第198話


異世界2ヵ月と3日目。


救助作業は絶賛続行中である。

日の出から、暫くすると、フェリンシアから空港到着の知らせが入る。

あともう1回往復するとの事だった。

『こっちは取りあえず、領都民の半分は治療完了して、残りの半分に着手した所。とにかく病人の数が多すぎる・・・。そっち(輸送)は、悪いけどよろしくね!』


『了解です。出来るだけ早く合流するようにしますので! 魔力大丈夫ですか?』


『うん、魔力は全然大丈夫。まあ体というより、精神的にきついかなぁ。まあ頑張るよ!』



城門で救援部隊と合流し、残った兵と連携して、救助する様に救援部隊にお願いする。

休憩を兼ねて全員軽く朝食を取り、自ら岩塩入りハチミツ水を飲み、気合を入れる。



そして、また救援を続ける。

元気になった領民もドンドンと救援を自主的に手伝ってくれた。


≪ピロリン♪ 魔法:聖Lv5を取得しました。≫

≪ピロリン♪ スキル:鑑定Lv6を取得しました。≫

≪ピロリン♪ スキル:気配感知Lv10を取得しました。≫

≪ピロリン♪ スキル:魔力感知Lv8を取得しました。≫

≪ピロリン♪ スキル:魔力操作Lv6を取得しました。≫

≪ピロリン♪ スキル:3DロックオンLv3を取得しました。≫

≪ピロリン♪ スキル:3DレーダーマッピングLv10を取得しました。≫


この魔法やスキルのレベルアップで、一気に回復エリアと効率が上がった。

1回のロックで5倍のエリアを一気にロック出来る様になる。


「おお、こんなに一気に広がるとはww」

と気を良くして、更に回復エリアを増やしていく。重篤患者もドンドン減っていく。


往復を終えたフェリンシアがこちらの作業に参加して、残りのエリアをドンドン減らして行ってくれた。

そして、御前10時半に、やっと全域の回復完了したのだった。


≪ピロリン♪ 新しい称号:エリンガの救世主 を取得しました。≫


朗報としては、回復している間に、件の旧アレスター商会の店舗を乗っ取っていた商会は潰されて、全員逮捕されていた。

商業ギルドにも告発完了らしい。



領主館で、王都から派遣された管理官のジェームズさんと話し、塩20トンと砂糖30トンを出した。

驚いた事に、領主館の倉庫には、塩が12トン、砂糖は10トンあったらしい。


メラメラと怒りが湧いて、

「デタラメな奴ですね・・・」

と吐き捨てるように呟く海渡。

それだけあれば、ここまで治療が難航しなかった筈。


「報いは受けさせます。」

とジェームズさんも怒りを露わにしていた。


そして、

「夜通し救援されたのでしょう? 少しお休み下さい。」

と言われ、


部屋を用意してくれようとしたが、取り合えず、飛行機の方に戻ります。

と伝え、フェリンシアと飛行場へと戻った。


「あ、わすれてたwww こいつら居たねwww」

と途方にくれるGホイホイから抜け出せない兵士をみて、大爆笑w


「面倒だから、檻にブッ込んでおこう。」

と全員昏睡させて檻に叩き込んで御終いw


フェリンシアと、見晴らしの良い管制タワーに登って、ベッドを出して、横になる。


「お疲れ様でした。少し寝て下さい。」

とフェリンシアに頭を撫でられて、そのまま眠りに落ちた。



3時間程寝てスッキリと目が覚める。

城壁より高いタワーから、場内を見ると、人の往来が復活し、町が再稼働していた。


2人で、うな重を食べて、ホッと一息ついて、ヨーコさんに、完了した事を報告する。


ヨーコさんから、

「お疲れ様でした。あと、トリスターの温泉ですが、凄い大人気で、連日入場制限掛かってしまってるみたいですよw」

と疲れの取れる報告があった。


「そうか、それは良かった。何か今の報告で、凄く元気が湧いたよwww じゃあ、明日の朝ヨーコさんを迎えに行くね。あとエリンガに来る店長と店員の方もその後迎えに行くから宜しく言っておいてね。」

と通信を切った。



「さあ、場内へ戻ろう。」

と復活した海渡が言う。


「了解しました。」

とフェリンシアが微笑む。


2人で東門へ行き、飛行場の檻に入っている兵士を捕まえる様にお願いする。


ジェームズさんに連絡すると、

「全て証拠は運び出しました。店舗の方は、そちらで全て好きに良いですよ。後で領主館にお越し頂けますか?」

との事だったので、店舗に向かった。


『やっぱりここも隠し部屋ある感じ?』

と智恵子さんに聞くと、


『ええ、御多分に漏れずw』

との事で、残った商品や家具、在庫品等を全部回収して、隠し部屋の金庫の中身も回収。


白金貨 3528枚

金貨  7541枚

銀貨  986枚

を回収した。


店をサックリ消して店舗とカフェを置いた。

パターンだと、裏に屋敷ありそうだけど、詳細が判らないので、明日まで待つ事にして、取り合えず、宿舎を出しておいた。


「さてと、準備も終わったし、領主館に行って、帰りには教会経由かなw」

と町をブラつきながら、領主館へと向かった。


道々では、住民から深々と頭を下げられ、お礼を言われた。


領主館へ着くと、ジェームズさんに出迎えられ、

「色々とお疲れ様でした。少しは休息出来ましたか?」

と労をねぎらわれた。


「ええ、少し寝たら魔力も体力も回復して、スッキリしました。」

と海渡が答えると、


「え?あんなに回復かけたのに、もうですか!!」

と驚かれた。


まあ、実際は、それ程魔力を使って無い。

元々の魔力量が多い上、聖魔法のLvが上がっているので、効率が良く、燃費が良いからである。

更にハチミツ水を飲んで3時間寝たから、ほぼ完全復活している。


「それはそうと、昨日救出した地下牢の32名と女性12名が、お礼を言いたいとお待ちです。」

と部屋に案内された。


部屋に入ると、みんな跪いてお礼を言ってきた。

「いやいや、そんな跪かないで下さい。あなた方は被害者ですから。」


改めて見ると、男性は16歳~30歳ぐらい。

「ところで、この中で帰る所も行く宛も、仕事も無い方が居ましたら、当方の『さえじま商会』で働きませんか?」

と聞いてみると、


全員が歓声を上げ、大喜びで

「「「「是非お願いします!!!」」」」

と頭を下げて来た。


「では、全員採用と言う事で、済む場所が無ければ、当方の従業員宿舎ありますから、そこに今夜から住めますよ!」

と言うと、全員来るらしい。


ふむ。一挙に増えたなw


「じゃあ、今夜は美味しい夕食をご馳走しますねw あと皆さん、着替えとか色々足りないと思いますので、取り合えず、支度金として、お金をお渡しするので、着替えとかの日用品を揃えて下さい。」

と銀貨50枚づつを手渡した。


更に、これから増える荷物があるだろうからと、希望を聞いてマジックバック、マジックバックパック、マジックポーチをそれぞれに渡して初期化させた。


「では、夕方、5時くらいまでに、店舗裏の従業員宿舎まで来て下さい。」

と約束して、喜びに満ちた44名と別れたのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る