第43話 ファンタスティック

 ファンタスティック


 馬車はー走るよー悪路でもー


 魔導馬車は色んな所に色んなエンチャントがかかっていて、頑丈かつスムーズ、そして地面をしっかり噛むようにできています。これブキョーの新型馬車なのよね。


 これを魔物が混じったお馬さんが引くわけですからはっきり言って『よ』の『ゆう』、余裕ですよ。飛行船中継都市以降の悪路も何のその、平地を走るかのごとく進んでいきます。


 ちなみに御者はアメジットです。私がやろうとしたら強引に奪われた。何でもやろうとしなくていいのにー。ブキョーでは何でもやらせましたが。


 特に苦もなく衛星都市について、特に苦もなく入国をパス。特に苦もなくダンジョン都市『ウナキシ』に到着。


 コンシュルジュのケンさんの勧めで馬車と住まいは貴族の宿にしました。


 一日90銀貨。たっか。でも馬車と馬と私達を守るにはしょうがない。


 ハバナダンジョンはだいたいやったので、上級ダンジョン『ファンタスティックダンジョン』に挑むことにしました。


「えーっと、出てくる魔物は、オルク、オーガ、金属の牛ゴンゴーン、あと雑魚だね。」


「勉強した感じではどれも強そうですね。罠はどうなってますか?」


「ランダム配置だね。常に警戒しないといけない」


「私が先行します」


「狐を舐めるな。中層以降は私がやる。」


 じゃ、挑むよ。



 3層目までは余裕っすね、3層目に宝箱部屋があるので並んで取得。ロングソードが出てきました。

 アメジットが宝箱を開けて取得したから相当いいものだと思うけど、とりあえず包んで、アメジットのバックパックに入れて保管。

 帰ったらあのお姉さんに踊ってもらおう、うひひ。


 3層以降はちょっと大変。オーガが出てきました。3mくらいの、巨人族の末席に連なっている野郎で、その強烈な棍棒の一撃で一撃死がありうる敵。

 一体なら慎重にやれば良いのですが、たまに群れてましてな。

 最大威力の空間圧縮砲弾ディメンションコンプレクスショットを撃って即処理したりする必要がありました。ポーションが減っちゃう。


 6層に休むところがあるのでそこで一泊。くったくたなので二人共イビキかいて寝ました。

 アメジットが結界呪文を張ったから二人共一緒に眠れたんだよー。アメジット最高やん。


 7層目からはゴンゴーンが出現。こいつは金属の体で出来ているので物理攻撃は駄目だ。剣で切ったら剣が曲がった。アメジットの魔法や私の属性付きオーブ、2人で連打した気功掌などで押し切りました。ありがとうリー先生。

 7層目には宝箱部屋がありまして、誰も並んでいないのでそそくさと入室。


「罠は私が解除するね。オープンはアメジットがお願い。」


 ということで分担して解除、オープン。中身は……


外套クローク、だね。物によってはかなりのお値段がするって話だよね」


「幸運がうまく働くとよいのですが…… 。」


 これも丁寧に包んで私のリュックにしまいました。鑑定のお姉さんどんなダンス踊るんだろうか。

 うふふ。


 8層目はなんとかなりましたが、9層目に絶え間なく魔物が出てきて襲いかかってくる『モンスターラッシュ』に遭遇しまして激しく消耗。

 最下層10層目に行く前に通常の部屋で野営をすることにしました。

 何度も魔物に邪魔されましたがなんとかお互い8時間眠ることに成功。MPも回復して、いざ、10層目!



「BOSSしかいないフロアですかね、これ」


「少しだけ、足が震えてます。」


 大きな大きな2フロアだけあって、片方にドアがある、そんな階層。。どう考えても奥のフロアにBOSSがいますね。

 どんなBOSS何でしょうか。行ってみましょう。


 アウルベアーのペアか。見た感じ体長3m体重600kgくらい、体重は完全に直感。フクロウと熊が合体した魔物で、爪でのぶん殴りと噛みつきで攻撃してくる存在。

 フクロウの素早さ熊の凶悪さがあるのでそれだけでもかなり驚異。って、アメジットの解説。


「何をどうしてくるかわからないけど、とにかく一体集中で数を減らすよ!」


「はい!この世の光と音よ……」


 早速詠唱にはいっているので、私が前に出て引き付けるよ!おらおらー!ディメ略ショット!オーブ6連撃!


