第246話


ステファニーさんの案内で、何軒かの洋服屋を巡り、冬物の服を調達した。

勿論、合間合間では途中の屋台で買い食いをしつつ。


女性用の下着の店に2人が入った際は、海渡は近所で冒険者用の洋品店を覗いてみていた。


偶然発見して覗いたその店は、結構面白い品がある店で、流行ってないのが不思議なくらい、素晴らしい品が無造作に置いてあった。


「こんにちは!ちょっと見させて下さい。」

と店に入る海渡。


海渡が目を付けたレザージャケットは、鑑定すると、オーガの皮を使った物だった。


鑑定

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オーガ皮ジャケット

 説明:伝説級の職人によって作られたオーガ皮のジャケット。

    耐物理攻撃と耐魔法攻撃に富んだオーガの特性を持った付与に耐えうる

    素材。

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と出た。


「ほう!これは!!」

皮は柔らかくなめされていて、縫製も丁寧だ。色は黒と赤と白があった。


同じく、皮のズボンもあった。

そこで、ドワーフの店主に話しかける。


「おっちゃん!、これ、凄く良いね!!!」

と言うと、


「なんだ、坊主。これの良さが判るのか?」

と無愛想なおっちゃん。


「ええ、これほどのはなかなかお目に掛かれませんよ!」

と言うと、


「ガハハ!そうか坊主、なかなか見所があるなw」

と喜ぶおっちゃんドワーフ。


「これ、おっちゃんが作ったの?」

と聞くと、


「おう!そうだぞ!!俺の嫁が皮をなめして、俺が作った物だよ。

だが、なかなか坊主みたいな目を持った客が来なくてなぁ・・・。」

と少し悲しそうなおっちゃん。


「え?そうなの?こんなに良い物あるのにね。おっちゃん、これでこのシリーズは全部なの?」

と聞くと、


「ああ。それとグローブがあるくらいだな。」

とおっちゃん。


「じゃあ、それ全部まとめて買いたいんだけど、幾らで売ってくれる?」

と海渡。


「ん?本気か坊主。売れて無いとは言え、1着当たり、ソコソコの値段だぞ?」

とおっちゃん。


「うん、俺も冒険者やってて、かなり稼いでいるから、代金は心配しないで良いよ!」

と海渡が言う。


「そうだな・・・じゃあ、ジャケット金貨1枚、ズボンも金貨1枚。グローブは・・・銀貨85枚でどうだ?」

と言う事で、全部購入した。


「マジか・・・。坊主金持ってるなぁ。でもよ、坊主があと10年ぐらいしないと着れないサイズだが、良いのか?」

と言うので、


「ふっふっふ、俺、付与が出来るから、そこら辺は大丈夫だよ。」

と答えると、おっちゃんは意味が判らない風だったので、実際に黒のジャケットとズボンとグローブ一式に目の前で付与を掛ける事にした。


サイズ自動調整 絶対防御 敏捷倍増 隠密性倍増 筋力倍増 自動快適温度調節 対象は装着者 時間は脱ぐまで ・・・


4つ全部に付与を完了し、海渡は鑑定してみた。

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オーガ皮ジャケット

 説明:伝説級の職人によって作るられ、神話級の付与がなされた神話級の

    オーガ皮のジャケット。

    耐物理攻撃と耐魔法攻撃に富んだオーガの特性を持った付与に耐えうる

    素材。

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オーガ皮ズボン

 説明:伝説級の職人によって作るられ、神話級の付与がなされた神話級の

    オーガ皮のズボン。

    耐物理攻撃と耐魔法攻撃に富んだオーガの特性を持った付与に耐えうる

    素材。

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オーガ皮グローブ

 説明:伝説級の職人によって作るられ、神話級の付与がなされた神話級の

    オーガ皮のグローブ。

    耐物理攻撃と耐魔法攻撃に富んだオーガの特性を持った付与に耐えうる

    素材。

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「おお!神話級キターーー!!!」

と叫ぶ海渡。


え? って顔をするおっちゃん。


海渡が鑑定結果を説明すると、おっちゃん涙を流して大喜びする。

流石に神話級が来たので、海渡は改めて、金貨30枚を取り出し、おっちゃんに渡した。

「ん?何だこの金貨は?」

とおっちゃんが不思議そうに尋ねる。


「いや、これってそれだけの価値あると思うから。おっちゃんの伝説級の腕があってこそ、俺の付与と相まって神話級になったんだからね。」

と海渡が説明すると、


「お、俺の腕が伝説級か!」

とまた喜ぶおっちゃん。


「あ、申し遅れました、俺、カイトと言います。で、物は相談なんだけど・・・~~」

と『さえじま商会』と契約して品物を卸して欲しい事を告げる。


すると、おっちゃんは、

「ふむ。それは悪く無いな。つまり坊主の付与付きで売るって事か。良いなww よし、頼むぜ!!」

おっちゃんの名前は、ドラクさんと言う名前で、元々は北の方に住んでいたが、鍛冶が上手く出来なくて、服飾の方へと進んだそうだ。


「ちなみに、面白い素材あるんだけど、使ってみる?」

とカモフラージュ・カウの皮を取り出した。


「ん?これは??」

とおっちゃん。


「これ、カモフラージュ・カウの皮なんだけど、魔力を通すと判別しにくくなるんだよw」

と少し魔力を通してやると、向こう側が透けて見える感じにった。


「ほう!これはおもしれーじゃねーか!!」

と興味を持ってくれたので、30頭分を取り出して渡した。


ちなみに、判別しにくいカモフラージュ・カウは、討伐される事が、殆どなく、知名度も低い。


品物と金銭の受け渡しの為に、海渡は1つ、時空間倉庫を作る事にして、おっちゃんに断ってから店を出て、路地裏からトリスターの地下工房に出る。


そして、工場の時空間倉庫の横におっちゃん専用の時空間倉庫の本体を作成する。

今度は、おっちゃんの店へと戻り、おっちゃんの店の裏の工房の一角に、時空間倉庫の扉を付けて、トリスターの工場に作った時空間倉庫とリンクした。


「これで、OK 出来た物をこの倉庫に入れてくれれば、こちらからは代金を支払って倉庫に入れるので受け取ってね。あと素材も面白いのが手に入ったら、入れるからね。」

とおっちゃんに告げる。


「ほう!そんな事が出来るのか!!!」

とおっちゃんは目を輝かせていた。


他に使えそうな素材をアイテムボックスを見ながら聞くと、ミノタウロスやオークやグレート・グリズリーなんかも使えるとの事で、皮を渡しておいた。


また連絡用に、通信機を1台渡し、使い方を教え、海渡の番号と、オスカーさんの番号を教えておいた。


更に、フェリンシアの分の赤と白の2セット分にも付与を行い、海渡自身も黒のセットに着替えて、店を出た。


オスカーさんに早速経緯を話し、時空間倉庫の件と管理をお願いした。

オスカーさんは、防具に続き、また神話級が加わった事を大喜びしていた。


ついでに、ワイバーンの襲撃の件と、ワイバーン素材が入った事を報告し、ドミニクさんと、ドリンガさんに知らせておくようにとお願いした。


ちなみに、以前王都支店のオープン時に王様から追加注文を頂いた超神話級防具60セットだが、今週中に最後の10セットが上がって来る予定らしい。


帰ったら、速攻で付与を宜しく!とお願いされたのだった。

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