忘れもの





言葉を忘れて

笑うことを忘れて

こころを忘れて

じぶんをわすれて


ただぼんやりと

雨の香りのする夜を

窓から足を投げ出して

過ごしていたら


ねこが足元で

のんびり

ちょろちょろ

ごろごろ

ちょいちょいと手を出してきたら

ちょいちょいと手を返してみたり

時々かぷっとされるから

その度にぐしゃぐしゃに

ぐしゃぐしゃしてみたり

毛が舞ってくしゃみしたり

また

ちょろちょろしたり

ごろごろしたりして



いつの間にか

頬が緩んでいることに

気がついたりして



いっそのこと

みんな投げ出して

みんなわすれて

ねこになるのも

いいかもしれにゃいにゃあ



なんて、思ってみたりして




さあ、そろそろ寝るよ。




そう言って今夜も一緒に眠るのです




そうやって今日も終わるのです




忘れものは わすれたままにして



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る