魔族の脅威

「おいサラ。“討伐”じゃねぇ、”調査“だ」

「…そうなの……?なんで…?」


 勘違いをしていたのか、サラが不思議そうな顔をしてジェガンに尋ねる。


「当たり前だ。魔族に勝つつもりなら、レベル20じゃ低すぎるだろ。俺は魔族に遭っても“逃げられる”基準で調査隊を選んでるんだ」


 ──魔族──それは魔王の系譜に名を連ねる者たちのことである。

 魔族は皆、血縁関係にあり、魔王との血が濃い者ほど強い力を持つ。遠縁の者ほど力が弱いとされている。だが、そのような弱い魔族一人とっても、レベル30は無いと”人“では勝ち目がない。


 魔族は総じて個体能力値が高い。弱い魔族でもそれなりのレベルの魔法とスキルを扱い、人とは比べものにならない身体能力を持つ。レベル30は冒険者でもベテランの域に入る。その者をしてやっと勝ち目が出てくる程度なのである。


 しかし、魔王との血縁が近い魔族は人の手に余る。血の濃い魔族は高い能力のほかにユニークスキルやエクストラスキルといった高度な能力を保有している。

 相手にできる者は勇者か英雄チャンピオン、それに上位クラスでも伝説級の力を持つものだけである。


 だが、本当に恐ろしいのは彼らの団結力である。血の結束で結ばれた彼らは、一族が殺されると復讐者を送りこんでくる。復讐者を倒しても別の復讐者が送り込まれる負の連鎖……魔族との戦闘は割りに合わない行為であった。


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