第66話
アルマーさんの馬車に乗り、まずは魔道具ギルドに登録に行く。
なんでも、アルマーさんの友人が、魔道具ギルドのトリスター支部のサブマスターなのだそうだ。
なので、サブマスターにアポを取ってあるとの事。
まあ、残念なのは、このトリスター支部のマスターはドラーツ公爵の息の掛かったいけ好かない奴らしい。
魔道具ギルドの職員は、それぞれ自分の担当となった会員の成果や貢献度が、成績に反映される様なシステムらしい。
なので、優秀な会員を作る事が重要なのである。
と言う事で、海渡を登録させ、その成果でサブマスターを押し上げようと言う打算があるようだ。
それを聞いて、
「ふっふっふ」
と黒く笑いあう2人。
フェリンシアだけは平常運転で、海渡から貰っていた干し肉をマジック・ポーチから出して、味わって食べていた。
黒く笑い合う内に、魔道具ギルドに到着。
馬車から3人で降りて、魔道具ギルドの受付へ向かう。
受付嬢がすぐに
「あ、領主様いらっしゃいませ。今日はどの様なご用件で?」
とご挨拶。
アルマーさんが、
「サブ・マスターのサンドラさんと会う約束なんだが」
と受付嬢に言う。
「畏まりました。サブ・マスターの部屋へご案内致します。」
と先に立って案内してくれた。
部屋のドアをノックし、「領主様がお越しです。」とドアをあけ、中へと通された。
「やあ、久しぶりだね!アルマー。それで君が話に聞いた、カイト君とフェリンシアさんかい? 私がこの魔道具ギルドトリスター支部のサブマスターのサンドラ・フォスティニアだ。」
と綺麗な女性が出迎えてくれた。
アルマーさんと握手して、ソファーへ掛けるように薦められる。
「初めまして、カイトと申します。こちらはフェリンシア、本日は宜しくお願い致します。」
と軽く頭を下げる。
「今日は会員申請だけかい? それともついでに何か魔道具も登録していくかい?」
と言われ、
「先に色々聞きたい事があるんですが、良いでしょうか?」
と尋ねる。
「ほう、どんな事かな?」
とサンドラさん。
「魔道具の特許に関する内容です。
魔道具の特許を取る場合、保護される物はアイディアでしょうか? それとも魔法陣そのものだけでしょうか? あと魔道具のデザインに関する特許や、部分的な機能のパーツに関する特許とかも取れますか?」
「ほう、アルマーの話通りに、面白い事を聞いて来るね。着眼点が良いよ!」
と説明してくれた。
魔道具の特許の場合、申請時に特許の範囲を指定出来る。既に既存の物がある場合は、特許申請が降りない。
アイディア自体には特許は申請出来ない。魔法陣やそのパーツやその組み合わせで、特許が取れる・・・と言う事だった。
「では、アイディア自体は被ったとしても、方法や魔法陣が違うなら、特許は取る事が可能と考えて良いですか?」
と聞くと・・・
例えば、魔道具のコンロがあったとする。1つの魔道具は炎を出す魔道具、もう1つは熱気を放つ魔道具の場合、両方の特許は被らないとされる。
また、同じ炎を出すコンロであっても、固定の火力の物と、可変の火力の物なら、特許は被らないとされる・・・との事。
「ふむふむ。デザインとかはどうですか?
例えば、トレードマークを入れた物の場合、そのデザインをマネされると、誰が作ったのか判らなくなりますよね?」
と聞くと、
「ああ、それはどちらかと言うと、商業ギルドの方に申請する事になるな。魔道具に付けるトレードマークであっても、魔道具だけにしか使わないとは限らないので、商業ギルドの方で、マーク申請しないとダメなんだよ。 あっちのマーク申請に関しては、10年毎に更新出来るから、一生でも何代でも引き継ぐ事が可能だよ。こっちの特許は5年で時効だけどね。」
との事。
「では、魔道具の特許申請前に、どういう特許が存在するのかを、事前に調べる事は可能なんでしょうか? せっかく作っても既に申請されてる物だと意味ないですよね。」
と聞くと
「それは、魔法ギルドで検索できるようになっている。」
との事。ほう、データベース検索みたいな事が出来るのか。
「逆に言えば、その登録魔法陣をそこで確認出来てしまうという事ではないのですね?」
と聞くと、
「ああ、登録済みの物とバッティングするかどうかの判定のみが判る。 例えば、同じ内容の魔法陣の少し順番を弄っただけで、内容が全く一緒とかは合致するとして弾かれるね。」
「ふむふむ。じゃあ、仮にですが、全く同じ効果だけど、魔法陣が全く違えば、違う物として登録出来ますか?」
と聞くと
「難しいが、仮に全く違う魔法陣で、効能や結果が同じなら、違う物として登録出来るよ。」
との事。
面白いw ふっふっふ・・・じゃあ、俺の魔法陣は完全にやりたい放題だなwwと密かにほくそ笑む。
「ありがとうございます。気になっていた事は、ほぼ聞けました。」
とお礼を言う。
「そうか、じゃあ早速まずは、会員の新規申請だな。」
と申請用紙とペンを目の前に差し出して来た。
丁度その時、
「あ、マスター困ります。今サブマスターの所にお客様が来てらっしゃいますので・・・」
と秘書の女性の声がした。
「だからこそだろ! 良いからどけ!!」
と金切り声に近い男の声がして、いきなりドアが開けられた。
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