第10話 最悪の再開
結局、私たちは無力だったのだ。富は幸せを具現化したもので、金は人をダメにし、権力は人の脳を破壊した。しかし我等が復讐を決意してから半年がたった今、今日この日まで準備してきたものを最大限に生かして最大級の反撃に出ることにする。エスケイパー(空へ逃げた富裕層)たちに、正義の鉄槌を下す時が来たのだ。我々民衆を見捨てたことを深く反省させることを目指し、再び世界に平和が訪れるまで我々だれ一人として諦めることなく戦い抜くことをここに誓う。
- 民衆結束反撃宣言より -
砲撃がやんだ瞬間、周りで待機していた船は一斉にターゲットに向かって発信し始めた。
サージャルタンの砲撃を受けたターゲットはみるみる速度を落としていったが、何とか予備のエンジンを起動させたのか撃墜することはなかった。
そのうえ、わずかに機能している機銃塔や砲塔からの威嚇射撃がやまない。
「まずい、飛んできた砲弾を処理しなくては。都市が危ない。」
リギーダはサージャルタンの船に無線を飛ばした。
ザザー 「聞こえるだろうか、こちらバンバルディアのリギーダ上級五等局員だ。敵艦からの砲弾の処理にあたってもらいたい。偵察艇の火力では手に負えない。」
ザザー 「こちらサージャルタン東方面艦隊旗艦通信室。直ちにそちらへ応援を送る。」
ザザー「感謝する。」
「よし、俺らは敵艦に乗り込むぞ。装備は大丈夫か最終確認をしておけ。到着した後は勝手な行動は慎んで四人はぐれないように行動する。」
「了解。」(他三人)
弱くなった弾幕射撃の間をうまく潜り抜けて敵艦の甲板に着艦する。
「アンカー用意!」
「アンカー用意!」
リギーダの指示を受けるとシャラザとルーガットは足元からロープとフックを取り出した。
「チャルちゃんも出して、降りるわよ。」
「はい。」
「降りた後は足元のでっぱりにロープを巻き付けてくれ。」
「わかりました。」
「じゃあいくよ。3・2・1・GO」
ヒュン スルスルスル
甲板に降りると、急いで足元にロープを括り付けた。
「準備おっけーです。」
「こっちもできたわ。ルーガットはどお」
「こっちも準備完了」
「チャルちゃんは周囲の私と偵察艇をこの船に固定するわよ、ルーガットは周りを警戒をして。」
「わかりました。」
二人でロープを巻く機械をつけている間、ルーガットはキラメティアの警戒に専念する。
「巻くわよ、離れて。船が下に着いたらリギーダを加えた四人で船内に突入するわ。」
「わかりました。」
ギュイーーーン ガチッ
ロープの引き付けと固定完了
ガチャッ
偵察艇からリギーダが出てきた。
「よし、三人ともいくぞ。俺に続け!」
「いくわよ、チャルちゃん。チャルちゃんはリギーダの右後ろについて。」
「爆薬で突入口を作る。みんな離れて。」
ルーガットは少し離れたところに走って行って、爆薬をセットした。
帰ってくると、急いで物陰に隠れた。
「くるぞ!」
ダーン
「よし、突入だ!」
つくった突入口から入ると、廊下に出た。
「おそらく艦橋はこっちだ、いくぞ!」
長い廊下を走って艦橋の方向だと思われる方へ走っていく。
曲がり角に差し掛かった時
「止まれ、足音がする。」
ガチャンガチャンガチャン
「観測レンズを貸してくれ。」
「はい」
シャラザはリギーダにレンズを渡した。
「右前方にキラメティアが2体。罠を仕掛けるぞ。」
「センサー式トラップでいいですか?」
「よし、それでいこう。」
壁に爆弾をつけた。
「俺があいつらを引き付ける。三人は下がって周辺警戒だ。」
「了解。」(リギーダ以外の三人)
タタタタ
「おい、ガチャンコども、調子はどーだ?」
キュイン ウィン ガッガッガッガ ドドドドドド
「おっと、打ってきやがった。こっちだガチャンコ~」
ガチャンガチャンガチャンガチャン
「来るぞ!」
ピッ ドカーン
ウィ~~ン.... バタン バタン
「よし、やっつけた。念のためコアを破壊してから進むぞ。」
タタタタタタタ
シャラザとルーガットはキラメティアに近づいた。
バーンバーン
キラメティアは動かなくなった。
「よし、次に進むぞ。」
「了解。」(三人)
タタタタタタタ
しばらく走ると、大きな扉の前に着いた。
中からは何も聞こえないが、なにか大切なものを隠しているといわんばかりに巨大で頑丈そうな扉だ。
「どうやってこじ開けるか。」
「さっきのやつらのコアか頭が使えないかしら。」
「じゃあ、僕とチャルちゃんでとってきますよ。」
「よろしく頼んだ。」
「チャルちゃん、急ぐよ。」
「わかりました。」
さっきの場所に戻り、キラメティアの頭とコアの破片を持ってきた。
「よし、これでいろいろ試してみよう。どうやら、扉の横に認証ボードらしきものがついているようだ。」
リギーダの言うとおりに頭をボードにかざす。
すると、ボードに何かの信号が届いたようなアクションが映し出され、扉が開いた。
「やっぱりか、こいつらはいつものガチャンコじゃなさそうだな警戒しつつ先に進むぞ。前方確認よし。」
リギーダの後ろに続いて扉の先へ向かう。
すると、大きな部屋に着いた。
「なんだあれは?」
見ると、奥に玉座に座ったような人影が見える。
次の瞬間「伏せろ!」
リギーダは大きな声で叫ぶ。
ヒュン
ガチャンガチャン「おやおや、誰かと思えばエムバスの局員じゃないか。」
どういうことなのか、キラメティアがしゃべった。
「お、お前は。」
「ふっふっふ、調子はどうかな?」
「うるさい、それよりなんでお前がここに!」
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