第34話:聖王様のところへ!!
私とシグレはシグレが教えてくれた隠し通路を使って、聖王城の聖天大王様の私室まで向かっていた。
すると……
「やはり来たか。シグレ」
私達の前に黒いローブをまとった集団が現れた。その内の1人がシグレに話しかけてきた。もしかして、この人達って……
「察しの通り魔法省暗部の者達です。彼が隊長で、元私の上司です」
シグレは淡々とした口調でそう答える。
「その言葉。暗部を抜けると受け取るがいいんだな?」
「構いません。再就職先はもう決まってますので」
「残念だ。お前は優秀な逸材だったのだがな」
そう言いながらも、特に残念そうな様子も見せずに身構える隊長。すると、シグレは唐突に転移の魔法を使用し、私を魔法省暗部を越えた向こう側まで転移させた。
「シグレ!!?」
「セリーナお嬢様!行ってください!そこからは一本道です!ですから!早く!!」
私は一瞬足が止まりかけたが、シグレの気持ちを無駄にしてはいけないと走り出した。
「数人はあの令嬢を追え。残り数人は私と共にシグレを相手にするぞ」
『ハッ!!!』
「たったそれだけの数を追わせるだけで本当に良いんですか?」
「たかが貴族令嬢ならあれぐらいで十分だ。むしろ、全然実力のほとんど見せていないお前を相手にするべきだろう」
「なるほど……私への過大評価は有り難いですが……隊長。あなたは私とセリーナお嬢様を舐めすぎですよ?」
追ってきた数人の魔法省暗部を全員拳でぶっ飛ばし、私は隠し通路を出て、聖王城の廊下に出た。そして、右側を振り向くと、そこにいかにも豪奢な大きな扉があった。
「ここが……聖天大王様の私室って訳ね……!」
私は勢いよくその扉を蹴破って中に入る。
そこには……
「ッ!!?お姉様!!?」
床でグッタリと寝込むリーアお姉様がそこにいた。私はすぐにリーアお姉様に駆け寄ると、よく眠らされるリーアお姉様だが、今回はいつもと違うことに気づく。
「ッ!?息を……!?していない……!?」
リーアお姉様は寝息を一つもたてずに眠っていたのだ。そんな……!?嘘でしょ……!!?
「ふふふ……!!フッハァハハハハハ〜ーーーーーーーー!!!やったぞ!ついにワシは!神聖香を手に入れたぞ!!!!」
リーアお姉様から少し離れた場所で、高笑いをあげている老人がいた……
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