第271話


10名+2名+1匹で、門を潜り、トリスター本店の前までやって来た。


「ここがさえじま商会のトリスター本店です。隣がカフェで、その裏にある大きな建物が、先ほど話しをした大食堂や託児ルームのある宿舎となります。

2,3日ユックリ休んで、体を慣らして行って下さい。」

と説明しながら、宿舎へと入る。


ヨーコさんに事情を説明し、2,3日休ませてからとお願いして、バトンタッチ。

大食堂で、10名に説明をするらしい。


海渡らも、大食堂でついでにお茶を飲んで一休み。


フェリンシアとステファニーさんに本日の成果を聞くと、

「最初はなかなか思う様に行かなかったんですが、2人ともちゃんと出来る様になりましたよ!」

と自身満々のフェリンシア。


ステファニーさんも、

「なぁ、聞いて聞いて!! うちも、土魔法でガッチリ固められるようになったで! 今日だけで土魔法のレベル4も上がったんやで?

しかもなぁ~ 魔力感知と魔力操作のレベルも上がってん。そのお陰で魔動波ビーコンをベースに潜れる様になってなww」

と胸を反らしていた・・・。


いや、ペッタンとか余計な事は考えるまい・・・。


「そうか、それは凄い進歩ですねぇww 流石ですね!」

と2人を褒めた。


「で、海渡の方は、結構波乱だったの?」

とフェリンシア。


「いや、ノルマ分が早く終わっちゃったんで、行った事の無い出張所レベルのビーコンへと廻って見たんだけど、78箇所目の村に出たら、盗賊の反応がマップに出てさ、飛んで行くと商会の馬車が襲われてて、助けたんだ。

で、35名+20名の盗賊をやっつけて、攫われてた女性と子供15名を救出してきた感じ。」

とサラッと説明した。



ゆったりと話をしていると、ヨーコさんの説明と契約も終えたようで、各自が部屋へと行くらしい。

先ほど怪我を治した4歳ぐらいの少年は、付き添っていたのが母親だったらしい。


ヨーコさんが、こちらに合流して、足りないけど、早めに人員を集めます! と意気込んでいた。


「カイト様は、このまま彼方此方フラフラ探索して貰えると、何か人が増えそうですねwww」

と笑っていた。



午後5時15分、一足先に風呂に入る事として、5階へと上がった。

丁度、大浴場の入り口前で、先ほど治療した少年と母親に遭遇した。


「お!お風呂ですか!? ここのお風呂はきっと気に入りますよ?」

と自慢気に海渡が言うと、


「ああ、何から何まで、本当にありがとうございました。まさか死ぬまでにこんな贅沢が味わえるとは思いもしませんでした。」

と頭を下げる母親と男の子。


「いえいえ、まだまだこれからですよ。 良い事沢山ありますから!」

と言って、男湯に入ろうとすると、


少年が、

「カイト様、おいらも一緒に入っていいですか?」

と聞いてきた。


何でも初めてなので、よく分からなくて、どうすれば良いか親子で悩んでいたそうだ。


「おう!一緒に入ろうぜ!入り方教えてやるぞw」

と言うと、喜んで着いて来た。


母親の方は、フェリンシアとステファニーさんが伝授するらしいw


少年と2人で、男湯の脱衣所に入り、衣服を脱ぎ、ロッカーへ入れる。

ロッカーの鍵を腕に付け、とタオルを持って、洗い場へと向かう。


少年に、洗い方や、洗面器の使い方、お湯の出し方~最後の片付けまで、実演しながら教え、ついでに頭を洗ってやったりした。


と言うか、気が付くと、レイアも一緒に入ってきてて、しょうがないので、レイアもゴシゴシ洗ってやり、綺麗にする。

海渡自身も綺麗に全身を洗い、サッパリしたところで、湯船に浸かる事にする。


何故か、レイアに触発されたのか、少年が海渡を『カイト兄貴』呼びに変化していたww


まあ、これはこれで悪くない。


2人と1匹は湯船に浸かり、

「「「あぁ~~♪」」」

と声を漏らす。


少年の腹の傷は完全に消えていたが、失った血や体力は早々復活しないので、ラピスの湯は最高に効くだろう。


「兄貴! これ最高っす!」

と蕩けそうな顔で言う少年。


「ああ、だけど、あまり浸かり過ぎてもダメだからな? 意識無くして溺れないようにしろよ? 溶けるなよ?」

と釘を刺し、10分程浸かって、身も心もリフレッシュして、上がったのだった。



風呂から上がると、男湯の前で心配気な母親が先に上がって待っていた。


「ああ、カイト様、息子の面倒を見て頂き、ありがとうございました。」


「いえいえ、全然問題ないですよ!」

と流しつつ、


「じゃあ、またな! 6時過ぎには大食堂で夕食が食べられるからね。ここの食事は美味しいぞーw」

と少年に言うと、


「はい、兄貴! 楽しみっす!」

と、はしゃいで、母親に締められていたwww


「ダメでしょ! 命の恩人のカイト様に、そんな口調で!!」と。


なので、海渡は

「ああ、別に構わないですよ? 歳も近いし、弟みたいなものだしww 俺自身、身内には、そこら辺は気にしませんから。」

とフォローをしておいたのだった。




部屋で待っていると、フェリンシアとステファニーさんが合流し3人と1匹で大食堂へと降りて行く。

本日の夕食はハンバーグらしい。


最近は、ご飯とパンを選べる様になっていて、海渡らは迷わずご飯をチョイス。

基本ヒッキーだったステファニーさんは、久々に魔力を沢山使ったからと、4人前綺麗に完食し、デザートのぜんざいも3杯補給していた。

まあ、フェリンシアも同じ量を食べていたんだが・・・ あんたら、燃費悪いねw


海渡は、大人しく1人前を食べ、ご飯だけお替わりして、シャケの身をほぐして、鮭茶漬けにして、お漬物と堪能。


それを見た周りのスタッフ達が、我も我もと真似をして、

「鮭茶漬け、うっめーー!!」

と唸っていた。


この日だけで、お漬物のストックの半分を消費してしまい、

「近々に買い出しに行かなきゃ!」

と項垂れるステファニーさんが居たw ドンマイ!!


「でも、ステファニーさんゲート使える様になったし、結構楽に買い出しに行けますよね? アイテムボックスも使える様になったしw」

と海渡が小声で言うと、


「そや!うち進化したんやったw もう絶界の森も怖くないで?(通らんでええしww)」

と宣っていた。

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