン用プログラムだが、遠隔/自立/マニュアル操縦を遠隔でもコクピットでも行える様にし、更に機体に最適化したたぐらい。
後は今回新たに追加した、ガラスディスプレイ展開/収納、ランディングギア機構、魔動ネット経由のガラスディスプレイ表示機能を追加したぐらいだ。
海渡は完成した機体をアイテムボックスに入れ、最南端の別荘へとゲートで飛ぶ。
タブレット(絶界の森の監視用に作った物に遠隔操作を付加した)を取り出して、100m離れた海面の100m上空に飛ばし、ディスプレイ展開して、5分間表示し、再び出発点に戻って着地する様に設定した。
ちょっとドキドキしながら、
「テストフライト開始! ポチッとな。」
と宣言しつつ、スタートをクリック。
大型ドローンがフワリと浮かび100m上昇した後、アッと言う間にに100m先へ移動し、ホバリング。
底面のハッチが開き、ガラスディスプレイが垂直から30°傾いた状態で展開した。映像の表示を開始。
すぐに、トリスター本店の店内映像が表示される。
「うん、このサイズなら100m以上離れていても大丈夫だな。」
ドローンはプログラム通り、一定座標に固定されているかの如く、微動たにしない。
ちょっと意地悪な風速30m級の疾風を、ドローン目掛け風魔法で掛けてみたが、やはりピクリとも動かなかった。
ディスプレイのガラスも割れていない。
そして、5分が経過し、ガラスディスプレイを収納したドローンが出発点に綺麗に着地した。
「うん、成功だねw と言うか、これかなりヤバいの作っちゃったんじゃないかな? 明らかにオーバースペックな気がする。
これで自動で航空部門を運航したら、パイロット要らずだよね? ヤバいなぁ・・・自分が作った職種を自分で潰すなんて、ジャンセンさんに怒られちゃうなぁ。」
とやっちまった事に気付いてしまうのだった。
今度は、中に乗って、自ら操縦桿を握り、テスト飛行をしてみる事にした。
「さてっと、このドローンの性能は如何ほどかな?」
とワクワクしながら、離陸。
100mまで上昇して、上昇しながら、雲の上に出て、スロットルを全開にした。
すると、バケットシートに叩き付けられる様な衝撃と共に、爆発的な加速をして行く機体。
そして、「ズドン」とアッサリ音速を突破。
「やっぺーー!!! はえぇ~♪」
速度計はそれでもドンドン上がり続け、現在マッハ2を超えた。
「うっひょーーー!! 音速の2倍きたーー!!!」
更に天井知らずに速度が上がり、マッハ3・・・マッハ3.5・・・マッハ4!!!!
一応、光魔法のシールドは掛けているが、シールドの周りは空気の摩擦で薄金色に輝いている。
そして、マッハ5まで来てしまった・・・。
『智恵子さん、これ滅茶苦茶早いんだけど、機体って大丈夫そう?』
と聞いてみると、
『機体自体はマッハ10ぐらいでも大丈夫ですが、エンジン的にはマッハ5.2ぐらいが限界でしょうね。
エンジンの強度的な物ではなく、単純に空気の流入効率の限界点です』
との事だった。
「なるほど、これは早いし、丈夫だなw おっと、かなりの距離を飛んでしまった・・・。」
と速度を時速500kmまで落とし、ゲートで別荘上空へと出た。
別荘横に着地して、ヒラメ君を収納して、地下工房へと戻った。
速すぎると言う以外の問題が無かったので、これもこのまま組み立てラインを作り、
全てのパーツ類のラインと組み立てラインを結合して、完全に自動で完成機が出来るまでのラインに改造した。
尚、機体のカラーは水色系のデジタルモザイクにし、赤いカイト印と機体のシリアルナンバーを各部に印字するようにした。
そして巨大な入り口を備えた時空間倉庫を作成した。
製造ラインの完成品はこの時空間倉庫にリンクする様にしてラインを起動した。
1機の製造に約5分・・・これで、明後日には作戦に必要な200機が揃う事となる。
予備を1割考え、220機を制作する予定。
次はこの機体が入る格納庫の作成だ。
既存の格納庫を拡張して、大きな格納庫を5個建てる。
シャッター部分と内部のリフトは手動モード/全自動モード/遠隔モードでも動作するようにした。
全てが完成し、地下工房を後にしたのだった。
上に上がって、託児ルームに居たフェリンシア&レイアと合流。
「フェリンシア、何か凄い機体を作っちゃったよw 音速の5倍まで速度出ちゃう。何かヤバいの作っちゃった。」
と言うと、フェリンシアは笑っていた。
「なんか、凄すぎて、実感湧かないですが、あまり人には言えないですねww」
と。
「取りあえず、戦争終わったら、暫くお蔵入りだな。 あ、明日はちょっとトリスターの城壁から離れた所に秘密基地を作りに行くから、付き合ってね!」
とお願いした。
「親分、勿論、あっしもお供しやす!!」
とレイアが割り込んで来た。
「え?来るの?」
と海渡が真顔で聞くと、
「親分、最近酷いっす!!」
と拗ねていたww
「そう言えば、レイアって土魔法使えるよね? 手伝ってみるか?」
と聞くと、
「おお!やっと親分のお役に立てますね? 任せて下さいっす!」
と妙に張り切っていた。
うーん、何かやらかしそうだから、止めとく? と首を傾げるてしまうのだった。
そして、その後の夕食時に問題発覚!!!
何か忘れている気がしていたのだが、自動車教習を最初に行った、ジャンセンさんとパイロット達・・・帰るのも忘れ、みんなで激走していたらしい。
流石に呆れて、ヨーコさんが叱っていた。
海渡は、
「あーーー、完全に忘れてたわww」
と苦笑いしていた。
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