第9話 『御鎮法』の訓練その①

 翌朝。



「ヴィアンテ様!俺に、『御鎮法おちんぽう』を教えてください!!」



 ラマニアと一緒に朝食を摂った後、俺は自室に戻るなりヴィアンテ様に『御鎮法おちんぽう』の訓練をお願いした。


 昨夜、ラマニアの密かな自主訓練を目撃してしまった俺は、いてもたってもいられなかった。



「ふむ、聖力せいりょくは完全に戻っているようだな。ふふ……さすがの若さと言ったところか」


「お願いします!!」


「いいだろう。では、そこに座って全身の力を抜け。そして『聖塔ミティック』を出すのだ」


「はい!!」



 俺は言われた通り、ベッドに座って『聖塔ミティック』を出した。



「よし。『御鎮法おちんぽう』の第一段階は精神修練、つまりイメージトレーニングだ。まずは目を閉じて心を落ち着けるところから」



 ヴィアンテ様の言葉に従うまま、俺は目を閉じて心を落ち着けた。


 前方に伸ばした両手の先から出ている『聖塔ミティック』と、ベッドに腰掛けている事を除けばお寺の座禅に似ているかもしれない。



「では次だ。お主の目の前にラマニアがいる。ラマニアはお主と同じように両手を前に出し、『聖門ミリオルド』を出す」



 俺は目を閉じたまま、ヴィアンテ様の言うように目の前の暗闇の中にラマニアのイメージを具現化させる。


 そしてイメージのラマニアが『聖門ミリオルド』と唱えると、先日の鎮火活動ちんかつで見たように一本の光の縦筋たてスジがすうっと現れ、その縦筋たてスジが左右に「くぱぁ」と開いてゆく。



「……今、お主の目の前にはラマニアの『聖門ミリオルド』が見えておるな?」


「はい………」


「さぁ、お主はどうしたい?」



 どうしたいだって?


 そんなの決まってる!!



「い、入れたい!!今すぐ俺の『聖塔ミティック』を、ラマニアの『聖門ミリオルド』の中に!!挿入したいです!!」


「そうか………だが、今はまだ許さぬ。門内なかに入れてはならん」


「そっ、そんな!?」



 これはまるで拷問だ。


 イメージの中のラマニアは、ぱっくりと左右に拡げた穴から溢れてくる『炎』の熱波を浴び、苦しそうに悶えている。


 こんな光景を、何もせず黙って見ていろと言うのか!?



「はぁ、はぁ、ヴィ……ヴィアンテ様、も、もう、我慢できません!門内なかに!門内なかに入れさせてくださいっ!!」


「まだだ。まだ入れてはならん」



 もう限界だ!!


 俺のほうは『聖塔ミティック』も出して、挿入いれる準備万端だというのに!!



「俺……もう、もう、このままだと……っ、想像イメージだけで射聖しゃせいしてしまいそうですっ!!」


「ふっ……ここまでか。そこまで!目を開けよ!!」



 ヴィアンテ様の声に反応し、俺は目を開ける。


 一瞬にしてイメージの世界は霧散し、仮想のラマニアとその『聖門ミリオルド』も俺の前から消えた。



「はぁっ!はぁっ!はぁっ!……あ、危なかった……」


「何が危なかった?」


「あ、あと数秒遅かったら、俺は射聖しゃせいしていたかもしれません」


「ふふ……そのようだな。見てみるがいい。ほれ」


「?」



 ヴィアンテ様の視線を追うと、そこは俺の『聖塔ミティック』の先端部分。


 その先端部分がわずかに白く光っていた。



「こ、これは……」


「お主の射聖欲しゃせいよくの結晶、といったところかな」



 ほ、本当に限界の一歩手前だったんだな。


 こんな苦しい訓練だったなんて………これが『御鎮法おちんぽう』か!!



「どうだ、初めての『御鎮法おちんぽう』は苦しかったか?だが、これを続けていく事により、お主は射聖しゃせいを自在にコントロールする事ができるようになるのだ」


「わ、わかりました。これからもお願いします!!」


「うむ。だが、今は少し休憩だ。とりあえずはそのたかぶった『聖塔ミティック』を少し休ませんと、すぐに射聖しゃせいしてしまうぞ」


「は、はい」



 俺は大きく深呼吸し、一旦『聖塔ミティック』を消した。

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