Chapter-06

Chapter-06 Prologue【勇者の伝説 - 三章】

 賢者アポロに鍛えられ 二人は世に無双と呼ばれるほど 大変強くなりました

 アルは魔術の高い素質を認められ 光や闇をも操れるようになりました

 鍵と呼ばれる煌めく剣を握るアレクには 断ち切れないものなどありません

 賢者アポロは 二人の大器を引き連れ 遥か遠くの世界に 旅立ちました


 その征く先々で 様々な難敵に立ち向かいます

 当千の魔猪ドーヴァン 双頭の竜シュトノムベルン 月の大狼ロノフスク

 そのどれもが 万の軍勢に匹敵する 並外れた力を持っていました

 三人は力を合わせ 苦闘の末 見事に勝利を収めていきました


 大陸を渡った彼らは 海を越えて 遠く異国を目指します

 そこでは 彼らの居た大陸では見られない 様々な異国文化が広がっていました


 そこで彼らは 一人の女性に出会います 名をツバキナと言いました

 巫女でありながら女王として国を治める彼女には 不思議な力が備わっていました


 それは世界の奥底にある核に触れる力

 それは世界に住まう人々の意識に触れる力

 それは世界の平和を維持する力


 賢者アポロは 女王ツバキナとは旧知の仲でした

 彼女の献身のお陰で 人が人同士で争わないのだと言います

 勇者が立ち向かうものは 人でも怪物でもなく

 悲劇を生み出す この世界の機構だと言うのです


 賢者アポロは言いました

 「この世界には、確かに神がいる。世界を創造した神が。だが、無慈悲だ」

 女王ツバキナは言いました

 「神様はある目的のため、世界を創造されました。ですがそれは、私達にはとても辛く険しいものです」

 アレクは言いました

 「それはどんな目的なのですか?」

 女王ツバキナは言いました

 「彼らは極めて合理的です。人のように遊びを愛することはありません。彼らが望むのは、ただ果てない進化です」


 アルとアレクはよく分かりません

 ですが何かが アレクが被ったような悲劇を生み出していたのでした

 二人は更なる闘志を燃やします 女王ツバキナは 来る時に備えて 二人に祝福を授けました


表題:勇者の伝説 三章……遍歴の勇士と主の御心

作者:不詳

年代:不詳

取扱:禁書処分

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