第138話

 1時間程して、全員がアルマーさんの書斎に呼ばれた。


「これから、王城へ行く。商談等もあるから、4人とも同行してくれ。」


 と言う事で、王城へ行く事となった。

 4人とも、マシな服に着替え、王城へと向かう。


 王城の城門にさしかかり、アルマーさんが身分を証明する紋章(貴族専用の身分証みたいな物らしい)を見せ、中へと馬車が進む。


 城門を潜ってから城の建物の入り口に着くまで、約10分・・・広いなぁ・・・。

 あまり広すぎると不便じゃないのかな? と日本人的感覚で思ってしまう。


 馬車を降り、5人で待合室に通される。

 陛下へのお目通りは、『謁見の間』ではなく、プライベートな会議室の様な所で行うらしい。


 御呼びがかかり、アルマーさんを先頭に、ゾロゾロと歩いて行く。

 ドアの前に衛兵が2人居る部屋へ通され、中に入ると、王様と、もう一人のおじさんが居た。

 アルマーさんが一礼したので、それを真似て、我々も一礼する。(これで礼儀的に正しいのかは知らんよ?)


「陛下、ご無沙汰しております。ご機嫌麗しいようで、何よりです。」

とアルマーさんが、割と気さくに語り掛ける。


「おお、アルマー待ちわびておったぞ!! 楽しい手紙を送りつけておいて、全然音沙汰ないから、待ち過ぎて、首が伸びてしまったわいww」

と王様。


「いや、これでも急いで来たのですよ? 今朝出発して。」

と言うと、王様は、目をクワッと見開き、


「何、今朝トリスターを出発したと言うのか? 2600kmを4時間か?」

と聞く。


「いえ、2時間半くらいですね。」

とアルマーさん。


「あの黒い乗り物は、そんなに早いのか!」

と驚いている。


「陛下御紹介します。あの黒い乗り物・・・飛行機を開発したカイト君です。詳しくは彼に聞いて下さい。」

と体を引っ張られ、前に出される。


「え?本当にその子供が作ったのか?」

と驚く王様。


「初めまして。冒険者をやっている、カイトです。こちらがパートナーのフェリンシアです。縁あって、アルマー様に色々ご助力頂き、現在商会を立ち上げ、魔道具開発等、色々やらさせて頂いてます。」

