第26話:一連のシグレの謎

私はついにシグレと対峙した、シグレはいつもの無表情が少し崩れて動揺しているようにも見えた。私がここにいる事に驚いているのだろう。


「まさか……あれ程強力な睡眠薬でも起き上がるなんて……とんでもない嗅覚ですね。セリーナお嬢様……」


ふむ。どうやら、シグレは私は睡眠薬入りの紅茶を飲んだけれど、起き上がって追ってきたと思っているようだけど……


「それは違うわよ。シグレ。私はね、貴方が用意した紅茶を飲むフリをしただけよ」


「ッ!!?」


私の発言に今度こそ本当に驚愕の表情を見せるシグレ。けれど、すぐにいつもの無表情に戻り


「いつからですか?私が怪しいと思ったのは……」


と、尋ねてきた。


「そうね。最初に疑問に感じたのはあの似非商人からよ」


私の言葉にシグレは無表情ながらも、眉がピクリと上がったように見えた。


「貴方……自分が作った物以外食べないぐらい食に関して警戒心が強いわよね?そんな貴方が何であの似非商人の料理を食べて寝ていたのか疑問だった」


そう。彼女は自分の作った料理しか食べないのは、侍女仲間の間で有名だった。だから、そんな徹底した食生活をしていた彼女が似非商人の用意した物を食べたというのは疑問だった。


「……あの商人の護衛に無理矢理気絶させられたという事は考えなかった?」


「確かに、あの護衛と真正面から戦ったら勝てなかったでしょうね。真正面から挑んだら……ね……」


私の言葉にシグレは沈黙。その沈黙はある意味で肯定ともとれた。


「それから、怪盗 Fの事件に関しても……怪盗 Fはぶっちゃけ戦闘面でいったらあの似非商人の護衛よりもだいぶ劣るわ。それを貴方がどうにか出来なかったのはおかしいわよね?」


この私の言葉に対してもシグレは沈黙。つまり、本当のシグレなら怪盗 Fに遅れをとることはなかったという話だ。


「そして、あの公爵令嬢の件も……あんな沢山の傭兵団が忍び込んだのに、屋敷の警備隊が何の動きも見せないなんておかしいと思って問いただしたら……急に眠気に襲われて何も覚えていないって言ってたけど、1人だけ……誰かのクッキーを食べた瞬間眠くなったと言っていた人がいたのよ」


私の言葉にやはりシグレは沈黙している。なので、私は構わず続ける事にした。


「それで、侯爵お抱え料理人に聞いたら、その日貴方がクッキーを作る為に厨房を貸して欲しいとお願いされた事を教えてくれたのよ」


様々な事件のシグレに対する小さな疑問。そして、あの公爵令嬢の件で決定的とも言える発言が飛び出し、私はシグレをこれまでの一連の事件に関わっていると結論づけた。


「……迂闊でした。料理人の人の記憶も消しておくべきでしたね」


シグレは長い沈黙を破ってそう言い放った。


「さぁ、今度はこっちが聞く番よ。貴方は一体何者なの?」


「こうなったら白状するしかないですね。私は、アストール聖王国の魔法省の暗部の人間です」


ついに、シグレは己の正体を明かしはじめた。

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