第199話


そして、ジェームズさんと打ち合わせ。


「お陰様で従業員確保出来ましたwww 助かりますw」

とお礼を言うと、


「いや、私の方こそ、陛下に代ってお礼とお詫びを・・・色々ご迷惑をお掛けしました。」

と頭を下げられた。


「ところで、エリンガのアレスター商会の持ち物って、店舗だけだったんでしょうか? パターンとしては、屋敷がありそうなんですが、どうなんでしょうか?」

と聞くと、


「ちょっとお待ち下さい。色々調べないと・・・何か余計な事をやってそうな気もするんですけどね・・・」

との事だった。


「じゃあ、教会に寄って、今日は宿舎に帰ります。明日、うちのNo.2でヨーコと言う者がこちらに来て、色々処理しますので、宜しくお願い致しますね。」

とお願いして領主館を出た。


教会へ向かいながら、ヨーコさんに、男32名女12名が加わった事を連絡したのだった。




教会へ辿り着き、礼拝堂で女神様にご挨拶。


『女神様』


「おお、海渡さん、お疲れ様でした。いやぁ~回復無双、カッコよかったですよ! フェリンシアさんも往復と回復の両方でお疲れ様でしたね。」

と女神様。


「本当にフェリンシアが居てくれて助かってます。流石に人数が多かったので、中盤が一番きつかったですねw」

と海渡。


「今回は殆ど海渡1人で回復して回ったから、大変でしたよね。」

とフェリンシアも言う。


「女神様、フェリンシアもマップとか智恵子さんって、使える様になりませんかね? そうすれば、かなり効率が上がるんですけどね。」

と海渡が聞いて見る。


すると、

「ふむ・・・智恵子さんと言う事は、女神の知恵スキルですね。これは私が授けないと無理ですね。判りました。フェリンシアさんにも女神の知恵を授けますね。マップスキルは海渡さんに聞けば、習得できますよ。」

と女神様。


「あ!! スキル授かりました!!!ありがとうございます。」

とフェリンシアが喜ぶ。


「これで2人の智恵子さんを連動すると、かなり使いが手が良いと思いますよ!」

と女神様。


「ありがとうございます。これでかなり出来る事が増えますねw あと、ここの孤児院でも卒業生を雇いたいと思ってます。」

と海渡が言うと、


「そうですね、ここは9名の卒業生が居ます。 あと今年の初めにここを出た少年と少女が7名居るんですが、かなり困窮しているようなのです。何とか助けてあげて欲しいのですが・・・。」

と女神様。


「そうですか、何処に行けばその7名に逢えますでしょうか?」

と聞くと、


「園長に聞けば、住所を知ってます。今、7名は身を寄せ合って、何とか生活しているんですが、1名が軽度の栄養失調で弱っています。後の6名もあまり宜しく無い状況です。

名前は、ドルガ、エスタ、マクレガー、キスリカ、セリスカ、ミリア、ラベンダの7名です。早く助けてあげてください。あと園長には使徒であることを言えば、信用してくれますよ。では・・・」


と祭壇の前に戻って来た。

「えーー? 自分から(使徒と)言うのは嫌だなぁ・・・」

と漏らす海渡。

それを聞いて苦笑いするフェリンシア。


取り合えず、シスターか園長を探しつつ、孤児院の方へ向かうか・・・と教会を出て裏に回る。


孤児院があり、シスターと子供らが孤児院の畑で作業をしていた。


「こんにちは! はじめまして、カイトと申します。こちらはパートナーのフェリンシア。ちょっと園長にお話しがあって来ました。面会出来ますでしょうか?」

とシスターに話しかける。


すると、

「あら、こんにちは。えっと、どういった御用でしょうか?」

と、若干胡散臭そうな目で見られている気が・・・。

(ああ、そういう事なの? だから使徒だとバラせと?)


「ああ、私は冒険者ですが、『さえじま商会』と言う商会をやっておりまして、こちらの孤児院の卒業生を、当方の孤児院で雇えないかと、やって来た次第です。」

と答えると、

「え?その年齢で商会ですか? あまりふざけた事を言ってはダメですよ?」

とかなり険悪な雰囲気。


うーん、これダメなシスター?

「うーん、信用して貰えないのですかね? このパターンは初めてですね。どうしましょうか?

