第21話:強奪の魔法

アルミナの魔法「強奪」は確かにあらゆる物を自分の物に出来る魔法である。自分よりも魔力が低い者に限るが……自分より魔力が高い者だと、拒絶された場合抵抗される場合がある。

しかし、現状はリーアは眠っていて意思を表せない状態である為、リーアの魔力がアルミナよりも高くてもどうにか出来る。しかも、厄介な事にアルミナの魔力も何気に高いので、軽く抵抗が起きても何とか強奪出来る可能性が高いのである。


正直、それだけ便利な魔法があるなら、自分の国ぐらい簡単に創れるのだが、頭の弱いアルミナではそういう発想に至れない。


「なんかナレーションにバカにされた気が……」


「何を言ってるんですか?お嬢様」


「まぁ、いいわ。この魔法を使って!私はこの娘の匂いを私の物にするのよ!」


「そんな事させてたまるかぁ!!!」


セリーナは当然阻止する為に動こうとするが、それに立ちはだかるのは……


「申し訳ありませんが、ここから先にお通しする訳にはいきません」


セリーナの前にマナカが立ちはだかった。


「退いてよ!お姉さん!お姉さんも従者なら!主人がバカな事をするのを止める必要があるでしょ!?」


「そうですね。その通りです。ですが、もう彼女とは長い付き合いで……おこがましいですが、憎めない親友のように感じています。命を取ろうと言う訳ではありませんし、どうか見逃してもらえないでしょうか?」


「悪いけど!私には死活問題なのよ!!」


こうして、マナカとセリーナが対峙する事になったのだが……


これまで、どんな奴も簡単に片付けてきたセリーナに初めてのピンチが訪れていた。


(くっ!?このお姉さんもなかなかの匂いの持ち主だわ!?)


そう。マナカは例え人妻で子持ちであっても、セリーナの大好きないい匂いのする綺麗なお姉さんキャラであったのだ。例え、リーアより匂いは劣るにしても、彼女のポリシーとして、いい匂いのする綺麗なお姉さんを傷つける事が出来ない。

ならば、やるとしたら首の後ろに手刀をあて気絶させるしかないが、彼女はそれなりの実力がある為、なかなか背後に回る事が出来ず、セリーナは初めて悪戦苦闘していた。


「いいわよ!!マナカ!やってしまいなさい!!」


「お嬢様。応援よりもやるべき事を済ませてください」


「おっと!そうだったわね……それじゃあ……強奪!!」


「やめてえぇぇぇ〜ーーーーーーーーーーーー!!?」


ついに、アルミナの魔法が発動した。

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