第2話 encounter(3)
着替え終わったのが試合前の最終ミーティング30秒前で、僕はまるで準備体操を全力でやっちゃったかのような汗を掻きながら話を聞いた。
「なぜか一人だけめちゃ汗掻いててもう試合が終わったのかと思っちゃったけど、これからで合ってるよね?」
キャプテンがそんな茶化しを入れてきて、みんなが一斉に笑った。ぐぬぬ…
「おいおい、試合前にあの女の子と楽しんじゃったのかよ、TPOを弁えようぜ」
隼人がまたとんでもない爆弾をぶち込んできた、お前が弁えろ!
「はいはい、その話は試合後にみんなでじっくり聞くとして、」
え、聞くんですか?
「今は目の前の試合に集中、今回は昇格枠をかけている試合だってことも忘れないように」
「「はい!」」
「俺と輝は2回の観覧席で見てます、ベンチには入らないので自分たちで作戦も立ててみてください。なので臨時に仮キャプテンとアシスタントを決めたいんだけど、さっき輝と話し合って、1年生にやらせてみようってことになった、上級生は下の子が考えた作戦を完璧に実行できるんだって所を見せてください。」
控室の中がざわざわし始めた。それはそうだ、上級生にもレギュラーに入れず、自分のやりたい事をキャプテンとしてやれば自分をうまく魅せてアピールできる機会なのだから。
「なぁ。氷太。これ責任とかじゃなくてプレッシャーがやばくね?」
隼人が顔面蒼白になりながら緊張気味に話しかけてきた。なんだ、ビビってるなんて僕の冷静さを見習ってほしいね!
「おい!咲場が息してないぞ!?誰か蘇生しろ」
「氷太ぁ⁉氷太大丈夫か!」
みんなが何か叫んでる。何を叫んでるんだろう…僕は呼吸一つ乱れてないっていうのに。あれ?なんか眠くなって…なんか口元が温かいなぁ
「!?」
目が覚めると残念なイケメンの顔が目の前に広がっていた。これって…
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
控室には絞め殺されたネズミのような声がこだました。
ーーーーーーーーーー
「あれ?この叫び声って」
私たちの控室でミーティング中に聞こえてきた奇怪な声が部屋の中に響き渡った。この声、氷太くん?
「なんだ、ネズミでもいんのか?」「ネズミってこんな鳴き方すんの!?すげぇ!」
「そんなわけないだろ」
みんなが声についてあれこれ話し合ってる中、私は声の主が気になった。
氷太くんなにしてるんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます