第16話:全てを己の物にしたい公爵令嬢
アストール聖王国。ドンスキー公爵家の屋敷にて、この家の一人娘である、アルミナ・ドンスキー公爵令嬢は専属メイドのマナカに話しかけていた。
「マナカ。私に足りないものは何かしら?」
アルミナ公爵令嬢がそう尋ねると、マナカは真剣な表情で
「若さと結婚相手でしょうか」
「やかましいわ!?私はまだ25よ!25!」
マナカの言葉にそう叫んで答えるアルミナ公爵一応令嬢。25なら、セリーナ前世だとまだまだ若いと見られるが、この世界では遅くても20で結婚するのが普通なのである。25だと完全に行き遅れもいいところである。現に、専属であるマナカも同じ歳だが、既に旦那もいて、二児の母だったりする。
「うっさいわ!?ナレーション!?私はあえて結婚しないだけよ!私が誰かの物になったら世の男性が悲しむでしょう!」
アルミナはそう言って高笑いをあげる。それを見たマナカは軽く溜息をつく。マナカは、メイドを辞めて旦那の収入だけで十分な生活を送れたりするのだが、もう彼女とは長い付き合いで、そんな彼女を親友みたいに感じてしまっていて、親友が心配で辞められなかったりする。
「それで……アルミナ様。無能な私では貴方様に足りない物が分からないので教えていただけますか?」
アルミナの扱いを熟知してるマナカはそうアルミナに尋ねる。その言葉を受けたアルミナはようやく上機嫌になり
「仕方ないわねぇ〜!特別に教えてあげるわ。それはね……匂いよ!!」
「匂い……ですか……?」
また突拍子もない事を言い出したぞ……とマナカは思ったが、あえて表情には出さずにそう言うマナカはやはりプロのメイドさんである。
「そうよ!世の男を虜にしている私が唯一足りない物!それは匂い!大昔のとある国の女王も!匂いで国をうちたてたと言われているし!匂いさえ手に入れたら!私はこの聖王国の女王となれるわ!」
いや、そう簡単に女王になれる訳ないだろう……と、思いつつも、マナカは一応肝心なところを尋ねる。
「しかし、匂いと言ってもどうやって手に入れるおつもりで?」
「ふふふ……大丈夫。あてはちゃんとあるわよ。それに……貴方だって私の魔法の力は知ってるでしょ?」
確かに、マナカはアルミナの力を知っていた。そして、その力なら匂いだろうと奪い取れるだろう事も……そして、それを手伝わされるハメになるんだろうなと思い、マナカは溜息をついた。
「クッシュン……!」
「お姉様!?大丈夫ですか!?風邪をひかれたんですか!!?」
「大丈夫よ。セリーナ。ちょっと鼻がムズッとしただけよ」
「いけません!お姉様が風邪ひいたら大変です!ですから!すぐに私がお姉様の肉布団になって差し上げますわ!」
「ふふふ……♡ありがとう♡セリーナ」
再び時が流れて12歳になり、更に変態度が成長したセリーナにまた新たな刺客の手が伸び始めていた……
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