第97話

 異世界28日目。今日で異世界で最初の1ヵ月が終わる。


 朝から怒涛の1ヵ月を振り返りつつ、これからの予定を大小考えニンマリとする。


 軽く日課の鍛錬を終え、午後7時の朝食まで、時間潰しに託児ルームを完成させえる。

 屋根も取り付け、トイレも設置し、照明もエアコンも完備した。

 そう言えば、この世界の遊具ってどんなのだろう?

 ブランコとか滑り台とか作るべき?

 まああとは、大工さんや職人に内装をお願いする事とする。



 庭を横切って屋敷に戻ろうとしたとき、ロータリーにかつてあったと思われる、池?の残骸を見て、何か作るかな?と考える。

 なので、残骸を綺麗に排除し、泉を作れないか?とラピスを呼んで聞いてみる。


 すると、

「あら、良いアイディアじゃない! 乗ったわ!!」

と大賛成してくれて、泉の方は、任せろ! との事。


 と言う事で、土魔法で円形の壁を作って池にした。真ん中はこんもりと盛り上がる様な武骨な岩にしておいた。


「こんな感じで如何でしょうか?」

とラピスにお伺いを立てると、


「いいんじゃない?」

と、早速ラピスが水精霊の加護を掛けて、池全体がフワリと輝くと、岩の真ん中から水がしみ出して来た。


 早速、鑑定すると

 *****************************

 水精霊王ラピスの泉

 説明:水精霊が愛する清らかな泉。

    水に若干の回復効果がある。

    泉の周囲のエリアに加護の影響をもたらす。

 *****************************

 と出てきた。


 なるほど、あれが精霊魔法?? すげーな。 ずっと出てるんだね。


 お礼を言いつつ、この水って溢れない?と聞くと、

「そこはちゃんと考えて溢れないようにしてるわよ!」

と言われたww

 辺り一面水浸しはないそうで、安心しましたww


 ラピスと共に屋敷に戻ると、既にみんなが起きててて、ゾロゾロと食堂へと集まってきていた。


「おはようございます。」

と挨拶して、合流したエンジ君達に、住み心地の感想を聞いたら、


「ご飯も美味しいし、ちゃんとお腹一杯に食べられるし、寝心地の良いベッドはあるし、もう最高ですよ!」との事。


 何も問題が無いようで、ちょっと安心した。


 朝食の準備も終わったらしく、みんな自分で運んで朝食を取る。

 海渡もフェリンシアと共に座り、朝食を食べる。

 ラピスにもおすそ分け。


 気に入ったらしく、食べるだけ食べたら、「じゃあまた来るわ!」とさっさと消えて行った。


 海渡は朝食後、店舗やカフェの看板をトレントの板で作った。


 店舗側はロゴマーク+『さえじま商会』 カフェは・・・まだ名前を考えてなかったのだが、ラピスの泉が出来たので何かそれにちなんだ名前を考えたいと・・・。

『カフェ ラピスの泉』とかどうかな。これはあとでみんなの意見を聞こう。

 取り合えず、店舗側の看板だけ完成させて、店舗に渡しておいた。


 看板を預け、屋敷に戻ると、オスカーさん、ヨーコさんに捕まり、打ち合わせとなった。

 オスカーさんは、店舗と商会を回すとし、ヨーコさんは色々な事務やスケジュール等をこなす。

 リリーさんが屋敷管理の責任者。アニータさんが料理長。

 そうすると、生産部門をまとめて管理する者が1人欲しい と言う要望。


 たしかに御尤もなので、了承し、人材を見つけて貰うようにお願いした。

 条件はオスカーさん、ヨーコさんと同じで と言う事にした。

 

「他に足りない人材や、販売スタッフ等はドンドン良い人を雇って下さい。但し人柄が重要です!」

と条件を付け、あとは任せた。


 販売員の制服は、ヨーコさんの様なスーツで揃えるように、お願いした。


 カフェ側の制服は、可愛いメイドコスで、ラピスにちなんで、小さい羽の飾りを背中に付ける感じにし、カフェの名前は『カフェ ラピスの泉』でどうか?と打診すると、思った以上に好評だった。

 で、カフェで出す物には、ラピスの泉の水を使う事にした。


 オスカーさんもヨーコさんも、絶対オープンと同時に両方行列できますよwww と不敵な笑みを浮かべていた。


 カフェの店員さんは、店舗が落ち着く頃に進めましょうと決まり、それまでに出すスイーツのメニュー考える事にした。


 打ち合わせが終わり、忘れていた、コーティング用の魔道具を地下で作成する。かなり大物もコーティング出来る様にした。


 生産ラインが動き出したので、工房を更に地下へと増築する事とした。地下2階である。絶界の森の落盤事件の大惨事を教訓に絶対的な頑強さを備え、ちゃんと一定距離ごとに、柱を付ける事にした。地下2階は、地上から20m下である。


 とにかく、絶対に落盤しない様に頑強に頑強を重ねた物にした。

 これで生き埋めになったら、笑えないからねw


 そして、地下1階の工房の工作器具を新工房へと移動した。


 あと、地下1階も2階も、人が増えるので、空気清浄機とエアコンを付け、快適な温度で酸欠にならないようにした。万が一を考え、有毒ガスや酸素不足の警報も備えておいた。


 これで、あとは、飛行機の作成と、カフェのメニューの開発とがメインの課題となるが・・・。


「あっちを少し試したいんだよな・・・」と呟き、地下2階の工房を後にしたのだった。

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