第119話

 と言う事で、一応現物を一度見ようと、二人で自力で飛んで来ました・・・サクラへと。


 サクラは養殖の拠点で漁港と言うだけあって、至る所に寿司屋や焼き魚の屋台やら、町全体が、魚! って所です。

 日干しも彼方此方にあったりと、爆買い魂に火を灯してくれますww


「美味しそうな町だし、今夜はここに泊まろうかなw」

と呟きフェリンシアを見ると、既に、焼き魚の串を両手に握り締めて、ハフハフしてたw


 フェリンシアに、

「ちょっと偵察してくるけど、フェリンシアはどうする? ここで買い食いしてる?」

と聞くと、


「はい、水の中の戦いだと、足手纏いになりそうなんで、ここで大人しく見て廻ります」

との事。


「判った。じゃあ後で適当に合流するね。」

と一人で水辺へ向かった。


 湖だけど、波がある海岸の砂浜。

 浅瀬には居ないらしいので、周囲に人が居ないのを確認し、飛行魔法で、空へ上がる。

 マップを確認すると、殆ど赤い点が見えない。


『知恵子さん、赤い点が少ないね』

と言うと、


『海中に隠れてる分は反応が薄いのです。もうちょっと感度が上がればかなり表示出来ると思うのですが・・・』


 と言う事で、感度を上げる事を意識して何度かトライしていると・・・


 ≪ピロリン♪ スキル:3DレーダーマッピングLv8を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ スキル:魔力感知Lv7を取得しました。≫

 ≪ピロリン♪ スキル:気配感知Lv9を取得しました。≫


 と感度が上がりました。

 赤い点が一気に増え、マッピングエリアもグンと広がっている。

『おお、一気に増えたねぇ』


『ええ、かなり感度が上がりましたので』


 幾つかを見ると

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 種別:ガチコンブ

 Lv:41

 説明:昆布の魔物。

   性格は大人しいが食欲旺盛。

   海藻系の魔物だけに寒さや火に弱い。

   痛覚が無いので、打撃にも無頓着。

   知能は低い。

   魚の好む匂いを撒いて近寄った魚を絡めとって溶かして食べる

   表面に、小さな麻痺毒の針を持つ。

   全長に合わせ徐々に深い所へと移動する。

   海面下に居るので、討伐が難しい。

   食用には適さず素材も市場では人気が無いので取引はされない。

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 種別:ガチコンブ

 Lv:45

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 ほう、全体的にレベルが高いな。

 寒さに弱いって事は、氷で固めるか!?

 火だったら・・・雷系とかどうかな?


 試しに海面近くまで高度を下げ、真下のガチコンブへアイスランスを一発叩き込んでみる。


「ダメだな、水の抵抗とユラユラする体で、決定打にならないな。塩水だから、雷とか余計に危ないかな、」


 空中に留まり、方法を模索する。

「面倒だから海水事凍らせる?」

と呟くと、


『海水だから、マイナス21.4以下じゃないと凍らないですよ』

と知恵子さん情報。


 ふむ。じゃあ、あまり生態系を壊さない様に周囲に漏れないシールドを張って、円柱状に凍らせてみるか。


 光魔法のシールドをガチコンブの周囲1mに張り・・・

 わぁ・・・海中だから光魔法が届きにくいな・・・

 もっと強く・・・ もっと・・・もっと・・・

 よし、シールド出来た!


 ≪ピロリン♪ 魔法:光Lv3を取得しました。≫


 そして、水魔法でフリーズ!!!

 ガキンと直径2.5mのエリアが凍る。


 闇魔法の触手で氷ごと収納。

 おお!!! 出来たwwww


 真下には、シールドに囲まれた長いトンネルがポッカリ水中に空いている。

 なかなか面白い光景だな。

 一回、シールドのトンネルに降りてみて、周りを見ると、幻想的な風景が見えた。


『海渡さん、真下の海底にマギ鉱石の鉱脈ありますよ。』


 ほう、少し貰って行くか! 利用価値が判らんけど。


 とそのまま暗い海底に降りる。深さ20mの海底。


 表面が薄紫色の鉱石が見える。

 土魔法で海底のマギ鉱石を5トン程採取した。


 海面へと浮上してシールドを解除すると、周囲の水がザブッっと流れ込み、一瞬で元の海面へと戻る。


 せっかくなので、30体程同じ方法で討伐する。


 不思議な事に、ガチコンブが居る場所には、必ず大なり小なりのマギ鉱石が存在する事が判った。

 何か因果関係あるんだろうね。


『海渡さん、ガチコンブのエキスとアルコールを含む聖水の話ですが、アルコールの代わりにマギ鉱石の粉を混ぜ、200℃で1時間温めると、アルコールを使う場合より約3倍の強度が出ます。また魔法耐性も極端に上がります。』


『マジか! マギ鉱石の粉の配合比率はどれくらい?』


『エキスを30リットル、聖水を30リットルに対し、マギ鉱石の粉500gです。』

『前の森の遠征時にもマギ鉱石が沢山ありますので、今回採取分と合わせると、あのプロトタイプの機体であれば、1万台分は余裕ですね。』


 笑いが止まらないなぁw

 更に気をよくして、追加の10匹を仕留め、マギ鉱石も頂き、ホクホクとしながら、岸へと戻る。


『フェリンシア、お待たせ。41匹仕留めたよ!!! 大量っす!』

と呼びかける。


『あ、お待ちしてました! 今ギルドの出張所の近くの屋台に居ます。』


『了解! すぐに合流するよ! ちなみに、なんの屋台なの?』


『この屋台は、天ぷら蕎麦の屋台みたいです。』


『お、美味そうじゃん。すぐいくーー!』

と、身体強化全開で、迷惑にも、つむじ風を周囲に撒きながら、フェリンシアに合流する海渡。


「おじさん、天ぷら蕎麦、こっちも1杯!!」

と注文し、フェリンシアは2杯目を食べていた。


 美味しい天ぷら蕎麦を堪能した後、ギルドの出張所で、41体の討伐証明を貰った。


 え? どうやって討伐証明を取ったか?と言うと、

 ギルド出張所の裏の広場で 氷漬けの41体を見せたのだった。


 海渡曰く、だってこれ本部でやると、かなり面倒な事になるでしょ? と。


 しかし、出張所のギルド職員は、これまで年に数体だけしか討伐されず、犠牲者もかなり出ていて、漁師から突き上げられ、ギルド本部からは、攻められ・・・と狭間に入って胃の痛い思いをしていたので、大喜びしていた。


 なので、

「明日ももう少し討伐するから」

と興奮するギルド職員を宥め、美味しい宿を紹介して貰うのだった。


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