セイジ・ファン・ラスカルさんをご存知ですか?」

と聞いてみると、


「ええ、教会本部の司祭長様ですよね?」

と益々怪訝そう・・・。


そこで、セイジさんに連絡してみる。

「あ、もしもし、セイジさんですか? お久しぶりです、カイトです。お元気ですか? その後、運転資金は如何でしょうか? 不足あれば、また王都支店の者に持って行かせますので。

で、お電話したのは、他でもないのですが、今、都市エリンガに昨夜から来ておりまして。 ええ、そうです。支店の増設でこちらの孤児院の子を雇いたくてやって来たのですが、シスターが信用してくれなくて、園長さんに逢わせて貰えない状況でして。

ああ、了解です、代わりますね。」


と通信機をシスターに渡した。

「これで、セイジさんと話してください。」と。


通信機を知らないシスターは、怪訝そうに受け取り、

「えっと、何方でしょうか? え?私ですか?何故知らない人に名乗らないといけないのですか? は?どういう事です?」

とあくまで信用しない方針らしい。何やら押し問答をしている。



そこで、埒開かないので、子供らを呼んで、話が終わるまで肉串を出してみんなに渡し、テーブルに椅子を出して座り、お茶を出して待っている。

子供らは、キャッキャと、喜んで、肉串やお好み焼き等、ガツガツ食べてる。

海渡とフェリンシアも同様に食べながら、


「あのシスターっていつもあんな感じなの?」

と聞くと、


「そうだね・・・悪い人じゃないんだけどね。」

と子供らも苦笑モード。


「なるほどね。じゃあさぁ、園長さん呼んで来てくれない? このままじゃ時間掛かってもダメそうだし。」

とお願いすると、子供の1人が 判ったー と走っていった。


その間もシスターは少し離れた場所でお怒りモード。

と言うか、かなりヒートアップしていらっしゃる。


「手が付けられないなぁ・・・」

とため息をつく海渡。


そこへ、60代くらいのシニア・シスターらしき女性が子供に手を引かれやって来た。


「あらあら、これはまた・・・。」

とテーブルと子供達が食べている物に驚いている様子。


椅子から降りて、海渡が頭を下げる。

「初めまして、海渡と申します。女神様からの指示でこちらの卒業生と今年の初めに卒業した子を当方の商会で雇う様にとの指示を受けまして、園長さんへの面会をお願いしたのですが、シスターに信用して貰えず、本部のセイジ・ファン・ラスカルさんに連絡して、話して貰っているのですが、それさえも信用して貰えなかったようで、(とここで向う側で激オコ中のシスターを見る)

あ、今彼女が通信機で話をしているのは、王都の教会本部の司祭長です。」

と一気に状況を説明した。


すると、それまでおっとりとしていたシニア・シスターは

「こら!エスカ!!! あなたまたシスターらしからぬ態度で人様に接して・・・しかも司祭長様になんて事を!」と大きな声で叱ってらっしゃる。


すると、エスカと言うシスターは

「ヒッ・・・」

と細かい悲鳴を上げて、ビビッてらっしゃるwwww


「それで話をしているのね?」

と通信機を取り上げて、ペコペコしながら

「うちのシスターが申し訳ありません。お久しぶりです、セイジ様、エリンガのジェシカです。ええ、今カイト様からお話しを聞いて慌てて・・・ええ、聞き及んでおります。・・・

まあ!そうでしたか。ああなるほど、了解致しました。ええ、カイト様にお代わりしますね。」

と通信機を海渡の方へ戻して来た。


「あ、カイトです。どうもご迷惑をおかけして。」


「ああ、カイトさん、申し訳ない、そちらのシニア・シスターのジェシカに使徒様である事を言わざるを得なかった。許して貰えないだろうか?」


「あ、いえ・・・女神様もこの事を予言されててw 言えば信じて貰えるとの事でしたが、なかなか強敵でしたので、お手数おかけしました。話が出来そうなので、また後日王都に行った際にお伺い致しますね。では。」

と通信を切る。


向うでは、エスカさんが、ジェシカさんにガッツリ叱られてるwwww



「あ~あ、またエスカねーちゃん叱られてるよ・・・」

とヤレヤレといった表情の子供達。



ああ、なるほど、そういうキャラなのねwww と内心笑う海渡であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る