第247話


そんな商談を纏め、待ち合わせ場所に戻ると、フェリンシア達はまだ戻って来てなかった。


「長いなぁ~。下着をチョチョッと買うだけで、どんだけ時間掛かるんだよwww」

と海渡が笑いながら毒づいていると、10分遅れぐらいで、お二人さん登場。


「あら!? 海渡その格好は? 何か格好いいですよ!!!」

とフェリンシアが真っ先に気付き、駆けて来た。


「うん、待ってる間が長かったから、近所の店を見ていたら、凄いのを売ってたんで、契約して来たよ。

ちゃんとフェリンシアのもあるからね!」

と言うと、


「わーい! すぐに着替えたいです!!」

と言うので、赤と白、両方を出してあげた。

すると、迷いながら、どっちの色にするか悩んでいた。

「どっちもあげるから、日によって換えたりしたら?」

と提案すると、ハッとした表情で、


「なるほど、それもアリですね!」

と手をポンと打ち、一式を受け取って路地裏へと消えていった。


2分くらいで戻って来たフェリンシアのチョイスは赤だった。

「うん、似合ってよ!!可愛いし、格好いいね!!」

と褒めると、大いに照れていたw


羨ましそうに見つめるステファニーさんの視線に気付き、白のジャケットに付与を付けてからあげた。


「え? うちにも良いんか? わぁ~男の人から、物貰うん、初めてやわぁ~♪」

と嬉しそうにしていた。


「まあ、ズボンもあるんだけど、どっちかと言うと、ステファニーさんはスカートの方が可愛いと思うし、取りあえずジャケットだけね。」

と言うと、『可愛い』に反応したらしく、頬を赤らめていた。


海渡は早速ドラクさんに連絡し、オーガ皮の同じシリーズでスカートも出来ないかと相談を入れると、

「おう!任せとけ!」

との事だった。



更に40分程、3人で買い物の続きをしながら歩き、やっと教会へと辿り着いた。


ステファニーさんは、店でも見てくると行ってどっかに行ってしまった。


教会の敷地へ入ると、やはり結界を通った感覚を味わい、ワンスロット王国の教会と同じ事を確認した。


礼拝堂へと入り、女神様へご挨拶。

『女神様』



「ああ、海渡さん、フェリンシアさん、いらっしゃい!! コーデリア王国の教会は初めてですねw ちょっと寂しい感じでしょ?」


「はい、コーデリア王国に教会があるのを知らなかったのですが、昨夜聞いたので、伺ってみました。」


「そうなんですよね、エルフやドワーフの方は、どちらかと言うと精霊信仰に近い物をお持ちなので、粗末にはされませんし、礼拝にも節目節目で来て頂けますが、何となく寂しい感じになってますね。」

と女神様。


「でも、ここの国には孤児院が無くても、ちゃんと親を亡くした子らが育つ環境があるようで、ホッとしました。」

と海渡。


「まあ、子供の絶対数が少ないですからねぇ。長寿過ぎると、こうなっちゃうんですかねぇ・・・」

と女神様が嘆いていた。


「ところで、先日のワイバーン襲撃と、現在進行中の魔物達ですが、やはりゲルハルト帝国の仕業ですかね?」

と聞くと、


「ええ、前回の時、言い忘れてましたが、その通りです。海渡さんの推理通り、陽動作戦です。魔物に襲撃させて、意識をそっちに向けさせ、その隙に国境から兵を進軍させる気です。

更に、先日のワイバーンは各都市の城壁を壊して回るように、命令されていたので、陽動の魔物らに、各都市を壊滅させる気だったんでしょう。」

と女神様。


「なるほど、やはりそうでしたか。」

と深く頷きながら納得する海渡。


「それはそうと、海渡さん、稲作始めるのでしょ? ちゃんと海渡さんが喜ぶ様なお米の籾を用意してますよ!」

と女神様が麻袋を30袋出してくれた。


「おお!!! これは嬉しいです!!! じゃあ、これを育てれば・・・美味しいお米にありつけるんですね?」

と海渡が感動する。


「はい。あ、時間無いから、早く仕舞って下さいね!」

と急かされ、慌てて収納する。


「また早めに来て下さい。奴らの動向をチェックしておきま・・・」

と言葉の途中で、礼拝堂へと戻って来た。


「何か今回は尻切れトンボだったねw」

と笑いながら、フェリンシアに言うと、


「そうですね。お米の件で、ギリギリになっちゃったのかなw」

とフェリンシアも笑っていた。


「お米、楽しみだね。女神様ありがとうございます!」

と一礼をしてから礼拝堂を後にした。


教会を出ると、ステファニーさんが待っていた。

時間も丁度良いので、3人で寿司屋さんへと向かい、早めの昼食にした。


「こんちは!大将!!」

と挨拶をして入ると、


「おう!坊主!! 今日も持って帰るのか?」

と向こうから聞いてくれたw


「ええ、ここで食べて、お持ち帰りもお願いします!!!明日こっちを発つので・・・。」

と言うと、


「しょうがねぇなぁw お、今日は3人か! あれ?あんた・・・ステファニー・ヨハンソンだよな?」

と大将が驚く。


「へへ、そうです。今度このカイト君の商会に入れてもろたんでw」

とステファニーさんが言うと、大将が驚いていた。


早速握ってくれたお寿司を堪能しつつ、海渡は2人前、フェリンシアとステファニーさんが3人前づつ食べていた。

お持ち帰りも30人前用意してくれて、代金を払った。


そこで、海渡は大将にお願いしてみる。

「大将、もし良ければですが、次回来る時までに、お持ち帰りセットを作り溜めして、このマジックバッグに入れておいて貰えないですかね?

このマジックバッグだと時間経過も重量も無しになるので、作りたてのまま、保存する事が出来ます。

お金は事前に前払いで払って置きますので、お願い出来ませんか?」

と懇願してみた。


「え?マジックバッグって、滅茶滅茶高価な物なんじゃねぇのか? そこまでして俺の寿司食いてえか! 判ったよwww」

と照れながら快諾してくれた。


マジックバッグを初期化して貰い、ついでに通信機を1つ渡して、海渡の番号と使い方を教えた。

更に、自動炊飯器の1升炊きを1つプレゼントし、使い方を教え、実演して見せると、


「なんだよ、これ! 竈で炊くのと変わらないどころか、逆にこっちの方が美味いんじゃねーか?」

と驚いていた。


海渡は、若干嬉しげに

「ポイントは火加減と圧力ですよww」

と胸を反らしていた。


更に、金貨を2枚渡し、また次回来た時に、次のお金も払うと約束し、お礼を言って店を出た。



店を出ると、ステファニーさんが、

「しかし、カイト君、エライ強烈な買い物の仕方やなぁ・・・。自分、魔道具の使い方強烈やなぁw」

と笑ってた。


「まあ、基本、自分が便利になる為の物と言う認識ですから、間違ってはいないと思うんですがねw

しかし、ステファニーさん、本当に有名なんですね。」

と言うと、


「そやなぁ・・・ここだと、うちって顔バレしてるし、結構居心地悪いんよ・・・」

と本音をぶっちゃけていた。


「ああ、それ何となく判ります。変にカラー付いちゃうと、なかなかね・・・」

と海渡が同意する。


フェリンシアは、ハテ?って顔をしていた。


「ふふふ、フェリンシアはいつも平常運転だから、あまり関係ないと思うなw」

と海渡が言うと、キョトンとしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る