第190話


異世界2ヵ月と1日目。こちらの暦では11月21日。


今日の午後2時にトリスターに温泉がオープンする。

実は、今朝起きるまで、ラピスの湯のオープンの事、完全に忘れてたんだよね・・・。


日の出前だが、朝の鍛錬を済ませ、部屋に戻らず、ゲートでこっそりコーヒー畑を見に行くと、全てのコーヒーの木は順調に育っていた。


「うん、順調そうだな。」

とほくそ笑み、ゲートで部屋へと戻る。


フェリンシアも丁度起きた所で、ベッドの上で両手を上げて、伸びをしていた。


「おはよう、フェリンシア♪」


「おはよう、海渡w なんか朝からご機嫌ですねww」


「うん、さっき、コッソリ見てきたけど、コーヒー畑、順調だったよw それに思い出したんだけど、トリスターのラピスの湯って、今日がオープンなんだよねw」


「なるほど、それは良かったですね。ここまで色々大変だったけど、トリスターの皆さんが来てくれると良いですね。」

と微笑むフェリンシア。


「でも、それだけですか?」

と鋭いフェリンシア。


「ふふふ。流石はフェリンシア。鋭いねw もう1つ理由あるんだけど、もう少ししたら、判るよw」

と言うと、何だろう?と首を傾げて考えていた。


すると、宿舎の外から絶妙なタイミングで、

「なんじゃーー!これは?」

と叫び声がした。



フェリンシアと外に出ると、新規組の早起きさんが、ビックリしてらっしゃるw


宿舎から、目を擦りながら、ゾロゾロと声に惹かれて、みんなが起きて来る。


そして、唖然とする新規組と、大喜びするトリスター組。


ヨーコさんは、慌てて部屋に戻り、風呂の準備をして、戻って来た。

「カイト様、鍵をお願いします!」

キリリとヨーコさんが言う。


そのヨーコさんを見て察した女性陣が、同じく急いで部屋から風呂の準備をして集合する。

何故か、そこにフェリンシアさんまで混じってらっしゃる。


鍵を渡し、置いてきぼりの男性陣に、

「せっかくだから、朝風呂と洒落こみますか?」

と促すと、サクッと動き、2分で集合。


みんなで、門を開けて、表から見せていく。


ドッチさんが、

「おお、なるほど、こういう感じですか! なかなか雰囲気ありますね♪」

と褒めてくれた。


トレントの扉を開けて中の飛び石の石畳を歩きつつ、ラピスの湯の正面玄関に到着する。


「まあ、後はトリスターと同じなんだけどねw」

と鍵を開け、中へと通し、新規組に軽く説明をする。


トリスター組とヨーコさんとフェリンシアは、サクッとお風呂に行っちゃったよw

「さあ、後は男湯と女湯に別れてるから、間違えない様に入ってね。」

と先行を追いかける。


風呂上りに2階の休憩ルームで冷やしたミルクを配り、ノンビリと休憩する。

「ああ、何か朝から贅沢な気分💛」

と女性陣がウットリしている。


「忘れてたけど、そう言えば、明日って火曜で定休日じゃん、オープンは明後日からだね。」

とみんなに言うと、


「あ、明日は火曜でしたか・・・そうですね、明後日からにしましょう。」

とドッチさん。


「店舗の方にも明後日オープンと出しておかなきゃね。」

と海渡が言うと、


「後でやっておきます。」

との事。


「あと、ここの敷地の空いた所に託児ルームと2階と3階にシングル親子が住める居住スペースの建物を近々に建てるから、もし小さい子を抱えて働くに働けない片親の人とか居たら、面接して雇う方針で居ますので。

何人かに1人が子供を面倒看て、他の人が働けば、良い事だし、子供が増えたら、専用にまた雇っても良いし、そこら辺は臨機応変に行きましょう。あと、ここもまだまだ人を3倍ぐらに増やさないと、カフェや温泉やレストランもあるし・・・良い人いたら、ドンドン入れちゃいましょう!」

と言っておいた。


と言う事で、温泉を戸締りし、鍵を3本程預けて、ちゃんと使ったら管理する様にと釘をさして、表から宿舎の方へと戻る。


時刻は午前7時過ぎ。朝食を食べて一休みしたら行動開始だな。


「ここの食堂も、キッチンスタッフ雇わないとね。」

と言いながら食堂入り、朝食をみんなで取る。いただきます!


「そうそう、明日は定休日だから、温泉朝から使って良いし、もし良ければ、孤児院のみんなを呼んでも良いよ?」

と新規組に言うと、大喜びしていた。


やっぱり、彼らもエンジ君らと同じで、仲間想いらしい。



朝食後、ヨーコさんと、ドッチさんに畑の管理小屋のキーを渡し、ヨーコさんにキー5本をジャックさんへ渡す様にお願いする。


「今日の午後はエリンガ行き・・・逝きか・・・気が重い。いっそ、後回しにしてサルバドルを先にしようかな? 何か余計な時間掛かりそうだし。」

と言うと、


「それも一つの手かもしれませんね。一番時間掛かりそうですもんね。先にサルバドルで良いんじゃないですかね?」

とヨーコさん。


「よし、そうしよう♪ 何か気が軽くなったwww」

と単純な海渡。


「9時を過ぎたら、アルマーさんと、王様に報告入れるとして、それまでは、朝市でも見に行くか。」

とフェリンシアを誘って、表に出る。


トリスターだと避難民キャンプがあったから、募集し易かったんだけど、それが無いと、なかなか厳しいよね。


辺りの店や屋台を見ながら、彼方此方を散策。

更に朝市の会場に辿り着き、また色々と爆買いする。


昨日の爆買いで、顔を覚えられたらしく、彼方此方で挨拶や

「今日はどうだい?」

と声を掛けられる。


なので、

「今日の午後出発するので、暫く来れませんので、今の内に買いますw」

と挨拶代わりにドンドンと買って行く。


まあ、基本昨日控え目に買ったのと同じ物なんだけどねw


フェリンシアも彼方此方で、おまけとか果物とか貰ってた。


美少女のフェリンシアが喜んで笑顔を見せると、ドンドンおまけが増えてたよw

流石何処でも人気者のフェリンシアさんだww

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る