私達の間にあるもの

 私達は明らかに食べすぎた。

思いの外、量が多かったのだ。


ふたりで「太る」と言って笑いながら歩く。


こんな風に伸枝と談笑できるのも、いつかは当たり前じゃなくなる。


大学進学した伸枝は、そこで新しい友人を作り世界を広げていくだろう。


私はこれから勤める会社に自分の居場所を見つけることができるだろうか。


夜空を見上げたが星は1つも見えなかった。

街の明かりが空を明るく照らしていた。


 アパートの部屋に戻って順番にシャワーを浴び、寝る支度をした。


私達は布団に入っても、しばらく話していた。

なんてこともない話だ。


好きな芸能人とか音楽とか当たり障りのない話の繰り返しだ。


でも、それでよかった。


そのオチのない平和な会話の積み重ねは、少なくとも私にとっては財産だ。


私達はいずれ疎遠になるだろう。


でも、もしも伸枝が困った時は力になりたい。


そう心底思った。


私はいつの間にか眠っていた。


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