と自己紹介。


「カイト君とフェリンシアさんは、この若さで史上初のSSSランクの冒険者でもあるのです。」

とアルマーさん。


「おお!史上初のSSSランクが出来た話は聞いておるぞ! お主達であったか!」

と王様。


 そこから、アルマーさんが、俺達の人外ぶりを色々、ある事ある事語り始める・・・本当にある事だけに、耳が痛い。


「つまり、要約すると、おそらくこの王国で最強の2人がこの2人ですね。

 しかも作る魔道具や料理が凄いんですよ!」

と誉めちぎるアルマーさん。


 やめてーー、恥ずかし過ぎて悶えしんじゃうーー。


「王都にも支店を出そうと思い、サンプルを幾つか持ってきておりますので、宜しければお見せ致しますが?」

と聞くと、


「おお、持って来てるのか、是非見たい。誰か使いをやれば良いか?」

と聞く王様。


「あ、いえ、今ここに出せます。このテーブルの上と大きい物は床の上で良いですかね?」

と次々に出していく。


「おお!? マジックバッグを持ってるのか??」

と聞くので、


「ああ、ここだけの話でご内密にして頂きたいのですが、アイテムボックスのスキルを持っております。あと、マジックバッグは当店の商品で作成販売しております。」

と出したバッグに指を向ける。


「なんと、御伽噺に出て来るアイテムボックス持ちなのか! で、商品でマジックバッグを売ってる??? あれは作れる物なのか?」

と驚きの連続の王様。横に居るおじさんも同様。


 なので、商品の説明を色々1つずつしていきました。

「~で、昨日から販売開始したのが、こちらの『魔力リンク通信機』で、最短約3年、最長で約5年はこちらで通話が可能です。どんなに遠くとも。」

と話すと、何やら横のおじさんと打ち合わせし始めた。


「どんなに遠くとも・・・と言うと、例えば、ここからトリスターとも通話が出来ると言う事か?」

と聞くので、


「ええ、トリスターでも、その先のコーデリア王国とでも可能です。」

と答える。


「俄かに信じられん・・・アルマーよ、誠か?」

と王様。


「ええ、我が家も100台程購入し、各部署や長男や妻へ渡しております。今掛けてみましょうか?」

と通信機を取り出す。


「おお、是非とも頼む。」

と言う事で、アルマーさんが、奥さんへお電話。


「はい、ミリティカです。何方?」

と音声が聞こえる。


 王様が、

「おお、わしじゃ、今アルマーの通信機を借りて話しておる。元気になった声を聞いて安心した・・・」

とちょっと涙ぐむ王様。


「あら、お父様ですか? お久しぶりですね。お元気にされてますか?」

と呑気な返答。


「えーーー? ミリティカさんって王様の娘さん?」

と思わず驚きの声を漏らしてしまう海渡。


「あ、今の声はカイト君ですね? 私カイト君に病気を治してもらったんですよ。かなり危険な状態だったんですが、今は嘘のように元気になりましたw お父様からも、カイト君達にお礼をお願いしますね! 本当に凄い子らなんですよ。今トリスターはカイト君のお陰で空前の活気が溢れてます。」

とナイスフォローのミリティカさん。


「そうか、わかった。では、また後でな」

とアルマーさんに電話を渡す。


「ミリティカ、また後で掛けるから。」

とアルマーさんが電話を切る。


「なるほど。良く判った。お主の事を全面的に信じよう。その通信機は、何台あるのじゃ? 出来れば1000台程欲しいのじゃが・・・」と。


「1000台なら、ここに持って来ております。王様へは1台献上させて頂きます。残り1000台は、今お出しすれば良いでしょうか?」

と聞くと、


「うむ。ここで構わないぞ」

との事だったので、王様用の1台を、まずは献上し、残り1000台を横の床に100個単位の箱を10箱出していく。


「で、これは1台幾らなのじゃ?」

と聞かれたので、アルマーさんとの打ち合わせ通り、業販価格より安い、アルマーさん価格で値段を提示した。


「これは、当店では1台金貨5枚で販売しております。しかし王国の為に貢献出来る機会を頂いておりますので、1台金貨2枚と銀貨50枚では如何でしょうか?」

と打診した。


 すると、

「なんとこれ程の物を、店では金貨5枚で販売しているのか? 安すぎないか?しかもそれを半額で・・・良いのか?」

と心配してくれた。


「ええ、これが世に広がれば、世の中が発展し、情報伝達も早くなります。であれば、庶民でも頑張れば買えるぐらいの金額でお出ししたいと、頑張りました。」

と説明する。


「なるほどのぉ・・・とても見かけの年齢の子供と話して居る気がせんわwww お主、面白いのぉww はっはっはっはw」

と大笑い。


 あと、王国軍用に、このマジックバッグや簡易結界と言うのも欲しい! と追加注文。


「では、後の詳しい話は、当商会の支配人である、オスカーとそちらの担当様とで、打ち合わせして頂けますでしょうか? あと王様にご許可頂きたい事もございまして。」

と話を振る。


「なんじゃ、言うてみい。」


「実は・・・」

と説明を始める海渡。


「飛行機による定期便や運送の為に王都の城壁の傍に空港を作らせて欲しいのです。

 現在、ワンスロット王国王都⇔トリスター⇔コーデリア王国王都 の航路で考えています。

 既に、トリスターとコーデリア王国王都では、空港建設が始まっておりまして、これが実現すれば、非道なゲルハルト帝国への締め付けとプレッシャーにもなりますし、ある意味抑止力にもなります。

 行く行くは、サルド共和国にも航路を伸ばしたいですね。」

と説明した。


 すると、

「面白いぞ!許可する。城壁の便利の良い場所を好きに開拓して良い。許可証はこちらのケンジー大臣から貰ってくれ。」

とのご許可を頂いた。


 おお、決断早い。流石は名君と言われる王様だ! と海渡は心の中でガッツポーズしたのであった。

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