第20話:アルミナの魔法

傭兵団はなんとか依頼主の所までたどり着いた。


「はぁ……!?はぁ……!?ほら……依頼通り……拉致してきたぜ……!」


「ありがとう。助かったわ。報酬は言われた金額をって……なんかやたらと疲れてるみたいだけど大丈夫?」


全員ヘトヘトになっている傭兵団を見て首を傾げるアルミナ。よく見れば、依頼した時よりも人数が少し減っているような気が……


「なんでもいい……!?さっさとここからズラかるぞ……!?そうでないと……」


「見つけたわよぉ〜ーーーーーーーーーー!!!!」


突然傭兵団の周りが爆発する。マナカは咄嗟にアルミナとリーアを抱えて後退して難を逃れたが、その爆発により傭兵団は全滅。そして、その爆発の中心地にいたのは……


「貴方ね。リーアお姉様を攫うように命令したのは……」


ギロリとアルミナを睨んでそう言うセリーナ。その迫力にアルミナはビビって後ずさるも


「あ……貴方は一体誰……!?」


「私言いましたよね。リーア・キャンベル嬢には、妹がいて、その妹が要注意人物だと……アレがその妹です」


マナカは若干呆れた溜息をついてそう言う。


「妹!?たかが妹が何で要注意人物なのよぉ!!?」


「この惨状を見れば誰でも要注意人物だと分かるのでは」


マナカは再び呆れた溜息をついてそう答えた。


「貴方がお姉様を攫う目的は何?まさか、また匂いとか言うんじゃ……」


「その通りよ!!」


「その通りなの!?またこのパターンなの!!?」


流石に3回も匂いのせいで拉致される姉に驚愕するセリーナ。まぁ、こんないい匂いだと仕方ないかなという想いもあるが……


「この魔性のような香り……!この匂いこそ!全てを虜にしてしまう私にこそ相応しいわ!だから!この匂いを奪わせてもらうわ!」


若干頭の悪そうなアルミナの発言に、セリーナはジト目でアルミナを睨む。


「奪うって……匂いなんて形が存在しない物を奪える訳ないじゃん……」


前前回のハンジョーは、リーアを攫い、リーアの匂いを抽出して香水を作ろうとした。前回の怪盗Fはリーアごと奪って自分のコレクションにしようとした。

しかし、アルミナは自分が奪って自分の物にすると言っているのだ。そんな事は不可能だ。だが……


「フフフフフ……!オッホッホッホ〜ーーーーーー!!!私なら奪う事が可能なのよ!何故なら!私の得意魔法は強奪よ!この魔法はね!どんな物でも私の物にしてしまえるのよ!既婚者の心も……貴方のお姉さんの匂いすら……ね」


「何ですって!!?」


今回こそ本当にリーアの匂いが無くなってしまう最大のピンチが訪れようとしていた。

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