学校編

第30話 学校に行こう

『なーんだ、大島さん……未知の体験せずに終わったのか?』


 湊音は歩いて駅まで行き、電車で湊音の職場である高校についた。俺も生前働いていたところだ。

 そして屋上で倫典と電話をしている。


「たわけが。何が未知な体験だ?こっちは掘られるとこだったんだぞ!お前それ知ってて……!!」

『あー、また言葉遣い!気をつけてよね。いまは、、の体のだよ?

 それに僕が李仁に色々説明したんだよ?酔っ払いのたわごとかと思って話半分かと思ったら意外と信じてくれたんだよね』


 俺は湊音の体のまま寝てしまい、朝起きたら全裸で隣に寝ていた李仁も全裸だったわけで。

 でもすぐ見抜かれてしまった。見抜かれた理由は、倫典から話を聞いてたのと先日の三葉に乗り移ってたというのもなんとなく怪しんでたし。



『もし無理なら、体調不良って言ってリタイアするんだよ。わかった?』

 はいはい、大きなお世話だな倫典。俺だってこのネックレス取ってセーブポイントに戻れるんだ。もしものときはそうしよう。


『勝手にネックレスは取っちゃダメだから。定期的にメモ用紙に何どうしたかとかメモをする。じゃないとなにかのきっかけでネックレス取れて大島さん抜けちゃったらパニックになるのはその本体なんだから。』

 はぁ、メモ取る暇あるかよ。腹が立って電話を一方的に切った。





 職員室には何気ない顔でさらっと入れた。私立だからほとんど先生の異動がないんだよな。5年、まぁ事故で入院してたことを考えると6年ぶりに会う先生たちはそれなりに歳を重ねていた。

 湊音の席は綺麗に整えてあり、助かった。



 剣道部の朝練にも顔を出して、俺の後を継いで顧問になった元警察官の冬月と一緒に筋トレ。そりゃ、これ毎朝やったら湊音も筋肉質になるな。


 久しぶりの筋トレに気持ちはすっきりした。冬月にはバレてないようだ。しかし、やたらと距離が近いかもしたような?


 部員たちも五年もすれば入れ替わっていて誰かわからなかったし、男女混合になり更に活気にあふれていた。

 道場も少し綺麗になり、フロアに優勝トロフィーもたくさん飾られている。すごいじゃないか。ちょっと安心した。

 ふと目をやると、俺の写真があった。まだ俺が事故に遭う前の姿。

 すれ違う部員たちが俺の写真に頭を下げる。……俺のこと知らない部員たちがなぜ俺の写真に……。


「湊音先生、そろそろ着替えないと職員朝礼に遅れますよ」

 あ、そうだった。ついつい……道場に長居してしまった。放課後、また部活があるから行くとするか。



 そして湊音は学年主任であり、担任を受け持って無かった。

 しかも今日はテスト!授業もなし。


 日中はテストの見回り、採点……よかったー今日で。


 意外とみんなにはバレないもんだな。

 教師の時の湊音はもともと口数も少なかったし、変に他の先生とつるむこともなかった。



 懐かしいよな。ついつい昼ごはんの時も道場に来てしまった。


 李仁が持たせてくれたお弁当。スタミナ生姜焼き弁当らしい。量が多いのも放課後の部活動の為なのか。


 湊音も李仁に愛されてるな。こんな手作り弁当を毎日作ってもらって。

 今朝食べてきたビーフシチューもうまかったし、弁当もうまい。久しぶりに味わった中で一番美味しかった。


 さて、職員室に戻るか……

「あの、すいません……」

 ん?誰だ?目深に帽子を被った男。胸元のポケットを見るとCMでおなじみのセキュリテイ会社のロゴ。


「湊音先生……」

 ……あ、そうか俺は今湊音か。だからお前は……


 と帽子を取った青年は顔を見せた。顔はあまり変わってない。そいつは


「桐生……」

 悠子の結婚相手でもあり、俺の元教え子だ。なぜここに。仕事してるだろ?


「学校のセキュリティの点検に来たついでに……湊音先生に会おうと思って」


 ついでか。まぁ良かった。……俺もお前と話したかった……悠子との結婚の件で。

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