第3話 カケル(転)

「あん時、オレと涼太が親の言うとおりに結婚すれば、オレとお前らはずっーと一緒におれると思ってたんや。


 前世で、羽根と涼太は男、オレは女やったやろ。

 せやけど、オレが涼太と結婚したいと言ったから、お前らを失うことになってしまった。

 悪かったな、ホンマにごめん。」


「翔と涼太の結婚が決まりそうになったとき、涼太が俺と一緒にいたいから翔とは結婚できないと、周囲に打ち明けたんだよね。

 親も兄弟も親戚も皆に反対された。

 翔も自分が涼太と結婚するから、悪いようにはしないから今は諦めろって言ったね。


 俺も涼太もお互いのことが大好きだった。

 同じくらいに翔のことも大好きだったよ。

 だから、翔の気持ちもわかっていたよ。

 翔が俺たちのことを思って、涼太と結婚するって言い出したこと。

 だってさ、小さいころからずっとそうだっただろ。

 3人でいるときは普通なのに、親や友達がいるときはやたら涼太とばかり仲良くして、そうやって周囲の目を誤魔化してくれてことなんて、ちゃんとわかってたし、本当に感謝していたんだよ。


 でも、俺と涼太は自分らしく生きたいと思ったのと同じくらい、翔にも自分らしく生きてほしいと思ったの。

 自分の人生を大切にしてもらいたかった。

 いつまでも、ふたりのカモフラージュの役目なんてさせてられないって。

 俺たちの大切な妹なんだからって。

 翔、ありがとう。

 一人にしてごめんね。

 翔は何でスープを飲まなかったの?」







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