終着駅に降る雨




疲れた服を着て帰る夜

なかなか来ない電車未来を待ちながら

重たくなった頭を後ろへ落とし

見上げた夜空は狭間

月も星も向こう側

ホームの屋根越しに覗く夜に

吸い込まれるように

日常とさよなら



浮つく心に身を委ね

目を閉じれば夜間飛行

何処へでも行けるからと

星から星へ駆け抜けて

たどり着いた月の輪郭

その頬にそっと触れて

やっと会えたと二人で笑う

話したいこと沢山あったはずなのに

何も思い出せない歯がゆさに苦笑い

そんな僕を見た君が笑う

そんな君が好きなんだと伝えたくて

これまで積み上げてきたうたを歌う

孤高に輝き続ける君への賛美歌

孤独な僕を包んでくれた君への想い



ふと照らされた右頬に

忘れてた日常を乗せた電車のライト

ひとつ溜め息残して乗り込んだ

車窓の向こうにいつもの孤独

辿り着かされた終着駅で

頬に触れた雨の出迎え



僕の声は届いただろうか

夜の中に呟いて




僕の頬を伝う雨に紛れた君の涙

その温もりが答えだと信じたかった











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