「くらえ!フラッシュバン!」


 っばーーーん!

 キラッ☆ミ


 ものすごい音と光が出て


 私とアウルベアーがダウン!フクロウだからアウルベアは耳がいいけど、私の耳の良さを考えろよー!!


「きゅうー……」


「レイ様ー!」


 アメジットが急いでアウルベアーから私を引き離したので、仕切り直すことが出来ました。


「1人惑わしで戦力外にさせよう?」


「わかりました、今度は大丈夫です!空気よ彼の周りを…… 。」


 私は灼熱オーブでアウルベアーをやけどにする作戦。毛で雷撃が通りそうにないので。


「いけっ!」


「かのものを惑わせよ!コンフュージョン!!」


 あーん惑わしレジストされた。なので2匹とも一気に炎で羽根を焼き尽くす作戦に変更。


「ストームブラスト!」


「灼熱オーブ!スローワー!」


 2匹とも燃えに燃えて肌を露出、ここだー!


「雷撃オーブ!」


「魔力全開サンダー!!」


 びりびりー!感電してアウルベアーペアは崩れ落ちた。チャーンス!


「くびきりふぉっくすー!」


「ヴォーパルばにー!」


 スパッと首を切って失血及び脳への血液を遮断!

 それでも魔物なので一分ほど暴れましたが雷撃しまくって封殺。倒しました。



 勝利!!



雷属性ってやっぱり強いなー。


「何をドロップするかねえ?」


「バックパックが良いです。レイ様重いもの背負ってるので。」


 出てきたのは水差しでした。これはもしかすると……


「無限の水差しかな?」


「飲んでみますか?」


「そんな阿呆なことはしないよ。持って帰って鑑定してもらおう。」


 これでダンジョンは制覇。でも帰るまでがダンジョンです。

 ゴンゴーンとかと消耗したまま戦うので、帰りがキツイんだよね。

 7層の宝箱をオープンして、チェインメイルをゲット。疲労困憊なので3層は飛ばして地上に到着しました。



 帰還できた!!



 諸々の処理をして、おねーさんの鑑定屋さんに。

 別にもう他の言語でも良いんだけど、やっぱおねーさんの鑑定屋だよねぐへっへっへっへ。オヤジか私。



 はいきた、ベリーダンスというやつだそうです。詳細は省きますが、いやーガン見しちゃう。美しいは正義。


「はぁはぁ…… 、これは『希薄のクローク』ですね。そのまんまですが装着すると存在感が希薄になります。わかりやすく言うと【認識阻害】がかかってます。」


「逆にわかりにくいです。存在感が希薄になるのは嬉しいですね。それでこのロングソードは?」


「これは魔法のロングソードですね、純粋に切れ味が良いです。付属効果はかかってません。通称+1ってやつですね。使用者の手と身長に合わせて多少伸縮してくれます。まあまあの値段で売れるはずですよ」


「なるほどー換金だ。じゃあこの水差しは?」


「無限の水差しですね。しかし呪われているのか、出てくるのは猛毒の水です。つまり無限の猛毒水差しです。呪いの品に近いので、こちらで買い取らせていただきたいのですが……」


「ぎゃーー惜しかった。ええ、呪いの品は市場に出回らせないのが世界ルールですものね、買い取ってください」


「ありがとうございます、買取価格は後でお知らせします。最後のチェインメイルですが、『消音のチェインメイル』ですね。ほら、揺らしても音がほとんどしません。自動伸縮はついてないですね。」


「よっしゃあ!私のブリガンダインの上に着せよう。これで全部ですね、ありがとうございましたー。」



「ということで戦利品はこのクロークとロングソード、そしてチェインメイルだね」


「ロングソード以外レイ様にぴったりじゃないでしょうか。幸運がうまく働いてよかったです」


「いや、君がこのクロークを着たまえ。私よりアメジットのほうが存在を消したほうが良い」


「そう、ですか……? 」


「自分の凄さを自覚しなさい。このロングソードも使えるなら使って。魔法の品じゃないと切れない魔物もいるって『魔物アルティマニアっくす』に書いてあったし。」



 というわけで、順調に成長&装備の充実が出来たダンジョンでした。魔石も無限の猛毒水差しもいい感じで売れたよ。


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