第7話

太郎の方を見るとそこに太郎はいませんでした。辺りを見回してもどこにもいません。

どこ?太郎?噴水を1周してもベンチに戻っても太郎の姿はありません。

私は急いで家に帰り、母に太郎がいなくなった事を伝えてまた公園まで戻りました。どこを探してもいません。

いなくなったのか、見えなくなったのか。どちらにしても太郎はいないのです。

見つけてあげないと。その想いでいっぱいになった足は走り出しました。

あの本屋さんまで。


本屋さんの外観が見えて来ると店主の楓さんがお店から外へ出てきました。

楓さんの前で立ち止まると

「お久しぶりですね。あなたの探し物はここにはありませんよ。」

息を切らしながら

「どうして私が探してるってわかるんですか?」

「私には、わかるからですよ。沢山の人を見てきましたから。」

私がきょとんとしていると楓さんは続けて話し出しました。

「もうすぐ夕日に変わるから早くお家に帰りなさい。きっと待ってますよ。」

楓さんは独特な雰囲気を持っていて少し怖いようで、でも安心するような不思議な人です。私はこくんとゆっくり頷き、ありがとうございます。とお礼を言うと家へと歩いて帰りました。


ただいまと家へ入ると俯いた私に母が心配した声で

「まくらちゃんの部屋に帰ってきてるよ。」

私は部屋へ急ぎました。部屋の扉を開けるとそこには太郎の姿がありました。

太郎は私の姿を見るなり、抱きしめてきました。

ぎゅっと痛いくらいに。

「痛いよ。」

「…。」

「どこにいってたの?心配したんだよ。」

「……ごめんなさい。」

「よかった。」

窓から入ってくる日差しが夕日に変わり私達を包み込んだ。

「見て?夕日すっごくキレイだよ。」

私の肩に顔を埋めていた太郎は窓の外の夕日を見て、

「ありがとう。こんな綺麗な夕日を見せてくれて。」

そして、私達はキスをしました。

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おばけと私 もちょん @motyon

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