第65話 リング

 俺はおちている指輪を拾う。

 宝石はなく、剣と盾の刻印がされた金属製の指輪だ。

 カニさんミトンを外すと、指にはめてみる。


 するりと馴染むように指にはまる。

 ステータスを開いてみる。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 氏名 朽木 竜胆(クチキ リンドウ)

 年齢 24

 性別 男

 オド 26

 イド 12


 装備品 

 ホッパーソード (スキル イド生体変化)

 チェーンメール (スキル インビジブルハンド)

 ググリング(スキル 武具具現化)

 江奈の見習いマント

 Gの革靴 (スキル開放 重力軽減操作 重力加重操作)


 スキル 装備品化′ 廻廊の主権

 召喚顕在化 アクア(ノマド・スライムニア) 送喚不可

 魂変容率 17.7%

 精神汚染率 ^D'%

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 


「ググリング? 変な名前だな。スキルは武具具現化と。名前からすると、さっきの騎士スライムみたいに剣とかを出すのかな。……ああ、名前の由来は、武具具現化の、ググか。相変わらずひどいネーミング。腕装備に何か恨みでもあるのか。」


 俺は取り敢えず一回使ってみてから、江奈の元へ急ぐことにする。


「武具具現化、発動。」


 取り敢えず唱えてみる。

 目の前に、ステータス画面のような感じで、検索窓が浮かび上がってくる。


「なんだこれ?」


 俺の呟きにあわせて、検索窓に文字が浮かぶ。


『ナンダコレ……ノーヒット』


(俺の呟いた文字が検索窓に表示されたよ。これって武器防具の名前とかを叫べと言うことかな。いいだろう、その挑戦、受けてたとう。)


 俺は気合いを込めて叫ぶ。


「ミョルニル!」


 検索窓に文字の羅列が生じる。


『ミョルニル……ヒット。具現化行程スタート。発動者朽木竜胆の意識にアクセス……アクセス成功。魂侵食率0.1、0.2、0.3%増加。アクセス終了。具現化シーケンス開始』


「ぐぅっ、はぁはぁ。」


 脳みそを貫通して、魂になにかがぶっ刺さるような不快感と鈍い痛み。思わず漏れる苦痛の声。


 その間にも検索窓に訳のわからない文字の羅列が続く。

 しばらく続いたそれも、俺の魂の苦痛が少し和らぐころに、ピタリと止まる。


 俺の指のググリングが、合わせたかのようにウニウニと蠢き始める。

 粘体のように伸びると、先端が左右に別れる。

 そのまま色づき、ググリングと繋がっていた部分がポキッと折れる。

 そのまま落下する、それ。それは、見た目はまさに、子供がよく工作で使うような、トンカチだった

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