第54話

 気になっていた、女神様へのお礼も終わり、町を歩きながら、屋台で肉の串を何本か買い、食べながら見て廻った。


「そうだ!大事な事を忘れていた!! フェリンシアの服とか靴とか色々(←下着)買わなきゃ!!!」


 と言う事で、洋服屋さんとか。何処に行けば良いかな?

 今、フェリンシアは領主様のお嬢様方のお下がりのワンピースを着ているわけだが。


「一度、ギルドに戻って、アニーさんに聞いてみよう。」

とUターン。


 再び、ギルドに戻り、カウンターにアニーさんを発見。


「あら、カイトさん、どうしました? 依頼でも??」


「いえ、そうではなく、フェリンシアの服や靴や全部一式揃えたいのですが、何処かに良い店が無いかと。 あと出来れば防具も少し見ておきたいんですが。」


「ああ、そういう事ですね。では、地図を書きますね。冒険者向けの服の店と、普段着用の店と、(あと下着類もですね?) 靴屋も記入しておきます。」


「あ、あと、お勧めの昼ご飯食べられる、美味しい店があれば、それもお願いします。」


「うふふ、了解しました。」



 丁寧に地図と、この店の何が美味しいと言う情報まで書いてくれた。

 再び、地図を見ながら、お店へ向かう。


 まずは、冒険者向けの服やさん。

 特に女性用の店ではなかったので、お店のおばちゃんに、フェリンシアと俺を適当に3着づつ、上下を揃えて貰う。

 靴下や下着も売っていたので、それは5着づつ。

 これからの季節に向けて、気温が下がるとの事で、上に羽織る厚手のジャケットも1着づつ購入。

 纏めての購入だったので、少しおまけしてくれて、銀貨4枚の所を、銀貨3枚と大銅貨80枚にしてくれた。

 おまけに、大き目の手提げ袋も付けてくれた。

 まあ、アイテムボックスがあるから、良いんだけど、紙のお札やクレカとかに慣れた俺には、この世界のお金って、ジャリジャリと重たいし、枚数多いから面倒になる。



 店のおばちゃんに聞いて、ついでに日用雑貨の店も教えてもらった。

 日用雑貨店では、フォークやスプーンやナイフ、見た目の良いお皿とか、鍋とかの調理道具、石鹸やタオル等を多めに買った。

 いきなり、大量に色々買ったので、お店の人がビックリしてた。

 料金は締めて、銀貨5枚と大銅貨20枚。でも銀貨5枚に負けてくれた。なんかみんな優しいよねww


「君たち、そんなに持てるの?」と。


 そこでさっきの服やで貰った大き目の袋に大きな鍋や寸胴何かを入れる「フリ」をして、アイテムボックスに収納して見せたら、


「あら、それはマジック・バック?」

と驚かれたが、カモフラージュに成功したようだった。(←本当はマジック・バックも高価な物なので、一般庶民は持っていないのだが)


