第21話 イオタ・バーバン

「い、イオタさん……それは……」


「勇者様はラマニア殿下でんかので見慣れていらっしゃるのでは?」



 確かにそうだ。


 今イオタさんと俺の間にあるこの光の縦筋たてスジは、紛れもなく『聖門ミリオルド』だった。



「それじゃあイオタさんも……聖なる門の乙女おとめだったんですか?」


「はい。私の家系、バーバン家の娘は代々『聖門ミリオルド』を開く力をもっています」



 そうだったのか。


 そう言えばヴィアンテ様も、門を開く能力者は一人じゃないみたいな事を言ってたっけ。


 つまり、ラマニアに何かあった時に代わりに門を開けられる候補者がもう一人見つかったというわけだ。



「さぁ、勇者様も『聖塔ミティック』をお出しください」


「ええ?な、何で?」


「ふふっ、いやですわ。おわかりでしょう?」



 おわかり?何を?



「ほら、ご覧ください。私の縦筋ここ………」


「あ……」



 部屋が暗くてわからなかったが、よく見るとイオタさんの縦筋たてスジはしっとりと濡れていた。



「勇者様とこうなる事を想像して、こうなってしまったんですよ?……いえ、今日のラマニア殿下でんかとの鎮火活動ちんかつの時から……」


「えっ?俺達の鎮火活動ちんかつを見てたんですか?」


「いえ、あの時は私とブルウッド卿は霊園の外に待機していましたから見てはいません。ですが、ラマニア殿下でんかのお声は聞こえていましたから…」



 そ、そうか。


 確かにあの時ラマニアはかなり大きな声で聖天昇イッていたからな。



「ら、ラマニア殿下でんかのあのお声を聞いていたらもう、私……我慢できなくて……」



 イオタさんは恥ずかしそうに身体をモジモジとさせながら、潤んだ瞳で俺を見つめてくる。


 まさか……ここでイオタさんと聖交渉セクルスを?



「もう!焦らさないでください!」


「で、でも」



 するとイオタさんは俺の顔を両手で包み込みながら……



でよ……『聖塔ミティック』」


「なっ!?」



 イオタさんが唱えると、俺の胸の前に光の塔、『聖塔ミティック』が現れた。



「な、何で!?」


「勇者であるお主が強制的に聖女の『聖門ミリオルド』を出せるのと同じだ」


「ヴィアンテ様!?」



 いつの間にか俺の左肩に座っていたヴィアンテ様が答えた。



貴女様あなたさまが女神ヴィアンテ様ですね」


「うむ」



 イオタさんは礼儀正しくヴィアンテ様にお辞儀をする。


 お辞儀をしながらも俺の『聖塔ミティック』を手でさする事も忘れない。



「ちょうど良い。リンよ、この娘と聖交渉セクルスをするのだ」


「ええっ!?で、でも、俺にはラマニアが……」


「愚か者!これも『御鎮法おちんぽう』の一環だ。ずっと同じ女との聖交渉セクルスばかりだとマンネリ……じゃなくて、成長が頭打ちになる。たまには違う女と聖交渉セクルスするのも、効率的に成長する方法のひとつだ」


「そ、そうなんですか?」


「うむ、それにな……」



 ヴィアンテ様はニヤリと笑いながらイオタさんのほうを見る。



「娘……イオタと言ったな。そなたは当然、はじめてなのであろう?」


「は、はい」


「ならばリンよ、格の違いを見せてやれ」


「は?」


「お主にはラマニアと積み重ねた経験があるであろう。イオタとリンの聖交渉セクルス経験値レベルの差は歴然だ。せいぜいお主のガッチガチにビルドアップされた『聖塔ミティック』で、この娘をヒィヒィ言わせてやるがよい!!」


「ひっ、ヒィヒィ?勇者様の『聖塔ミティック』で私はヒィヒィ言わされてしまうのですね!?」



 ヴィアンテ様の言ってる意味はイマイチよくわからないけど、イオタさんは顔を真っ赤にしながら嬉しそうに、どこか期待するような表情をしている。


 でもまぁ、この聖交渉セクルスで俺はまたひとつレベルアップできるわけだし、それに今後もしかしたらイオタさんに臨時で鎮火活動ちんかつのパートナーをお願いする事もあるかもしれない。


 その時にお互い初めてで戸惑うよりはここで一回しておいたほうがいいのかもしれないしな。



「そ、それじゃあイオタさん……いいですか?」


「はい………や、優しくしてください……」



 イオタさんのOKの返事を受けて、俺はイオタさんの『聖門ミリオルド』の門内なかに俺の『聖塔ミティック』を侵入させていった。


 予想通り初めてのイオタさんの門内なかはかなりキツかったが、ラマニアとの初めての時とは違い、最初から濡れていたおかげか割とスムーズに入っていった。



「ひっ………」



 優しくしてくださいと言われていたし、俺もできるだけ優しくしようと思っていたんだけど、『聖塔ミティック』が根元まで入った瞬間、



「いひぃいいいいいっ!!凄い、凄いのぉおおおおおっ!!もっと!もっと、めちゃくちゃにしてぇええええっ!!」



 どっちだよ!!


 俺は『聖塔ミティック』だけじゃなく心の中でも突っ込みを入れ、本人の望み通り激しい聖交渉セクルスを執行した。


 イオタさんはあっという間に聖天昇イッてしまい、ヴィアンテ様の言ったように経験値レベルの差を見せつける結果になったのだが、驚いたのはその後だった。



しゅごいぃいぃいぃ!!しゅごいです勇者様ぁあぁあぁあっ!!わたひわたひ聖天昇イッたばかりなのにぃいぃいぃいっ!!」



 そのまま4回も聖交渉セクルスをする事になったのだった。

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