第182話


街の中に人の歩く姿が増えだして、徐々に回復した人が通りに戻って来ている。


時々、海渡やフェリンシアは、すれ違う住民にお礼を言われたりしつつ、店舗へと向かう。



「うむ・・・ここか。」

現在、4名は店舗の前にやってきました。


ちなみに、テリラスにはここだけしかアレスター商会の敷地は無いらしい。


王都並にデカイな。

『智恵子さん、ここって敷地的には面積どれぐらい? 店舗とカフェと従業員宿舎大丈夫そう?』


『ええ、全然問題なさそうですね。上手くすれば、トリスターと同じ温泉もいけますよ? しかも面白い部屋に面白い置き土産もありますねw』

との事。


『なに?また隠し部屋?』

と聞くと、


『ええ、例の如く、書斎の本棚の裏ですw』


『判った、見て見るよ!』


そこで、衛兵のお兄さんには、

「ご案内ありがとうございました。お陰様で助かりました。」

とお礼を言って、別れた。


海渡は、封鎖されている、店の戸をサクっと破り、中へ入って行く。

フェリンシアもヨーコさんも後に続く。


「ここにも面白い物が残っているらしいよww さあ、探検しようw」

とウキウキする海渡。


「あ、もしかして、例の如くですか?」

と察するヨーコさん。


「そそw」と海渡。


まあ、店の中は既に空っぽで、事務所も蛸部屋の様な従業員宿舎?も何も残ってない。


2階の奥の書斎を発見。

ここも、ほぼ残骸のみだが・・・壁一面が5棟の本棚になっている所2個目を破壊すると、裏に部屋があった。


机の上には、書類があり、壁には、金庫が2つ。

1個ずつ、扉を開けて中を確認すると、1つは例の如く、大量の金貨や白金貨。

もう1つは宝石や、割とデカイ魔石等々・・・だった。


「お金はともかく、こっちの金庫は微妙だなww」

と海渡が漏らすと、


「ああ、それはカイト様だからですよw

普通はこれでも一生を50回ぐらい暮らせるぐらいの価値はありますよ?」

とヨーコさん。


「え?そうなの?」

と驚く海渡。

フェリンシアは特に興味無しww 食べ物じゃないからねw


お金は

白金貨 682枚

金貨  5712枚

銀貨  8298枚

が入ってました。


「ヨーコさん、宝石1つ要る?」

と聞くと、


「欲しいか欲しくないか・・・で言うと欲しいですが、私だけ貰うのもちょっと・・・と言う事でご遠慮しておきます。」

との事。うむ・・・。


取り合えず、中身をごっそり頂き、


『地下室とかは無いのかな?』

と聞くと、


『ええ、これだけですね。 倉庫も空っぽです』

との事だった。


「他は何も無いらしいから、サクっと行っちゃうね。」

と店舗の外に出て、店舗を土台ごと地面から切り離し、サクッと収納。


完全な更地となる。


通りを行く人が、突然消えた店舗に


「うぉ!!!」

とか騒いでいるけど、知らねぇww


今度は店舗の土台を作成し、カチカチに地下10mまで固める。柱の受け穴を開け、その上にアイテムボックスに入れていた店舗を置いて、土台と融合させる。

通路分を残し、反対側には同様にカフェを出して、土台と融合させる。


うん・・・何か背後が騒がしいな。

ヨーコさんは、横で腹を抱えて爆笑してる。


「ふむ。こうやっていつもの店舗を置いてみると、敷地のサイズ感が判り易いな。このサイズなら、従業員宿舎を置いても、トリスターサイズのラピスの湯は作れるな。取り合えず、どっちに転んでも良いように通路を残す感じに従業員宿舎を出すかな。」

と土台を固め、店舗の裏に従業員宿舎を出して融合させた。


店舗、カフェと順にチェックしていき、全く問題が無い事を確認し、戸締りをする。


「おし! 宿舎も完了!! これで、一応の準備は終了だな。じゃあ、宿舎の食堂で少し早いけど、飯でも食べようか。」

と聞くと2人も、コクコクと首を縦に振っていた。



現在午後4時50分、もうすぐ日が暮れる。


食堂に入り、

「お腹減ったね、何食べようか?

お寿司、お好み焼き、うな重、天丼、ハンバーグ、ステーキ、牛丼、カツサンド、ラーメン、何でもあるけど、何食べたい?」

と目をキラキラさせてる2人の意見を聞いていると、電話が鳴った。


手の平を前に出して、ちょっと待ってね!ジェスチャーをしつつ電話に出る。


「はい、もしもし、海渡ですが、どちら様でしょうか?」


「あ、先ほどはどうも、ジャック・フォン・テリラスです。今家族と久々に話をする事が出来てな、屋敷のみんなも元気になって、大喜びしていて、塩も砂糖も分けて貰えたので、ささやかではあるが、君らを夕食に招きたいと思って連絡したみたのだよ。」

とジャックさん。


この時点、少し困り顔の海渡の顔を見たヨーコさんが、察し・・・。

首を縦にコクンと頷いている。


海渡もしょうがないよね? 了解。 と頷き、


「それはご丁寧に、ありがとうございます。では、3名でお邪魔して宜しいでしょうか?」

とお伺いをたてる。


「おお、是非そうしてくれ! 家内も子供らも、楽しみにしているから。

今から迎えをやるので、その馬車で来てくれ。場所は店舗の方で良いかな?」


「はい、店舗の裏の従業員宿舎におります。 あ、ではお土産に、当方のカフェで人気のある、デザートを持参致しますので、食後にはそちらを是非!」


「じゃあ、また」

と電話が切れた。


フェリンシア、お預けでしょんぼり。

ヨーコさんも、結構ガッカリ。


「まあ、時間ソコソコ掛かりそうだから、カツサンド1個ずつ食べておこうか?」

と皿に1個づつ出して、お茶を入れた。


3人とも、3分掛からず無言で完食したのだった・・・。

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