第154話
異世界1ヵ月と20日目。
日の出前に目覚め、日課の朝練を済ませる。
今日はアルマーさんご一行様を、トリスターへ連れて帰る日だ。
庭で朝練を終えて、屋敷の中に戻ると、既に多くの人達が、せっせと荷造りや何かを行っている。
大変そうなので、
「良ければアイテムボックスで、運びますよ?」
と声を掛ける。
すると、
「これで、手ぶらで帰れるwww」
と凄くスタッフの人に喜ばれた。
彼方此方の部屋、20か所ぐらいスタッフと回って、荷物を収納していく。
行きよりも、お土産とかで荷物が増えていたらしいw
そして、いつもよりも早目の朝食をとって、出発準備OK。
屋敷に馬車数台が用意され、フェリンシアと一緒にアルマーさんと同じ馬車に乗り込む。
「いやぁ~今回の王都は色々大変だったけど、面白かったなw」
とご機嫌のアルマーさん。
「いや、今でも大変ですよw 楽しいけどw 明日は王都支店オープンだし、オスカーさんもヨーコさんも更に皺寄せが行って大変そうですし。」
と返す海渡。
「ああ、確かになぁ・・・。人を増やしても増やしても、足らないんじゃないか?」
「そうなんですよ。やっと王都支店が出来ただけで、まだまだ他も沢山ありますからね・・・。あまりそれを考えると、気が遠くなりそうですw」
「まあ、あまり無理するなよ? 手助け出来る事は助力するからな。」
とありがたいお言葉を貰った。
「ありがとうございます。」
馬車は早朝のメインストリートを進み、丁度王都支店の前に通り掛かった。
「おい、これ・・・トリスターと同じ店舗じゃないか!!」
と驚くアルマーさん。
「あれ? 言ってませんでしたっけ? 同じ店舗にしたんですよ。大急ぎでw」
と答えると、呆れられたw
店のショーウィンドーには、明日オープンと大きく書かれていた。
「明後日は、トリスターのカフェもオープンするので連日大変ですよ。」
と呟く。
「じゃあ、連日行ったり来たりする感じか・・・大変だな。」
とアルマーさん。
「はい。まあこれが馬車で移動とかだと無理ですけどね。」
(最悪ゲートあるし、あまり苦にはならないかな。)
王都の北門へ辿り着き、滑走路まで馬車で移動する。
2号機を取り出して、全員乗り込み、トリスターへと飛び立つ。
2時間半のフライトは順調で、10時半にはトリスターの滑走路へと到着した。
領主館へと赴き、アイテムボックスに預かっていた荷物を返却して、領主館を後にし、フェリンシアと町を歩く。
屋台で久々に爆買いしつつ、買い食いを楽しむ。
途中、冒険者ギルドに寄って、ギルドマスターのハロルドさんに王都土産のお酒を渡し、受付のアニーさんらには、王都で買ったお菓子を渡した。
武具屋のドミニクさんと鍛冶屋のドリンガさんさんにも王都土産のお酒を渡す。
「おう、やっと帰ってきたかw 待ってたぞ!」
とドミニクさん。
「装備5セット出来とるぞ!」
とドリンガさん。
「もうそんなに出来たんですか! 早いじゃないですか!! じゃあ、明日王都支店のオープンだし、王都支店でも売っちゃいますか! 素材は足りてますか?」
と聞くと、そろそろ足りないとの事。
なので、補充しておいた。大量にwww
そして、その場で全部に付与し、全てが超神話級になったのを確認し、オスカーさんに電話する。
「ドミニクとドリンガさん作の防具一式が上がってるけど、超神話級の武具、幾らで売る?」
と聞いた。
「超神話級ですもんね・・・白金貨40枚にしましょうかね?」
とオスカーさん。声がメッチャ嬉しそう。
「了解、じゃあ、お2人に先に払っておくね。」
と通信を切って、
「売値を白金貨40枚にするそうなので、1セット当たり、白金貨13枚、金貨33枚、大銅貨33枚、銅貨33枚ですが良いですかね?」
と聞くと、
「いや、坊主、それだと、素材の代金引いてねーじゃねーか。どれもレアな素材だから、少ないかも知れないが、端数無しで白金貨13枚で十分だ」
