第140話


王城を出た所から、屋台爆買いツアー中も、海渡達は見張られていた。ドラーツ公爵の手の者によって・・・。


彼らは、女神様からの予言通り、ドラーツ公爵から趣味と実益を兼ねて、美少女フェリンシアを攫い、海渡を連れて来る様に命じられていた。

ドラーツ公爵・・・実に愚かな奴である。


3Dレーダーマッピングを持つ海渡は、王城を出た所から、敵意を向けるドラーツ公爵の手の者(10名)の動きを完全に把握していた。


そして、海渡もわざとらしい演技(海渡は大根)で隙をみせつつ、「ここかー♪」とか言いながら、閉鎖されたアレスター商会のを見に行ったりしてた。


『フェリンシア、気付いてる?10名のドラーツ公爵の手下が、俺達に危害を加えようと狙ってる。』


『はい、判ってます。どうします?』


『このまま気付いてない振りして、釣ろうよw』


『了解で~す~♪』


マップを確認しながら、

「あれ? こっち?」「あれれ? こっちかな?」などと、キョロキョロしながら、迷った振りをして、周りに人の居ないエリアへと移動する。


そして、「ありゃりゃ・・・行き止まりだよ。」と袋小路へと入り込む。


すると、10個の赤い点に動きが出て、急速に前を取り囲む様に、近付いて来る。


『フェリンシア、来るよ。』

と伝心で伝え、海渡は身体強化と身体加速を発動する。


「へっへっへ・・・お嬢ちゃん達どうした?」

と近付いて来る4人の男。


「あ、ちょっと、道に迷ったみたいで・・・」

と頭を掻く海渡。


「そうかい、じゃあ案内してやろう・・・ふっふっふ 大人しくしてれば、痛い思いをせずに済むぞ?多分??」

と悪い笑みを浮かべて、手にロープを握りしめる男達。


「え、おじさん達『10人』で案内してくれるの?」

と人数を強調する海渡。


「ん?人数がバレてるのか・・・おい!出てこい。一気に行くぞ!!」

と隠れている6人が姿を現す。


出て来た6人の手には、ナイフや剣が握られている。


先頭の男が、

「おら!抵抗するんじゃねーよ?」

と4mの距離を縮めようと駆け出す。


海渡は、瞬時に男の足元に土魔法で小さい出っ張りを作り、足を引っかけ直ぐにそれを消する。

「おい、何コケてるんだよw」

と他の男どもが、ヤジを飛ばす。


「痛ってー、何だ何もないじゃん。おら、お前らボサッとしてないで、取り押さえろよ!ドラーツ公爵様は気が短いんだから。」

とボヤく。


「あー、おじさん達ってドラーツ公爵の命令で動いてる手下なの?」と聞くと海渡が聞くと、

「へっへっへ。そうだよ!だから大人しくしとけ!」

と詰めて来る。


「そっか、じゃあ良いかw」と海渡が10名をマップでロックし、死なない様に、細心の注意を払いながら雷魔法で感電させ、10名を昏睡させる。


「バシッ」っと音がし、直後には10名が地面でピクピクしてる。


海渡は、男達の手足を闇魔法の触手で拘束し、通信機を取り出して、アルマーさんに掛ける。


丁度、王様とドラーツ公爵の件を詰めている最中だったアルマーさんに、

「えっと、たった今ドラーツ公爵の手下10に襲われ、捕まえました。至急内密に10名を受け取って欲しいのですが・・・」

と状況と自白した映像と音声もある事を伝え、場所の詳細を伝える。他に監視者が居ない事も付け加えて。


「うむ。判った。『内密』に憲兵をそちらに送るように、陛下にお願いする。少し待っててくれ。」

と通話が切れる。


「もう少しここで、こいつらを引き取りに来てくれるまで、待つ事になっちゃった。」

とフェリンシアに伝える。


そして、椅子とテーブルをアイテムボックスから出し、お茶とスイーツを用意して座り、歓談しながら優雅に憲兵の到着を待つ。


ノンビリお茶しながら待っていると、近衛騎士が率いる憲兵隊が到着。


近衛騎士3名と20名の衛兵が目にした風景は・・・

裏路地で10人の男が何やら判らない黒い拘束具で手足を抑えられ、地面でピクピクしている横でお茶する幼児と少女の異様な姿だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る