第155話


夕食までの空いた時間、海渡は地下工房へ潜り、新たに作る、孤児用の宿泊施設や、シングルマザー向けの施設、託児所、ちょっと洒落た温泉風の建物等を考案し、王都の敷地のスケールダウンモデルを作成する。

横幅120m×奥行70mの敷地を有効活用すべく、キッチリと設計する。


正方形の大きさで50m×50mの1階は風呂と大食堂にして共通部分とし、その上に更に3階建て50m×20mを作りを2棟を作ってみた。横から見るとUの字になる感じ・・・。

「なんか今一つだな・・・ これは止め」

と呟き、


今度は50m×50mの1階は風呂と大食堂にして共通部分とした上にL字型の3階建ての宿泊部分を作ってみた。片側が孤児用、片側がシングルマザー用・・・難しいな・・・


もういっそ、50m×50mの正方形の4階建てで良いんじゃないか? とさえ思える。L字や横から見てUの字に拘ったのは、どの部屋にも窓を・・・と思ったからなのだが、そんな事より、収容人数優先の方が重要なんじゃないか?と思えた。


と言う事で、1階は、託児スペースと。2階は大食堂と風呂と宿泊施設(シングルマザー用)、3階、4階は全部宿泊施設・・・する事にした。これなら、通路やトイレや洗面所を入れても、かなりの人数が使えるだろう。

孤児は4人部屋。シングルマザー用は大き目のセミダブルベッド2つかな。サクサクと模型を作る。


次に作るは大衆浴場だな。

そのスペースは、50m×50mの2階建てで行こう。

1階が浴室2階が休憩所。男女は別。脱衣所はロッカーを付けて、浴室が25m×25mで、男女の仕切り部分に寄せて大きな湯船を作り、L字型に洗うスペースを作る・・・。こんな感じかな。

風呂の水は浄化してから排水する感じかな・・・。

地下に洞窟風呂も良いなw 洗い場面積2倍になるし。

あ、でも模型は面倒だから、上物を建設設置後、現地で一発出たとこ勝負だな。



そして空いたスペースに従業員宿舎の巨大バージョンを作る。

この施設、孤児は約200人、シングルマザーは50組、託児スペースは赤ちゃんと幼児を100人ぐらいの面倒を見れるようにする。

まあ、普通にマンパワーだけでこれだけを管理出来ないから、魔道具をフル活用しよう。


託児スペースでは職員20名~25名と孤児の労働だな。

孤児同士のイジメや犯罪行為に関しては、腕輪を付けて、3アウトで、出禁にして放出。


魔道具の腕輪の無い子は入館出来ないように、パス代わりにもすれば良いか。


取り違えとか無いように、赤ちゃんにも付けてお母さんの腕輪とペアにすれば良いし、教室とかの勉強会は、地下に作るか・・・


と次々に決めて、模型もほぼ完成。


防犯を兼ねたブレスレットは、今後の課題だな。


丁度夕食の時間となり、食堂へと上がる。

夕食時に、みんなへ王都土産を渡し、大人には、お酒も渡した。

あと、試乗会が遅くなってごめんなさい と謝って、でもちゃんと実施するから、落ち着くまで待って下さいとお願いしておいた。

まあ、みんなもバタバタしているのは、知っているから、

「大丈夫ですよw」

と笑ってくれていた。



そして夕食後、今度は銭湯スペースをトリスターのアレスター商会跡地用にアレンジした。

まあ縦横のサイズを変更しただけなんだけどね。



そして、早速建築を開始する。

勿論、身体強化と身体加速とクロックアップを発動。


宿舎と違い、それ程複雑ではないので、サクサク進む。

少し残念だったのは、2階の休憩室だが、この世界には『畳』が無い事である。

日本人としては、凄く寂しい。

普段は洋室で構わないのだが、時々実家の和室や爺ちゃんの家の、大きな座敷で『大』の字になって寝転ぶのが、大好きだっただけに、ちょっと寂しい。


でも、代わりにコーヒー牛乳ぐらいは置きたいなぁと思っているのだが、コーヒー豆はまだ入手出来ていない。

フルーツ牛乳なら作れそうではあるけどね。


結果、浴室の雰囲気は、高級温泉旅館並の素晴らしい出来上がり。


地下の洞窟風呂は、現地で要ご相談かな・・・。


所要時間は2時間半。

また細かい所(ドアとかカウンターとか)は棟梁と職人さん頼みであるwww


更に、王都用の銭湯も作り上げた。

こっちはやや大きいので2時間50分。



夜中の12時を過ぎたので、風呂は諦め、クリーンだけかけて、部屋に戻ってサクッと寝たのだった。



翌日の話だが、この銭湯の仕上げの依頼書を地下工房で見た棟梁達は、出来栄えと指示内容を見て、唸っていた。


「これはすげーな!おい!!! 開店したら、絶対に入りにいくぞ!! しかし、色々注文が細けーなwww」と。

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