とドミニクとドリンガさん。
「そうですか・・・。じゃあお言葉に甘えて、1セット1人白金貨13枚、5セットだから1人白金貨65枚ですね。」と白金貨65枚ずつテーブルに並べて置く。
書類をサラサラと書いて、受け取りのサインを貰う。
「ありがとうな!坊主!!」
と喜ぶ2人。
防具セットを収納して、店を出た。
「あの2人、凄く喜んでましたね。」
とフェリンシア。
「そうだね。でもこの装備って本当に凄いよね。」
と海渡。
その後、避難民キャンプを5つ程周り、食料支援して、体調の悪い人に回復魔法を掛けて廻った。
ただ、食料事情が悪かった当初の様な事も無く、肉類が不足気味の様な感じぐらいで、飢える事はなさそうだったので安心した。
全体的に、避難民キャンプは落ち着いていて、避難民の流入は止まったらしい。
そして、テントの半数以上がカイトからの支援品となっていた。
テントの評判を聞いてみたが、非常に快適だと言っていた。
最後に、放置していたアレスター商会の店舗(トリスター内)を確認してみた。
王都に比べるとそれ程でもないが、それでも十分な広さのある敷地であった。
「うん、これなら大衆浴場に出来そうだな。」
と海渡が呟く。
フェリンシアは
「たいしゅうよくじょう ってなーに?」
と聞いてきたので、
「ああ、お風呂が家に無い人が、お金を払って入るお風呂だよ。」
と教えてやると、
「へーー! そんなのもあるんですね。」
と感心していた。
そこでラピスを呼んで、気になる事を聞いてみた。
「ラピス、ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・」
「なに?」
と言いながら手を出しているので、ハチミツをスプーンに掬って渡すと・・・。
「何でも答えて上げるわよ。言ってごらんなさい。」
とハチミツまみれの顔で付け加えた。
「あのさ、温泉ってあるじゃん。あれって例えば、何処でもラピスにお願いしたら、出せたりする?」
と聞いてみた。
「温泉って、暖かい水が出る事を言ってる?」
と言うので、
「まあ、元の世界だと、その温泉によって、効能と言うか、効果とかが違ったりするんだけど、ラピスの泉自体に回復効果あるから、あれがそうだなぁ・・・42℃ぐらいの熱さで湧いてくれると、最高の温泉だなw」
と答える。
「なんだ、そんなことかw 全然大丈夫よ?」
とフフンと鼻を鳴らすラピス様www
「そっか、流石ラピスだね! じゃあ、こっちの準備が出来次第、お願いするね!」
と言うと。
「判ったその時は、また呼びなさい。」
と帰っていった。
屋敷に戻り、店舗の様子や、王都から連れて来た新スタッフの様子を見て、地下工房で作ったマネキンに超神話級装備を装着し、ショーウィンドーに飾って貰う。
1個はストックルームに保管。
もう1体のマネキンと装備3つは、時空共有倉庫経由で王都へ送った。
「オスカーさんに、装備受け取った? あのマネキンに1個着せて、ショーウィンドーに飾ってね。」
と連絡する。
「凄いですね。この装備。このマネキンってのも良いですね。見せ方でこんな方法があったのかと、驚きました。」
とオスカーさん。
「こっちのトリスター支店も早速飾ったよ。『超神話級装備』って書いて飾ったww」
と報告した。
「これ、滅茶苦茶売れそうですよねw」
とオスカーさんも嬉しそうだった。
「まだまだ、材料的には20体ぐらいは作れそうだったから、そのまま生産して貰ってるし、売れると良いねw あ、俺明日の早朝にオープンに間に合うように行くから。」
と伝えた。
オスカーさんは
「了解しました。宜しくお願いしまーす!」
と軽やかに通話を終了したのだった。
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