第71話☆~天神祭~小さな物語~その1
夏期講習からの帰り道
同級生の君に思いきって声をかけた。
『あのさ、明日天神祭行かへん?花火大会とか』
振り向いた君
やっぱりムリだよな
『あ、うんいいよ明日塾やっと休みだもんね』
『マジ?』
『うん、いいよ』
LINEも交換した
自転車で帰るとき、嬉しくて大きな声を出して歌いながら帰った
待ち行く人に変なヤツだって思われたよな
最高に嬉しいんだ気にするもんか!
あの子の名前は『石原 沙羅』
同じクラスにはなったことないし、塾で顔を合わせても軽く挨拶するくらいだったんだ
塾では成績ごとにクラスA,B,Cに分けられる
成績優秀な彼女はもちろんAクラス、僕はCクラス『頑張れ!オレ!』
どうして誘いにオッケーしてくれたのかはわからなかった、でもそんなことはどうだっていいんだ生まれて初めてのデートなんだ
しかも、高校入ってからすぐに好きになったあの子と!
その晩ぜんぜん眠れなかった
嬉しいのと同じくらいに不安だったんだ。
中学生の時にグループで遊んだことはあったけど、二人きりなんてなかったし部活ばっかりの俺は恋愛偏差値もCクラス
いやそれ以下かも
友達に聞いてみるか?
頭の中で浮かぶ友達は彼女どころか、ゲームに夢中で恋愛なんて初心者以前のヤツばかり
まったく頼りにならない
ネットでオススメのカフェとか花火がよく見える場所とかを調べた
たぶんこれで大丈夫
勉強もこれくらい頑張れたらいいのにな、Aクラスに入りたいな
『やっぱり頑張れオレ!』
でも…ちゃんと喋れるのかが一番不安だった。
眠れないまま朝になる
塾の課題もたくさんある、なんでだよ!こんな大事な日にって思ったけど
不思議に頑張れたんだ。
待ち合わせの時間は6時
いろいろ着てみたけど、カッコつけてみてもらしくない俺にしかみえない、
シンプルなTシャツとジーンズで待ち合わせの駅前へ
そこには、水色に小さな花が描かれた浴衣姿の君
髪には薄いピンクの髪飾り
手を振る君
僕はもう一度恋をしたみたいだ
今夜告白したら
君は答えてくれるかな?
片思い3年目の夏は始まったばかり
『行こうか』
『うん、楽しみだね』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます