第241話

 すると、突然、「グキュー」と大きな音が鳴った。


 え?と思ったら、ステファニーさんが、

「あかん、昨日からなんも食べてへんかった。 サチー、何か食べる物をー!」

と跪いて手を伸ばしてる・・・。


 なんか、歩くコメディだなこの人www

 ステファニーさん、面白すぎるw


 しょうがないので、

「じゃあ、これをまずはどうぞ!」

と海渡がハチミツ水をコップに入れて渡す。


 一口、口に含むと、目を見開き、ゴクゴクと飲んで、「お替わり!」とコップを突き出す。


 更に1杯注いで、マツタケご飯のお握りを更に2つ乗っけて、差し出すと。


 一口囓り、更に目を見開き、ガツガツと両手に持ってお握りを頬張る。


 片手の分を食べ終わると、もう片手のお握りを食べながら、更に空いた方の手を差し出す。


 更にマツタケご飯のお握りを出してやると、それもガシッと握り、ムシャムシャと食べ、空いた手を差し出す。


 更にマツタケご飯のお握りを出して~(ry


 結局、何故か、立ったまま6個のお握りを完食し。


 ご飯粒を口の周りに2粒付けたまま、満面の笑みを浮かべ、

「これ、マツターケやん!! 何処で手に入れたん?」

と聞いてきた。


「ああ、これは絶界の森で採取しました。」

と答えると、


「カイト君らは、ほんま規格外やわぁ~♪ うち、一生着いていくでー!!」

と満々の笑みを浮かべた。


 と言う事で、出鼻を挫かれたが、王城へと3人で向かう。

 一応、サチーさんの指摘で、口の周りのご飯粒は除去済みだw



 3人で歩いていると、町行く人達が、

「「「あ、ステファニーさんだ!」」」

とかなりの確率で叫んでいた。


「ステファニーさんって有名らしいですね。すみません、田舎者なんで知りませんでしたw」

と海渡が言うと、


「何言うてるん? 自分らの方が、直に超有名になるで?」

とステファニーさん。


「いやぁ~、あまり有名にはなりたくないんですけど・・・。身動き取りにくくなるし。」

と海渡が言うと、


「まあ、そこは諦めるんやなww」

と笑ってた。



 王城が近付いて来た時に、ハッとして、

「あ、アポを取り忘れてた。」

と慌てて、通信機を取り出して、コーデリア王に連絡する。


「あ、もしもし、カイトです。昨日はどうも。 ちょっと例の件で、話と渡したい物があるんですが。

 ・・・

 はい、今王城のすぐ近くです。

 ・・・

 了解しました。では、王城の門の所で待っております。」

と通信機を切る。



「しっかし、ほんま、その通信機、便利やなぁ~。これが金貨5枚やて? 冗談の様な値段やな。そんなんで、元取れるんかいな?」

とステファニーさん。


「ええ、殆ど人件費掛かってませんからね。材料費もある物を使ってるので、そうですねぇ・・・原価で言うと、銀貨1枚くらいかなぁ?」

と言うと、滅茶滅茶驚かれた。


「えーーー!? 人件費掛かってへんの? どうしてぇ? だって制作するんに、職人さんとか使うんやろ?」

と言うので、


 魔道具全般の作る手順を歩きながら簡単に説明した。


 すると、唸りながら、

「なるほどねぇ、魔道具を作る魔道具なんて、普通思いも付かんよ?

 すると、ライン言う魔道具が、勝手に作ってくれるのを、従業員が回収して時空間倉庫に入れて、全国の支店からそれを出して並べ、店員が売るだけって事やろ? ほな確かに人件費も作った物のバラ付きもあらへんよね。よう、考えたなw」

と感心するステファニーさんだった。


「まあ基本、『どれだけ手間や特殊技能を必要とせずに均一な製品を生産出来るか』を考えた結果、人海戦術や長時間重労働をさせず、1人の病欠で生産ストップとか、リスクを排除して、誰もが適度な労働をして、不自由無い生活が出来る賃金を得る事が出来る・・・これを考えると、今の形へと進化しましたw

 飛行機は別として、俺にしてみれば、そんなに特殊な事をやってる意識は薄いんですが。逆に、何でそう言う事を考える人が、今まで居なかったのか、不思議なんですがね。」

と海渡が言うと、ステファニーさんが『ガーーン』って顔をしていたw




 王城の門に着くと、門番のエルフのおじさんが、敬礼して出迎えてくれた。


 更にその後ろに居るステファニーさんを見て、

「ステファニー・ヨハンソン殿ではないですか!!!!」

と大声で叫んでしまい、門の中から、ドヤドヤと沢山の衛兵が出て来てしまった・・・。


 何事?と、出て来た衛兵も、ステファニーさんを見ると、

「「「「うぉーーー!!!!!」」」」

と絶叫し、何か軽く騒動になってしまったよ。



 やっと、門の中へ通されて、3人は出迎えの馬車に乗り、宮殿へと向かう。

「あー、何か、うちが着いて来たせいで、大事になってまって、ほんますまんかったなぁ。」

と軽く落ち込むステファニーさん。


「まあ、ドンマイって事でw」

と海渡が慰める。


 馬車は玄関の前に止まり、執事のエルフさんの先導で、会議室へと通された。

 ちなみに、執事のエルフさんも、ステファニーさんを見て、「っ!」と息を飲んでいた。


「本当に有名なんですねw」

と海渡が言うと、ステファニーさんは少し頬を赤らめて、頭を掻いていた。




 ちなみに、ステファニーさんの方言だが、ヒッキーで時々買い出しに行く集落の言葉がこの方言らしい。

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