旅路の朝日




絶え間なく

季節の波間に

流れ


躓きながら

追われながら

忘れられながら

「それでも」と

踏み締めるように

追いかけるように

忘れられまいと

足掻き踠いて


絡みつく過去のそれぞれが

足に纏わい膝をつこうと

もう諦めたと言いながら

「それでも」と

諦めきれなかった夜の数々を

歩み続けてきたこの旅路



冬が好きだと言って

その澄んだ故の温もりに

包まれるように安堵して


夜が好きだと言って

その寂しさ故の温もりに

寄り添われるように安堵して


「明日こそは」と眠りにつく

そんな夜を幾つも重ねて




気づいた時には季節は過ぎ去り

夜も朝へと移り変わっているもので


どうか行かないでと

手を伸ばしても

触れることなどできないのなら

「それでも」と言って

歩いていって

揺れる影が残した跡を

生きてきたという証と決めて



冬が眠った 冬と別れた

放り出された春は

雲ひとつない晴天で

風も朝日も柔らかくてあったかい

それがとても気持ちよくて

春も悪くないなって思えたんだ


夜が眠った 夜と別れた

放り出された朝は

雲ひとつない晴天で

風も朝日も柔らかくてあったかい

それがとても気持ちよくて

朝も悪くないなって思えたんだ



冬が眠った 春が目覚めた

冬と別れた 春を知った

夜が眠った 朝が目覚めた

夜と別れた 朝を知った



それも悪くないなって思えたんだ








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