第43話 女神の帰還

 領主会議の翌日、それは突然やって来た。



「待たせたな!戻ったぞ!!」


「ヴィアンテ様!!」



 昼食の最中、突然現れたヴィアンテ様に俺達は立ち上がる。


 昨日の一件以来、ギクシャクしていたのもあり、俺はラマニア以上に喜んだ。



「喜べ!まずは一人、鎮火の勇者を見つけてきた!!」



 そう言ったヴィアンテ様の後ろには、俺と同年代くらいの男の子がいた。


 おそらくどこかの高校の制服らしき服を着ている。



「ど、どうも……」



 この世界に来たばかりの俺と同じく、不安そうな顔でキョロキョロと辺りを見回している。


 どっちが歳上かはわからないが、少なくともこの世界じゃ俺が先輩だ。


 安心させてあげる為にも俺から声をかけてあげるべきだろう。



「はじめまして。俺は隼瀬倫はやせりん、17歳だ。キミは?」


「あ、僕も17歳です。あの、古鷹こだか晃雅こうが、高2です」


「高2か。俺は高3なんだけど、まぁここじゃあまり関係ないかな」


「そうなんですね!よろしくお願いします!隼瀬はやせ先輩!!」



 俺と古鷹君は握手をする。


 先輩と呼ばれてしまったが、なんだかこそばゆい。


 元の世界でも俺のほうが学年が上のようだし、この世界でも先輩で間違いは無いのだが。



「あー、えっと、『先輩』ってのはやめようよ。この世界じゃ先輩とか後輩とか、どうでもいいし」


「じゃあ、何て呼べばいいですか?」


「リンでいいよ」


「じゃあ……リンさん、でいいですか?」


「うん。キミはコウガ君でいいかな?」


「はい!!」



 どうやらコウガ君とは上手くやっていけそうだ。


 素直ないい子そうだ。



「私がいない間、特に問題は無かったか?」


「はい。………とは言い切れませんが」


「ふむ。話を聞こうか」



 俺達はヴィアンテ様がいなかった間の出来事を説明した。



「ん………。まぁ、概ね予想の範囲内だな。それにしてもモフカーニの奴め、私の期待以上の事をしてくれたようだな」


鎮聖滓ザメインの事ですか?」


「うむ。その事はいずれ私からも教えようと思っていたのだが、私では各地の領主の思惑に配慮するまでの事には考えが及ばなんだであろう。そういう事については奴に任せたほうが良いかもしれぬな」



 ヴィアンテ様がモフカーニさんの手腕を誉めるのがなんとも珍しく感じた。


 珍しいと言うのもおかしな話ではあるが。



「さて、とりあえずリンとコウガはビロープ領を境として、この国を守ってもらう」


「はい!!」


「そしてリン、お主は鎮火活動ちんかつと並行し、鎮聖滓ザメインの貯蔵を進めよ!」


「はい!!」


「コウガ、お主にはまず経験が必要だ。ビロープ領より西側の鎮火にはお主があたるのだが、ラマニア!」


「は、はい!!」


「ラマニア、お主は今後はコウガと共に行動せよ。『炎』が無い時はコウガとの聖交渉セクルスに励むのだ!」


「ええっ!?」

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