 昼に近くなったので、アニーさんお勧めのお店で食べてみる事にしました。

 こちらの世界の食堂?は、日本のレストランとかと違い、ガラス張りの窓で中が見える訳ではなく、看板が出てるだけの家?っぽい作り。


 ドアもあって、完全に室内で食べるような感じ。

 ドアを開けると、テーブル席と、カウンターとある。


 ウェイトレスの女の子が居たが、特に案内される訳でもなく、自由に座って良いらしい。


 席に座ると、注文を聞きにきた。

「いらっしゃい。何にする? お薦めは、本日のランチセットね。」と。


 なんだか良く判らないが・・・

「じゃあ、それを2つお願いします。あと、飲み物も」


「飲み物は何にする? お茶か、お水か、果実水があるけど。」


「じゃあ、果実水を2つお願いします。」


「はーい、じゃあ、1人大銅貨4枚ね。じゃあ、待っててね。」


 と去っていった。

 異世界の接客って、みんなこんな感じなのか? と生まれてからこれまで日本人として日本で育ってきた俺には、ちょっと疑問に思う。


 そういえば、海外だと、ウェイターやウェイトレスやボーイとかにチップを渡すのが通常だったりするが、ここではどうなんだろう? とか考えていると・・・


『ここでは、特にチップを渡すという事は無いみたいですよ。』

と知恵子さん情報。


『じゃあさ、みんなこんな感じの接客なの?』

と聞くと、


『まあ店のグレードと、客の地位にもよりますが、大体これがこの世界の普通ですね。』

 ふーん・・・こんな感じなのか。 なんかちょっと違和感あるなぁ・・・。


 日本にある様なオープンテラス付きのカフェっぽいのを日本並みの接客でやったら、ウケるんじゃないの?と思ってしまう。


 おお、そうか!! スィーツとかも開発(←日本の物を再現)して、軽食ぐらいまで出す感じかな。

 あとはこちらの食事を色々見てみて、こっちになければ、日本のメニューを再現したレストランとか・・・いっそのこと、メイドカフェっぽいのしてみるとかwww

 等と、妄想を暴走させてると、本日のランチが来た。



 スープっぽい物と、ステーキとパンだな。

「いただきます。」と手を合わせ、スプーンを取る。


 ふむ・・・まずはスープを一口。

 ふむ、肉の味?が染みていて、アッサリしてるけど、全体に味が薄い。

 コンソメスープに似てるな。領主様の館と比べるのが間違っているんだろうな。


 次、ステーキだな、何の肉だろう? ナイフで切ると、肉汁が溢れて来る。

 塩コショウとかはテーブルに置いてないので、このまま食べる感じみたい。

 

 口に入れると、それなりには美味しい。

 何のお肉かな? オークでもないし、うーん、俺の知らない肉かな?

 

 あ、鑑定してみれば良いか と、


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 レッサー・オークのステーキ

 説明:レッサー・オークの肉を焼いたステーキ

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 ふむ、レッサー・オークってのが居るのか。


 オークとか、ワイバーンとか、ミノタウロスとか、フルーツ・キャタピラとか食べなれちゃったからってのもあるけど、屋台で買った肉串より落ちる?


 やっぱり、一番の問題は味付けだな。塩コショウが全体的に足りてない。

 これが、一般的な庶民の料理なのかなぁ? と、ちょっと残念な感想。


 パンは中が白いパンではなく、小麦色。結構硬い。スープに漬けながら食べる感じかな。

 フェリンシアを見ると・・・うん、微妙な顔をして食べていた。

 ああ、俺の作った料理に慣れちゃってたからね・・・舌が肥えちゃったんだねw


『ねぇ、海渡、あまり美味しくないんだけど?』


『うん、俺もビックリした・・・。まあ店の中じゃ、あまり話しにくいから、外に出たら話そうね』

と海渡が答えた。


 いつもなら、かなりのペースでガッつくフェリンシアも、慣れないフォークとナイフを使って、落ち着いて食べていた。

 食べ終わって、支払いを済ませ、店から離れ、フェリンシアと小声で話をした。


「いやぁ・・・期待したほど、美味しくはなかったね。領主様の館で食べた物は美味しかったから、それなりに期待してたんだけどね。」


「うん、ちょっとガッカリしちゃった。海渡の料理美味しいから、あれに慣れてしまって・・・かなり悲しかったです。」

とフェリンシア。


「多分、塩とか胡椒とかって調味料は、この世界だと高いんだと思う。あまり使うとそれだけで、単価が高くなっちゃうからね。ここは多分、値段が安くて、それなりに美味しい・・・って事なんじゃないかな?

 領主様の館は、貴族の家だから、きっとそこら辺は、町の一般よりも上質な物を、適切な調味料で味付けしてるから、美味しいと思う。まあ他のお店はもっと美味しい可能性もあるから。」


「そうだね。次に期待しようね!」


 うん、食べ物に関しては、ブレなく前向きな子だw


「最悪の場合、食材を補充して、アイテムボックスに作り溜めしておいても良いしね。」


 まあ、出来ればそれはそれ、これはこれで、この世界の美味しい料理を味わいたいし、日本の美味しい料理を、こちらの食材で進化させて広めたい。


 うん、やる事(やりたい事)沢山だなw

 女神様からは許可貰っているけど、あまり面倒な事にならない様に、あまり表に出ない感じで、何とかしたいなぁ・・・。

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